米国版“myspace”のプロフィールページ例 |
ソフトバンク(株)は7日、ソーシャルネットワークサービス(SNS)“MySpace”の日本版となる“マイスペースジャパン”のベータサービスを開始すると発表した。
マイスペースは2004年1月に米国で開始された招待なしで登録できるオープン型のSNS。日本も含めると、7ヵ国4言語で展開している。同社によれば、現在の登録ユーザー数は1億2500万人で、毎日32万人のユーザーが増えているという。
同時にソフトバンクは7日、米ニューズ・コーポレーショングループ傘下のオランダ、エフ・アイ・エム・インターナショナル社と50%ずつ共同出資し、マイスペース(株)を設立すると発表している。日本版マイスペースの運営が主な業務で、資本金は5億9000万円。なお、米国の“MySpace”は、ニューズ・コーポレーショングループが100%出資している。
米国ではYahoo!に次ぐ2位のページビュー
ソフトバンクの代表取締役社長、孫正義氏 |
記者発表会ではソフトバンクの代表取締役社長、孫正義氏が登壇してサービスの全貌を解説した。まず、MySpace全体の現状については、「ユーザーが1日あたり30万人増えているというのは、1秒当たり3.5人登録している計算になる。世界の人口増加数が1秒あたり2.5人なので、これより多い」とコメント。
さらに国内SNS最大手の“mixi”を引き合いに出し、「今年7月の段階でユーザー数が500万人と発表されている。現在700万人程度と思われるが、マイスペースは1億2500万人だから大変多くの人が登録していると分かるだろう」と、利用者数の多さを強調した。
また、米MySpaceの月別ページビューについて「“Yahoo!”に次ぐ第2位で350億ビュー」と語り、「GoogleやMSNを抜く」存在であることをアピールしている。
ユーザー登録数の推移 | ページビューの推移 |
サービスの特徴については、3つのポイントを挙げた。まず“最強の自己表現ツール”と前置きした上で、「今までの国内のSNSは定型フォーマットで、文字や写真が中心だった。マイスペースなら、デザインをカスタマイズできるうえ、テキスト、画像、音楽を扱える。携帯電話を飾るように、自分のページも自由に変えられる」と、カスタマイズ性の高さを語った。
続けて、孫氏が「音楽を自由に自分のページに貼り付けられる」と表現する“Musicチャンネル”に話が移る。これはアーティストやバンドがマイスペース内に自分のページを作って曲をアップロードできるという機能。公開された曲は他の人のプロフィールでもアップロードできる仕組みになっている。
孫氏は「米MySpaceではマドンナ、U2、ビヨンセなど300万のアーティストやバンドが参加している。日本版マイスペースも中島美嘉などの国内アーティストが参加する予定」と構想を明らかにした。
また「メジャーアーティストを上回る、MySpace発のアーティストも登場している。例えば米MySpaceでは“Cassie”という無名のアーティストが、マドンナの5倍に当たる1300万以上のページビューを獲得している」とコメントしている。
最後の特徴としては、“オープン型でワールドワイドに展開”という点が紹介された。孫氏は国内の大手SNSが招待性を取っていることを例に挙げ、「今までのSNSは閉鎖的。マイスペースは招待なしで、7ヵ国4言語の全世界の人とボーダレスにコミュニケーションできる」と語った。
本日ベータ開始となるマイスペースジャパンのベータサービスに関しては、「日本のユーザーの声を吸収して、より日本のユーザーや文化に合うような形で進化させていきたい」と抱負を述べている。
有名/インディーズを問わず、300万のアーティストが自分のプロフィールページを持っているという。日本でも中島美嘉などが参加する予定 |
マイスペースジャパン開設を記念して、ロックバンド“OASIS”のギター/ボーカルを担当するノエル・ギャラガー氏と、ギターのゲム氏によるアコースティックライブが、15日に登録ユーザー向けに開催される予定だ |
「あらゆる携帯会社に対応していく予定」
発表会後半の質疑応答では、記者から音楽の著作権についての質問が相次いだ。マイスペースの代表取締役社長、香山誠氏は「日本と米国の著作権管理団体は異なる。例えば日本では、JASRACの権利下に置かれているアーティストはJASRACの許可が下りれば配信できるようになるが、いろいろな分野の方々と話し合いしていく必要がある」とコメントしている。
また“Yahoo! Japan”はSNS“Yahoo! Days”を展開しているが、これとの今後の展開に付いて孫氏は「何も決まっていない。さまざまな可能性がありうる」と明言を避けた。
携帯電話への展開については、「マイスペースとしては遅かれ早かれあらゆる携帯会社に対応していく予定。しかし、ソフトバンクモバイルではMySpaceと提携する以前から携帯電話向けのSNSを開発していたため、このプラットフォームを利用するとソフトバンクでの開始時期が早くなるかもしれない」と語った。
記者発表会には“メディア王”と呼ばれるニューズ・コーポレーションのルバート・マードック氏も参加。写真左よりニューズ・コーポレーションCOOのピーター・チャーニン氏、マードック氏、孫氏、米マイスペース社のクリス・デウォルフ氏とトム・アンダーソン氏、マイスペースの香山誠氏 |