数が増えたActive Directory関連サービスとは?
Windows Serverのできることを学ぼう
2010年02月09日 06時00分更新
第1回と第2回では、サーバーとはサービスを提供するコンピュータであると解説した。しかし、「じゃあ、何をサービスするのか」という具体的な内容には詳しく触れていなかった。そこで今回は、Windows Serverで何ができるのかという話をしよう。
コンピュータには何ができるのか
読者のみなさんは、おそらく「コンピュータに詳しい」と周囲から思われているだろう。そして実際に詳しいに違いない。「今度パソコンを買おうと思っているのだけど、何を買えばいい?」と相談されたこともあるだろう。
質問する方は気軽に尋ねるのだろうが、みなさんは適切なアドバイスを与えられただろうか。モデルチェンジが激しいので、どんなPCが売られているのかよくわからないこともあるが、最大の問題は本人が何をしたいのかわかっていないことだろう。ゲームをしたいのか、ビデオ編集をしたいのか、あるいはプログラミングの勉強をしたいのか。こうした目的によって回答が変わってくる。にもかかわらず当人は、「普通のPC」とか「初心者向けのPC」などと無意味なことをいう。初心者であっても最新の3Dゲームをしたいのなら、高速なPCが必要だ。使う目的がないなら、そもそもPCを買うことはない。1980年代まで、筆者の常套句は「何がしたいのかはっきりしないならPCを買うな」だった。もちろん納得してはもらえなかったが……。
しかし、今ならこの種の質問に答えるのは簡単だ。筆者ならこう答える「何でもよいから、1年以内に発売された機種を買いなさい。メモリだけは最大または標準搭載の2倍程度に」。要するに、最新OSがプリインストールされたPCなら何でもよいわけだ。ほとんどの人がWebアクセスと電子メール機能があれば十分なので、デザインで選んでもよいだろう。
もっとも、購買相談を受けた人の本当の苦労はPCを買ったあとに始まる。使い方まで質問してくるに決まっているからだ。電源の入れ方くらいは知っていても、無線LANの設定、Webブラウザの使い方、電子メールクライアントの設定等々で質問攻めにあう。しかも、「本当に何でもよい」とアドバイスしたら、Macintoshを買ってくる人もいるだろう。筆者はMacintoshが使えない。これまで数々のOSを使ってきたが、Macintoshだけは結局理解できなかった。
さて、相談者はよく「パソコンの操作」を教えてといってくるが、実際には「OSの操作」である。本当のパソコンの操作は、電源のオンオフやBIOS設定、キーボートやマウスのつなぎ方くらいだ。これはサーバーも同じである。「サーバーで何ができるのか」という質問にはほとんど意味がない。サーバーではなく「Windowsで何ができるのか」や「Linuxで何ができるのか」を考える必要がある。
Windows Server 2008で何ができるのか
Windows Serverの当初の目的は、ファイルとプリンタの共有であった。また、そのための手段としてユーザー認証が提供された。現在でも、基本的な機能であることには違いないが、ほかにも多くの役割が追加されている。
では「多くの」というのは具体的に何だろう。Windows Server 2003までは、この疑問に答えるのは意外に難しかった。「あれも、これも、そういえばあれも」という具合に機能が分散していたからだ。しかしWindows Server 2008では、サーバーの役割が整理され、わかりやすくなった。
Windows Server 2008のインストールが完了し、管理者としてログインすると「初期構成タスク」ツールが起動する(画面1)。このツールは、運用に必要な最低限の項目を設定するためのガイドを提供する。そこに「役割の追加」と「機能の追加」がある。
まずは、この「役割」と「機能」の関係を見てみよう。たとえば、プリントサーバー(Windows Server 2008の用語では「印刷サーバー」)の「役割」を考えてみよう。Windows Server 2008には、古くから使われているWindowsクライアントをサポートする印刷機能に加え、UNIXで使われるlpdや、HTTPを使って印刷を実現するIPP(インターネット印刷プロトコル)が利用できる。多くのクライアントをサポートするには、これらすべての「機能」を追加して、矛盾のないように構成しなければならない。そこで、Windows Server 2008では、まとまって1つのサーバーを提供する「機能」の集合体を「役割」と呼ぶ。別の機能とは連携せず、単独で利用できるものが「機能」だ。たとえば、Windows Server 2008の「バックアップ」は機能に分類される。バックアップは単独で利用するため、別の機能との連携が必要ないからだ。
サーバー、つまりクライアントにサービスするものとして考えた場合、重要なのはこの「役割」である。サーバーの管理や利用を考えた場合は「機能」も重要であるが、当面は考えなくてもよいだろう。Windows Server 2008 RC1では、表1の役割が利用できる(画面2)。なお、見出しは筆者が便宜的に付けたものである。
(次ページ、「Windows Serverの役割と機能」に続く)
この連載の記事
-
最終回
ソフトウェア・仮想化
スナップショットとクイックマイグレーションを使ってみよう -
第34回
ソフトウェア・仮想化
Hyper-Vの仮想マシンに「統合サービス」を入れよう -
第33回
ソフトウェア・仮想化
Hyper-Vの仮想マシンのハードウェアを設定しよう -
第32回
ソフトウェア・仮想化
Hyper-Vのインストールはネットワークに注意しよう! -
第31回
ソフトウェア・仮想化
Windows Server 2008の仮想化機能「Hyper-V」を活用しよう -
第30回
ソフトウェア・仮想化
Windows Server Update Servicesの活用方法とは? -
第29回
ソフトウェア・仮想化
Windows ServerをWindows Updateサーバにしよう -
第28回
ソフトウェア・仮想化
Active Directoryと連携できるIISの認証機能を理解 -
第27回
ソフトウェア・仮想化
Windows Serverの標準Webサーバ「IIS」を活用しよう -
第26回
ソフトウェア・仮想化
Windows ServerのCAでメールを安全に -
第25回
ソフトウェア・仮想化
Windows Server証明書サービスを設定しよう - この連載の一覧へ