Windows 7のパッケージ版が販売され、多くのユーザーがWindows 7をインストールして使い始めているだろう。Windows 7は既存のパソコンで利用しても、さまざまなメリットがある。しかし、Windows 7ならではのセンサー機能を使用しているパソコンはほとんどない。今後は、センサー機能を利用した製品が登場してくるだろうが、今回はそれらに先立ち、Windows 7のセンサー機能を紹介しよう。
OS側に用意されたSensor APIとLocation API
Windows 7には、明暗などを感じるセンサーを扱うためのSensor APIや、GPSによる位置情報を扱うLocation APIが用意されている。OS自体がSensor APIやLocation APIを搭載することで、各種センサーやGPSを利用したアプリケーションが開発しやすくなる。
Windows VistaやXPなどでも、独自にセンサーを利用するアプリケーションを作ることはできた。例えば内蔵GPSやHDD内蔵の加速度センサーは、さまざまなノートパソコンで利用されている。しかし、これらはそのセンサー専用になるため、特定のアプリケーションでしか利用できなかった。つまりセンサーについての標準化がなされていなかったわけだ。
しかし、Windows 7でSensor APIやLocation APIが導入されたことで、デバイスドライバーの標準化が行なわれ、各種のセンサーやロケーションデバイスからの情報を、アプリケーションから利用できるようになった。つまり、USBのように、センサーや位置情報に関係するデバイスを規定することで、アプリケーションからそのデータを簡単に扱える。
現在販売されているパソコンには、Windows 7に対応したセンサーデバイスやロケーションデバイスはほとんど採用されていない。そこで、2008年に開かれたマイクロソフトの開発者向け国際会議「PDC08」で配布されていた開発用キットを使って、何ができるのかを解説しよう。
この開発キットには、3軸加速度センサー、静電容量式タッチセンサー、光センサーなどが組み込まれている。開発キットとパソコンは、USBで接続される。開発キットにはハードだけでなく、これらの機能を使用するためのデバイスドライバーやサンプルソフトなども入っている。
例えば光センサーを用いたアプリケーションとしては、「msdn Reader」というソフトがある。このソフトは、マイクロソフトの開発者向けのウェブサイト「msdn」の情報が一覧できるのだが、光センサーと組み合わせることで、検知する明るさによって、表示する文字を自動的に拡大縮小できる。
機能だけを説明するとたいしたことがなさそうに思うが、例えばこういう場面で役立つ。屋外の太陽光の下でノートパソコンを使うと、反射で細かい文字が見えづらいことがある。そうした場合、光センサーが周囲の明るさを検知して、自動的に文字の大きさを変えて見やすくしてくれる、という処理が可能になる。もちろん、光センサーは、ダイナミックに動作しているため、光量の変化によって文字サイズもダイナミックに変わる。
また別の例では、液晶画面のバックライトやコントラストを光センサーからの情報によってダイナミックに変化させることで、ノートパソコンのバッテリーを長時間持たせる、という使い方もある。その場合にも、周囲の明かりにあった制御をすることで、見やすい画面が実現できる。
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