2009年もそろそろ終わり。中国は今年も経済成長をし、経済危機も上海周辺や北京周辺で多少影響は残っているが、モノ作りの中心の広東省などを除いて、ほとんどの地域では「経済危機ってニュースもあったよね」と他人事。平均月収も順調に少しずつだが伸びている。
段々と貧困から脱し、裕福になってきているはずなのだが、コンスタントに詐欺事件が発生している。日頃中国で生活をしていると、今年も相も変わらず、最高額紙幣の100元札(約1300円)の偽札を頻繁に見るどころか、1元(約13円)札や1元コインの偽通貨まで、ときどき財布の中に迷い込んでくる。年末となると振り返り系記事が出るのがお約束だが、当記事ではちょっと変わり種となる「今年中国で報道されたIT系詐欺」で1年を振り返ってみたい。
商戦期の定番ニュース「JS(奸商)に注意!」
中国では秋の国慶節・中秋節と、旧正月の春節が2大商戦期で、このそれぞれの大型連休の期間には、電脳街や大手家電量販店やデパート・ショッピングセンターからオンラインショッピングサイトまで商戦モードに入る。例えば、一定額以上の買い上げでお土産をつけたり、一部商品を特別価格で提供したりと、各店は客が来るよう工夫をこらす。
電脳街の店舗やIT製品を扱うオンラインショップでは、競合する多数の店に勝つよう、極限まで利潤を下げる店もあれば、少ない外国人客やパソコンに疎い客のみを相手に言葉巧みに高い価格で購入させる店もある。
極限まで利潤を下げる正攻法のショップがほとんどだが、稀に誘惑に負け、安いニセモノを(正規品と比較して)激安の価格で売りつけるショップもある。こうした義に反するショップおよび店員を「奸商」と書き、その発音「Jian Shang」、それぞれの頭文字をとって「JS」と呼ぶ。商戦期にはIT系の各メディアから「JSに注意!」という見出しの記事が掲載される。
著名なIT系ニュースサイト「PC Online」は今年2月、春節商戦を前に「デジカメ購入は騙されないように!」という記事を掲載した。ニセモノの電池と正規版の電池を交換した上で、販売するショップが少なからずあると記事では指摘。「本物とニセモノの電池の見分け方を覚えること。ニセモノの電池は簡単にパッケージが剥がれる。持っているデジカメをチェックすること」と判別方法を伝授している。
筆者自身も電脳街のデジカメショップでデジカメ用バッテリーをオーダーしたら、デジカメ本体の商品パッケージから電池を取り出し「これ100元でどうだ?」と言われたことがある。電池関係は有象無象の工場がノンブランドの電池をリリースしているため、電池のリスクはデジカメに限ったことではない。日本メーカーの電池がときどき街中で売られているが、これとてニセモノが多い。
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