CPとの協力が成功の鍵
iモードのようなビジネスモデルは、世界初と言われている。iモードの成功がケータイビジネスの新たな市場を開拓したことは、周知の事実だ。
原田氏が考えるiモード成功の要因の1つは、CPと強い結びつきを持てたことだ。「最初にメニューリストを用意したことがよかった」と原田氏は振り返る。インフラだけを作ってコンテンツを誰もが自由に作れるようにすれば、パソコンのインターネットと同じように無秩序な状況になっていたかもしれない。iモードはメニューリストを用意することで、CPはNTTドコモと強い結びつきが必要となった。また、実際CPの提案で新しい方向性が見えたこともあったと言う。ユーザー数が増えるに連れて、CP数も次々と増えていき、新たなサービスが生まれていった。
「大きなところでは、着メロや待受画面の登場によってユーザー数が急激に伸びるきっかけとなった」と原田氏。やがて、着うたやアプリが出た。アプリが出るとゲームが広がる。デコメール、ワンセグ、おサイフケータイ。ヒットは続いた。
さらに、ネットワークや端末の容量が増え、液晶もきれいになり、2004年より開始された「パケ・ホーダイ」のようなパケット定額制に加入するユーザーが増えた。そのタイミングで動画も増えてきている。「静止画とテキストの世界から、テレビや映画に近いものが見えるようになり、表現力が向上した。レシピサイトでフライパンの動きを見たり、ニュースのハイライトシーンを見たりできる。ショッピングでも動画なら色々な表現ができるだろうし、今後の利用はますます増えるだろう」(原田氏)。
「次々と新たなサービスが増えていったことで、新しいものが出たらユーザーがさらに使ってみたくなるといういいサイクルが実現できた」と原田氏は述べる。iモード登場後、他キャリアも同じようにケータイのインターネットサービスを手掛け、この10年間のうちにはKDDIの「着うた」など、タイミング的には他社に後れを取ったサービスもある。しかし、「一番乗りではなくても、自分たちの独自サービスとあわせて他社が提供するサービスをドコモでもきちんと提供できていればユーザーはひきつけられる」と同氏は述べる。