マイクロソフトの研究部門であるマイクロソフトリサーチ(以下、MSR)が、日本のアカデミック界との連携策「マイクロソフトリサーチ アカデミック連携プログラム」=Mt. Fuji Planを発表した。同様のプロジェクトは4年前から行なわれてきたが、今回のプログラムは過去4年間を踏まえてより強固に連携を深めようというものだという。
今回発表されたプログラムの具体的な中身だが、3カ年計画で数百万ドルを使い、以下の4つの分野で展開される。
- 共同研究
- 人材育成
- 学術交流
- カリキュラム開発
共同研究では、毎年10件以上のプロジェクトが選ばれ、将来重要になってくる技術がサポートされることとなっている。相互訪問や博士課程の学生を日本からMSRに派遣することによるインターンシップ活動などが行われる。
これからは高齢化、自然環境保護、教育に対する情報科学の発展を目指した、スコープの広い研究を目指すという。
次に人材育成では、基礎的に分野と応用分野に貢献した人に賞を贈る。今までも各大学からたくさんの推薦があり、今年は15名が審査されたが、京都大学大学院情報学研究科准教授(受賞時)の五十嵐淳氏がオブジェクト指向言語理論の研究で、産業技術総合研究所サービス工学研究センター最適化研究チーム研究員(受賞時)の神谷年洋氏がコードクローンの検出/分析システム「CCFinderX」でそれぞれ受賞し、賞金400万円を得た。
学術交流の分野では、昨日慶應義塾大学にて行なわれた「21世紀コンピューティングコンファレンス」の開催(11月6日には京都大学でも開催される)などの交流の機会を設けていく。
カリキュラム開発では、新しい教材の開発を行なうほか、新しい学習方法を最新の技術で導入する、としている。対象分野は、ロボット技術やデータマイニング、検索など。
マイクロソフト 代表取締役社長 樋口泰行氏は、これまでの取り組みをベースに、日本は特別にこうした取り組みを行なっていくとしたうえで、日本の特長である高品質、モバイル、そして次世代コンピューティングにフォーカスしつつ、それを中心としたした範囲で共同研究をしていくと語り、「Windows 7でタッチという新たなインターフェイスに踏み出したが、引き続きナチュラルインプット、リコグニション、言語処理ではまだまだコンピュータの可能性は広がる。研究の取り組みに期待したい」と述べ、会見を締めくくった。