起きている時間のほとんどをパソコンの前で過ごす筆者は、信頼性や機能の豊富さ、手軽さなどを、自分なりに突き詰めたパソコン環境を構築している。フリーソフト特集や最新ソフトウェアのレビュー記事などを日々手がけており、強制的に大量のソフトに触れている経験から、便利そうなソフトを自然と導入してできあがったものだ。
そこで今回は、原稿を書くというライターの業務効率を改善するソフトを、筆者なりに導入の決め手となったポイントと合わせて紹介する。
誤字脱字を防ぎ
高速入力を支援してくれるIME
一般的なユーザーにとっては、日本語入力に使っている機能が何かを、意識することは少ないかもしれない。もし、誤変換や誤入力があっても、1文字ずつ音訓変換して対処すればいい。しかし、膨大な文章を入力する場合、日本語入力機能(IME)の精度は生産性を左右してくる。
主なWindows用IMEには、マイクロソフトの「Microsoft IME」(MS-IME)、ジャストシステムの「ATOK」、Googleの「Google IME」などがある。MS-IMEはWindowsに付属し、Google IMEはフリーソフトだ。MS-IMEよりも高機能な「Microsoft Office IME 2007」は、Officeスイート製品に同梱されている。一方、ATOKシリーズの最新版「ATOK 2010」は、「一太郎2010」に付属するほか単体でも販売されている(優待版のダウンロード価格は4725円)。
MS-IMEは仕事に使うには精度がいまいちで、ネットブックやベンチマーク作業用などのパソコン以外は、別のIMEをインストールしている。セカンドマシンなどでは、2009年に登場したGoogle IMEを使っている。検索データを元にしたサジェスト機能は便利で、人名や話題のネタを書く際には重宝する。
筆者がメインで使うのはATOK。日本語入力ソフトが「FEP」(Front End Processor)と呼ばれていた頃からの付き合いだ。1980~90年代は多数のFEPメーカーが製品を投入しており、精度や使い勝手はまちまちで、入力速度も日進月歩だった。高速タイピングができるユーザーだと、変換が追いつかないこともあった。使いにくいとは感じたが、人間がパソコンを押さえつけているような感じがして気持ちよかったものだ。そして、結局生き残ったのはATOKだけとなった。
ATOKのメリットは変換精度の高さだ。筆者の場合、一度に入力するのは多くても100文字程度と長くはないが、それでもすんなり正確な漢字に変換してくれるのはうれしいところだ。文脈によって「口座」と「講座」などの同音語を判別してくれる。今でも、パソコン関連の記事でよく見かける「内蔵」と「内臓」の誤字だけは絶対にしたくない。変換候補から同音異義語の意味を確認できるのも便利だ。
作業スピードをさらに上げてくれるのが、文節区切りの正確さだ。単語の誤変換ならスペースキーを1度叩けばよいだけだが、文節を間違って認識されると修正が面倒だ。いらいらしているときはEscキーを叩きつけてキャンセルし、短い文節で入力してしまう。校正支援機能を使えば、誤字脱字のチェックもしてくれる。前バージョンから搭載された英語の入力支援も便利だ。
挨拶や標準的なビジネスフレーズだけなら、ほかのIMEと比べてメリットを感じにくいかもしれない。例えば、メールやFAXの送付状といった作業だけなら、ATOKである必要はない。しかし、自分の言葉で長文を書くなら、作業時間が違ってくる。入力作業に気をとられない分だけ、よい内容に仕上がるというメリットもある。
ATOKは月額300円の「ATOK定額制サービス」も提供している。とりあえず試すなら、手軽なのでいいかもしれない(30日間無償の無償試用版もあり)。とはいえ、4725円なら買ってしまう方が楽だと思う。一度購入してしまえば、翌年のバージョンアップで必ずしもアップデートする必要はない。例えば2年使うなら、200円/月の計算になる。無償試用版もあるので、日本語入力を快適にしたいと思っているなら試してみることをお勧めする。
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