その10:iPodヘッドホン風の巨大スピーカー「500XL」
予想や期待を裏切ることは、時として効果的な場合もあるが、ちょっと間違うとまったく反対の結果を招く危険もある。合コンや宴会で取り出すデモンストレーション用のガジェットは、そのTPOを考えないと大きく凹むことになる。
間違いなく凹むアイテムが、ご紹介する巨大ヘッドホン「500XL」だ(Amazon.co.jpで見る)。カタログには一般的なiPod付属のイヤフォンの500倍の容積があるというが、冒頭でも述べたように「女子の心をつかむガジェット」は、身につけられる程コンパクトであることが条件の一つだ。
500XLの原器となったオリジナル商品は確かに身につけるアイテムだが、500XLのサイズはバカデカ過ぎる。宴会場まで持ち込み、頃合いを見計らって披露することは、その努力は認められても、やはりミゼラブルな白けた結果になることは明白だ。宴会での努力は、偶然、誰かに認められることはあっても、間違いなく長続きはしない。
唯一考えられるのは、今は使わなくなった少し古いiPodとつないで自室のデスクやテーブルに置いて、ホームステレオとしてBGM用に活用しているシチュエーションだ。
iPod向けのスピーカーやアンプは、世界のオーディオブランドであるBOSEやJBLなどから高価な値段で発売されているが、いずれも既存のオーディオのデザイン枠を超えることのできない旧態依然としたものが多い。
持ち歩かなくなったiPodとフレキシブルなケーブルでつながっただけの500XLというシンプルな組み合わせは、ダイニングのテーブル上でも自由なレイアウトを実現してくれるので、ディナーディッシュの位置を決して妨げない。
サッと片付けられるので、シンプルライフに基準を置いている彼女にはきっと受け入れられるはず……と勝手に思っている。筆者の500XLは、実はとうの昔にある女性にプレゼントすることを約束をした。
しかし、その約束から数ヵ月間、何度も会っているにも関わらず、未だに手渡せていない。その原因は、持ち帰る彼女の面倒さを気遣う筆者の優しさか、大きくて持ち出すことにいつも躊躇する筆者の怠惰な気持ちのどちらだろうか。
ただ、彼女から「あのイヤフォンスピーカーどうなったのよ〜」という催促は一度も受けていない。喜ぶべきか、悲しむべきか……。
T教授
日本IBMから某国立大芸術学部教授になるも、1年で迷走開始。今はプロのマルチ・パートタイマーで、衝動買いの達人。
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