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リピートアクセス対策

2009年03月11日 14時34分更新

文●権 成俊/株式会社ゴンウェブコンサルティング 代表取締役、李 泰成/株式会社ゴンウェブコンサルティング SEMチームリーダー

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リピーターはサイトの成長に必須

●ネット上のコンタクト数の限界

 前回もお話ししたように、検索エンジンからの訪問者数には限界があります。中央区で歯医者を探している方が“中央区 歯医者”と検索する頻度はかなり少ないでしょう。しかし、普段街を歩いていて歯医者の看板を目にする機会はもっと多いはずです。ネットで食料品を検索したり、購入したりする頻度は多い人でも毎日とまではいかないと思いますが、毎日スーパーに通い、多くの食料品を目にし、購入するのは毎日自炊する人にとっては当たり前のことです。このように、日常生活で広告に触れたり、商品の購入をする機会に比べると、ネット上での広告への接触、購入の機会はとても少ないのです。

 そこで、少しでも多くの訪問者を獲得するために、リピート訪問者の積み上げが必要になります。検索エンジン経由で一度サイトを訪問してくれた方に、再度訪問してもらうための工夫をするのです。新規訪問者を毎月100人のしか誘導できないキーワードでも、前月の新規訪問者の10%が再訪してくれれば110人になり、毎月訪問してもらえればそのキーワードがもたらす訪問者は1年後には220人、3年後には460人になるということです。ちなみに、通常リピート訪問者はサイトの内容を確認した上で興味を持って再訪するため、新規訪問者よりもコンバージョンレートが高くなります。

リピーターを増やす

●商品リピートとサイトリピート

 リピート訪問には大きく分けて2種類あります。商品リピートとサイトリピートです。商品リピートとは、同じ商品が欲しくて前回購入したサイトをリピート訪問し、同じ商品を購入する場合で、サイトリピートとはサイトの特徴などが気に入って、リピート訪問する場合です。購入する商品は通常は前回とは異なるものです。
 商品リピートの具体的な例としては、いわゆる単品リピート商品が挙げられます。水や米のような消耗品、洗剤などの消費財、化粧品、健康食品やサプリメントなどが挙げられます。毎月1回購入するものであれば、毎月1回はサイトを訪問する、ということになります。
 サイトリピートの例はAmazonのような専門商品のポータルサイトが挙げられます。同じ商品を買いに来るわけではなく、一度本を購入して、サイトの使い勝手や特徴に満足したユーザーが次に本を購入するときにも同じサイトを利用する、というものです。

 商品リピートしてもらうためには商品の魅力を高めたり、伝わりやすくする必要がありますから、商品そのものや、商品説明のコンテンツが重要です。それに対して、サイトリピートの場合はリピート訪問で購入する商品は前回と異なる場合が多いですから、商品に依存しないサイトの魅力が必要になります。具体的には商品の探しやすさや、網羅性、価格、ポイント、納期などです。

●次に買う時もこのサイトで

 商品の探しやすさや網羅性はサイト構造によって大きく変わります。ウォンツ寄りの商品は検索エンジンからの誘導に向いていますが、サイト内でも検索によって誘導するのに向いています。たとえば、型番や商品名、ブランド名による検索です。本はその典型的な例でしょう。これに対して、ファッションやフードなどのニーズ寄りの商品は、ニーズがウォンツとして具体化される前なので、欲しい商品のイメージが曖昧で、検索することができません。その結果ナビゲーションから少しずつ比較、絞り込みをして探していきます。そのため自身の欲しい商品がどこにあるのか、直観的にわかりやすいナビゲーションが必要になります。また、ナビゲーションについてはMECE(Mutually Exclusive collectively Exhaustive;もれなくダブりなく)という考え方で設計することが重要です。つまり、カテゴリを箇条書きでリストアップするのではなく、カテゴリ全体を定義して、それを分割して個々のカテゴリを作るということです。それによって、「このサイトにあなたが探している商品がありますよ」と理解させることができます。これらの工夫によって、「次に購入する時もこのサイトで」と思ってもらうことが可能です。

