前回(関連記事)に続いて、シャープからau、ソフトバンク向けに登場したソーラーフォンについて、その狙いや商品企画などを詳しく聞いていく。
au「SH002」
メイン端末としてのバランスを意識
女性が持つソーラー
2009年6月にすでにリリースされたau「SOLAR PHONE SH002」。折りたたみ型防水ボディに5.2メガピクセルCMOSカメラを備えるスタンダードな端末としてラインアップされた。
2009年au夏モデルでシャープが送り出したのはこのSH002とSportio Waterproofの2台だが、後者は防水コンパクトなタッチパネル端末でアクティブなスポーツ向けというコンセプトを色濃く出している。つまり、もう一方のSH002は、メインストリーム向けの端末という役割を担っているのだ。
「ソーラーはあくまでもデザインの一部として受け入れてもらえれば、と思っています。端末が並んでいても、サブディスプレイやカラーには(お客さんの)目が肥えています。だからこそ、今までと違うモノだ、と興味を持ってもらうところから始まる必要があるのではないかと思います。もちろんソーラーで選んでも、基本性能は高いので安心して使っていただけます」(シャープ株式会社 通信システム事業本部 中田尋経氏)
デザインや仕上げには、かなり女性をターゲットとして意識している。SH002はソーラーパネルがある端末の表面を多層膜による加工を行なっており、角度によってボディーカラーと同じ色の反射を楽しめる。
ただ、ソーラー発電をしようとしているのに反射を楽しめるデザインというのは矛盾しているようにも思える。しかしここにも工夫があるのだ。ソーラー発電に影響がない波長の光を反射して色味を見せることを多層膜によるコーティングで可能にし、発電量に影響を与えずにキラキラと光るデザインを実現した。女性が持つソーラーケータイを作ろうと光の質感までキチンとデザインに含めている点にこだわりを感じる。
そのほかにも節電の努力が随所にあふれる。
「消費電力を抑えることは課題です。まず、省電力モードを引き続き搭載しています。マニュアルでモード切替も可能ですが、電池残量が1つになると自動的に省電力モードに切り替える機能を搭載しました。また、メール着信や電話発信の際に画面に表示されるアニメーションのコマ数を減らす工夫をしています」(中田氏)
最近著しい画面の大型化・高解像度化は電池の保ちに直結する問題だ。高解像度化されたディスプレイをリッチなアニメーションで動かそうとすると、そのぶん電池を食ってしまう。そこでSH002に搭載しているアニメーションは、退屈にならない程度にコマ数を省いたシンプルな表示をプリセットしているそうだ。
極力Flashを使わないようにしたり、画面の文字表示もバックライトが暗くても視認性が高いように、コントラストを高くする色遣いを選ぶ。デザインとともに省電力に対しての細やかな気配りが当たり前のようになされているのも、ソーラーケータイとしての完成度を高めているように思われる。
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