(株)東芝は、最大51GBのデータを記録可能な再生専用HD DVDディスクを開発。HD DVD-ROMのハイエンドディスクとして、DVDフォーラムに提案し、年内の規格化を目指すことを明らかにした。2007 International CESの会場で7日(現地時間)、北米HD DVDプロモーショングループが開催した記者説明会で発表されたもの。
説明会の壇上に立った東芝執行役上席常務 デジタルメディアネットワーク社 社長の藤井美英(ふじいよしひで)氏 |
HD DVD-ROMは、これまで片面1層あたり15GB、最大30GB(片面2層)が最大容量だったが、片面1層あたりの記憶容量を17GBに向上させ、さらにそれを3層に重ねることで実現する。構造上はすでに販売されているHD DVDディスクと同じで、0.6mmディスクを2枚張り合わせる。約17Mbpsのハイビジョン映像ならば、最大で約7時間まで記録可能だ。
また、HD DVD-Rディスク(片面2層対応)への書き込みが可能なノート用スリムドライブ(厚さ12.7mm)も開発。これをAVノートパソコンの“Qosmio”に搭載した試作機を東芝ブース内で公開する。同製品の詳細スペックや価格、提供時期に関しては2007年第1四半期中に発表されるという。
同社では、さらに書き換え可能なHD DVD-RWにも書き込めるドライブや、ウルトラスリム(9.5mm厚)タイプでスロットローディング機構を採用し、HD DVD-R/RWへの書き込みに対応した製品なども計画している。
発表会では、このほかにも現状では東芝など数社しか製品化していない民生用HD DVDプレーヤーのラインアップが増え、日本の(株)オンキヨー、香港のAlco Electronics(Venturerブランド)、中国のShinco Electronics社などから製品が投入されることが明らかになった。車載用のシステムも製品化が予定しており、アルパイン(株)が試作機を開発。こちらはCESのHD DVDブースで展示される。このほかにも、ハイエンド映像/音響機器の開発で知られる英Meridian Audio(メリディアン・オーディオ)社が製品を投入を行なう予定だという。
HD DVDドライブのロードマップ |
このほか、HD DVDのコンテンツ提供会社として新たにバンダイビジュアル(株)も加わった。米国におけるHD DVDの状況は昨年春に東芝がBlu-ray陣営に先駆けてプレーヤー製品を投入。その後Xbox 360用の外付けドライブが販売されるなどしたため、比較的好調に推移した。出荷台数は1月5日現在、北米だけで17万5000台を超えており、2007年末までには250万台の出荷を見込んでいる。北米で流通しているコンテンツ数に関してはBlu-ray Discよりも多いという指摘もあるが、2007年にはさらに300タイトルを追加し、全世界で600タイトルを目指すという。
ソフトの売り上げに関しては2007年中に北米だけで6億ドル(約720億円)を目指しており、これは2006年の40倍の水準となる。ハードに関しても東芝が低価格機の投入などによって、北米市場で2007年度中に少なくとも180万台を売ると抱負を述べていた。