日本SGI(株)は5日、屋内にいる人たちの感情を声で察知し、適切な動作を行なう“空間ロボット RoomRender(ルームレンダー)”について、同社で記者発表会を開催した。
概要を説明する日本SGI 戦略事業推進本部 執行役員本部長の大塚 寛氏 |
名称がロボットとなっているが、今回の発表内容は2足歩行でお茶を運んでくるロボットのようなハードウェア的なものではなく、室内にいる人たちの感情を認識し、ブラインドの開け閉めやエアコンの調整などを自動で行なうというソフトウェア技術が主体のもの。
感情の認識は、(株)アドバンスト・メディアが開発した音声認識技術と、SGI子会社の(株)エイ・ジー・アイが開発した感性制御技術“ST(Sensibility Technology) Ver.2.0”を組み合わせて行なう。STは人間の声の音声特徴から感情を読み取り、“怒り”や“喜び”“悲しみ”など6パターンの感情を認識できる技術。
発表会のプレゼンテーションの最中(左)に、プレゼンターが「疲れた」と声を発すると、右のように照明が変化し、音楽が流れてきた |
発表会場の会議室にはRoomRenderが試験的に導入されており、司会者が「プレゼンテーション」と叫ぶと、ブラインドが下り、照明が暗くなってプレゼンテーション用資料がプロジェクターによりスクリーンに投射される、といった一連の動作が自動的に行なわれた。また司会者が「疲れた」と言うと、プロジェクターの映像が消え、会議室に置かれた飾りが光り出し、音楽が再生されるなど、“癒し”の演出が始まった。さらに会議室の壁をさまざまな色でライトアップする“FeelingWall(フィーリングウォール)”が設置されており、会議の様子で色が変化。通常は緑色のライトが議論が白熱しだすと赤色に変わる、といった演出も実現している。FeelingWallはRoomRenderの一部として提供する予定だという。
会議室の“FeelingWall” |
このRoomRenderの導入分野としては、ビジネス(会議室など)や福祉・介護(病室や在宅医療)、ホテル、個人住宅などを見込んでいる。現在のところ、製品化の予定などは立っていないとのことだが、室内装備(可動式ブラインドや照明など)を除いたRoomRenderの価格は500~600万円ぐらいになるとのこと。
さらに今後は、日本SGIが開発したナビゲーションロボット『Posy(ポージー)』や、同社が国内正規代理店として販売している電動立ち乗り2輪車『Segway(セグウェイ)』などとの連動も視野に入れているという。