ドルビープロロジックは、ステレオ音声をサラウンド化する技術
ここまでの説明で、すでに多くのサラウンド方式が登場しているが、他にもまだサラウンド方式があるとお気づきの人もいるだろう。「ドルビープロロジック」がその代表例。これは、同じようでいて、すでに説明したものとは異なる「マトリックスデコード技術」と呼ばれる。わかりやすく言えば、ステレオ音声などあらゆる音声信号を最大7.1chにサラウンド化する技術だ。
ドルビープロロジックは、もともとはドルビーサラウンドのアナログマトリックス信号(2ch)を4chのサラウンド信号にデコードするものだが、2chの信号から4chの情報を取り出す仕組みを利用することで、もともと2chで記録された音楽用CDの音声などもサラウンド化できるようにした。これが「ドルビープロロジックII/IIx」だ。
これと同様の技術がdtsでは「Neo:6」と呼ばれている。また、これに近い技術として「Neral Surround」というものもある。
これらの「マトリックスデコード技術」の最先端は、「ドルビープロロジックIIz」のように、平面的な前後左右に加えて、高さ方向の空間を再現するものだ。ドルビープロロジックIIzの場合は、サラウンドバック用の2ch分を前方左右スピーカーの高い位置に置くことで、7.1chで高さ方向の表現を可能にする技術だ。
ドルビープロロジックIIzとDSXに対応するAVアンプ。左がオンキヨー「TX-SA707」(8月8日発売予定、希望小売価格13万6500円)、右がデノン「AVC-4310」(希望小売価格25万2000円)
これに近い技術として、dtsには「Neo:X」がある。また、自動音場補正技術「MultiEQ」や自動音量調整技術「Dynamic Volume」などで知られるAudyssey社の「DSX」もある。こちらは基本的にはドルビープロロジックIIzと同じく高い位置にスピーカーを置く方式と、左右のフロントスピーカーの外側にスピーカーを置く方式の2つがある。
一般的な家庭ではスピーカー設置が難しい後方ではなく、前方チャンネルを増やすことでサラウンド空間の再現性を高める発想だ。
こうした7.1ch以上のマルチチャンネル再生は、いろいろな方式が検討されており、映画館でもデジタルシネマ上映が一般的となった将来には高さ方向のチャンネルが追加されることもあるだろう。
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