●プッシュ誘導

 リピート訪問を促すために、メールマガジンやRSSによるコンテンツ配信などの方法もあります。単純に、忘れかけていたサイトからメールが届くと、サイト思い出すという効果(リマインド効果)があります。その時にちょうど購入したい商品があった場合、そのタイミングでサイトを訪問し、購入するでしょう。しかし、逆にそのときそのサイトに興味がなければ、単なる売り込みメールと受け取り、ストレスに感じるでしょう。

 それとは別に、直接商品を売り込む、という販促効果もあります。たとえば、ファッションサイトであれば新商品をメールマガジンで紹介することで、サイトを訪問しなくても商品に興味を持ってもらうことに成功し、売り上げにつながる場合があります。

 リマインド効果を狙ってメールを配信する場合、メールを配信するだけでその目的を達成できますから、ついついメールを乱発しがちです。しかし、昨今ではメールマガジンの開封率の低下が問題となっています。ユーザーがPCを立ち上げると、たくさんの広告宣伝メールが届いています。ユーザーはすべて読まずに開封済みにしたり、ごみ箱に入れてしまいます。

 そうならないように、「このサイトのメルマガはいつも魅力的だ」と思わせるよう心がけましょう。リマインドだけを目的としたようなメールは配信するのではなく、ユーザーが興味を持つメールマガジンを配信することです。たとえば、新商品や特価商品、また以前購入した商品と関連の深い商品を紹介するなどです。新規見込み客の誘導と同じく、その商品に興味を持っていない人を無理やり誘導しても売り上げにはなりません。ユーザーの立場になって、シナリオを考えながらサイトへの誘導を促しましょう。

 そうならないように、「このサイトのメルマガはいつも魅力的だ」と思わせるよう心がけましょう。リマインドだけを目的としたようなメールは配信するのではなく、ユーザーが興味を持つメールマガジンを配信することです。たとえば、新商品や特価商品、また以前購入した商品と関連の深い商品を紹介するなどです。新規見込み客の誘導と同じく、その商品に興味を持っていない人を無理やり誘導しても売り上げにはなりません。ユーザーの立場になって、シナリオを考えながらサイトへの誘導を促しましょう。

●アクセスログからリピーターを検証する

 アクセスログを見ると、サイトのユーザーが新規訪問時に商品を買っているのか、それとも何度かリピート訪問して買っているのかがわかります。たとえば、カーテンの通販サイト「くれない」では下のようなデータが得られます。

*Google Analyticsのeコマース>購入までのセッション数

 64%のユーザーがサイト新規訪問時に商品を購入していることがわかります。逆に言えば、残った36%のユーザーは再訪時、つまりブックマークから訪問したり、検索でサイト名“くれない”と検索してサイトを訪問し、商品を購入していることが予想されます。

 これがよりニーズ寄りの商品、たとえば、ファッション関連のサイト、「大きいサイズの婦人服 アオエ」だと下記のようになります。

 最初のセッションで購入しているのは27%程度で、他のユーザーは2回目以降の訪問で購入しています。つまり、検索などから誘導している新規ユーザーは一見購入していないように見えますが、実は何度か訪問して購入に至っているということです。リピーターを重視している場合、その購入シナリオを理解していないと、売り上げにつながるユーザーを見落とす可能性があります。自社のモデルとユーザーの動きを理解しながらアクセス対策の改善を行いましょう。

著者プロフィール

名前 権 成俊(ごん なるとし、左)、李 泰成(り やすなり、右) info[アットマーク]gonweb.co.jp
※著者に直接問い合わせをする際は、お名前、会社名、サイトURLなどを明記してください。
会社 株式会社ゴンウェブコンサルティング
サイト http://www.gonweb.co.jp/

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