家電大手5社などが7月に共同設立したテレビポータルサービス(株)は2日、都内で記者会見を開き、テレビ向けの新ポータルサイト“acTVila(アクトビラ)”を来年2月1日にオープンすると発表した。
生活情報関連のコンテンツをリコメンド
acTVilaは、ブロードバンド接続機能をもつデジタルテレビ向けのサービスで、スタート当初は静止画とテキストでニュース/天気/株価/占い/レシピ/ショッピング/旅行/交通/チケットといった生活情報といったコンテンツを専用ブラウザーを使って提供する。インターネットのポータルサイトと異なり、検索を中心としたサービスではなく、テレビのような“リコメンド”を中心としたサービス展開となるという。
2月のサービス開始後、春頃にはストリーミング機能にも対応してVOD配信を始めるほか、2008年の春をめどに蓄積型のダウンロードサービスも開始する予定という。ショッピングや課金制VODでは、当初はクレジットカードによる決済でスタートするが、各種決済方法にも順次対応する。
ポータルサイトの位置づけ | 生活情報を中心にコンテンツを提供 |
ブランド名はactive、alive、villageなどからの造語 |
OSやブラウザーの実装方法は自由で技術仕様はオープン
テレビポータルサービスは、シャープ(株)、ソニー(株)、ソネットエンタテインメント(旧ソニーコミュニケーションネットワーク(株))、(株)東芝、(株)日立製作所、松下電器産業(株)の6社が共同設立したもの。関連70社からなる“デジタルテレビ情報化研究会”は、放送のデジタル化やブロードバンドの普及を背景に2003年4月からブラウザー機能やストリーミング機能のの標準化といった技術仕様の検討を進めてきた。今年2月には当該家電5社が“DTVポータル検討ワーキンググループ”を発足。ポータル事業形態の検討を進めた結果、7月の合弁会社の設立、今回の発表となった。
acTVilaは技術仕様を取り決めただけのもので、映像のコーデックにはMPEG-2/4を用いるなど、サービス利用が特定の技術や製品に制限されることはない。OSやブラウザーの実装についても規定はない。デジタル著作権保護技術には、家電機器メーカーが中心となって開発中の“マリーン”の採用を想定して準備中という。マリーンは「処理が軽く、実装が容易であるなど家電機器向け」(同社取締役社長 大野誠一氏)という。
ネットと一線を引く“Walled Garden”
テレビポータルサービスは、コンテンツを積極的に集めるビジネスモデルではなく、多くのサービス・コンテンツ事業者が参入できるよう、オープンで、水平分業が可能なプラットフォームを提供する形になるという。
技術仕様をオープンにする一方で、機器認証を徹底するほかコンテンツ・ガイドラインを設けるなどしてセキュリティーや使い勝手の面で課題の多いインターネットの世界とは一線を引く。「テレビと同様の“安心・安全”“簡単・便利”を目指す。いわば、プライベートビーチのようなもの」(大野氏)。テレビのリモコンにacTVila専用ボタンを配置するなど幅広いユーザー層に訴求する。
専用リモコンボタンでアクセスが可能 |
来年2月のサービス開始時点での各テレビメーカーの対応具合について大野氏は、「どのぐらいacTVlia対応端末が出てくるかというのは、各メーカー次第」としながらも、「サービスサイドとしては、なるべく早い段階で過半数を超える7、8割のテレビが対応してくれることを願っているし、そのような魅力的なサービス開発を進めたい」と、サービス普及への意欲を語った。
代表取締役社長 大野誠一(おおのせいいち)氏 |