速報でお伝えしたとおり、米マイクロソフト社は13、14日の2日間、米国本社でハードウェア製品のローンチ・イベント“Experience the Difference”を開催し、キーボード、マウス、ウェブカムなど12製品を発表した。
製品概要や価格は速報をご覧頂くとして、今回発表された製品群から、周辺機器市場におけるマイクロソフトの戦略をまとめつつ、個別の製品を具体的に見てみよう。
キーワードは3つ。“高級志向ユーザーへのアプローチ”、“ニッチ市場の積極開拓”、そして“ソフト・サービスとの統合強化”だ。
アルミ加工を使った高級モデル
今回の発表で真っ先に目に付くのが“アルミヘアライン加工”採用製品だ。キーボード、マウス、ウェブカムのそれぞれで1モデルずつでアルミを採用し、高級感を追究している。特に、日本円にして約3万円のキーボード&マウス、“Wireless Entertainment Desktop 8000”は地元米国の新聞で“skyrocket high(ベラボウに高い)”と書かれるほど挑戦的な価格設定だ。マイクロソフト製品には、これまでにも比較的高価格帯のマウス製品はあったが、Desktop 8000は別格。価格設定からして新たな市場へのチャレンジと受け取るべきだろう。
Wireless Entertainment Desktop 8000。ちょっといいAV機器のように高級感のあるデザインだ | Wireless Laser Mouse 8000。金属光沢やバッテリ残量を示すLEDの明滅が美しい | |
これらの製品は性能面でもハイスペックだ。写真では伝わらないかもしれないが、Desktop 8000は薄く、軽く、金属光沢も美しい。アルミパーツは薄いが、充電器と接する中央上部のへこみのおかげで剛性感も高い。
キートップが青紫色に、ほんのりと光るギミックもDesktop 8000の高級感を醸している。この光るキートップは、デザイン上の問題であると同時に、新しいタイプのユーザーニーズを反映したものだという。ユーザーの利用実態を、家庭やオフィスで実地で調査してみると、かなり多くのユーザーが、深夜のチャットなどで暗い部屋でキーボードを叩いていることが分かったという。
バックライトでキートップが青白く光る |
テーブルから離れて使うことも想定して、ポインティングデバイスも装備。右上の“OK”の文字がある四角がタッチパッド |
ユーザーエクスペリエンスマネージャーのアンディ・カージル氏によると、ユーザーニーズにはユーザー自身が明確に意識できていて、“~の機能がほしい”と言語化できるタイプのニーズと、ユーザー自身ですら言葉にできない潜在的なニーズがあるという。キートップを光るようにしたのは、暗い部屋でキーを叩くユーザーを観察した結果、すくい上げた潜在ニーズだという。
ユーザーエクスペリエンスマネージャーのアンディ・カージル(Andy Cargile)氏 |
潜在ニーズを反映した例はほかにも、ユーザーの存在を検知するセンサーの搭載が挙げられる。多くのユーザーは、休止やスタンバイ状態のパソコンを“起こす”ためにマウスを無造作に振る動作をする。マウスを振って、画面が復帰するのを待つという行為は無意識に日常的に行なっているため、ユーザーにとっては、それが問題であるとすら意識されていなかった。Desktop 8000では、この意識されない煩雑さを解決するために、キーボード手前部分に近辺の物体との距離を測るセンサーを搭載。設定した範囲にまで人間が近づくと、マウスに手をかけたりシフトキーを押さなくてもパソコンが復帰する。特にBluetooth機器ではUSB機器などより認証に時間がかかるため、Desktop 8000では、この機能が有効だという。
明示的なユーザーの声に応えた機能も、もちろんある。
1つは充電の問題。「マウスをいちいち充電器に垂直に立てるのが嫌」という声と、キーボードの電池切れの問題を、まとめて解決するのが充電器とUSBハブが一体化した専用パッドだ。
マウスは2ヵ所に設置点があり、左右どちら向きに置いてもいい。また、専用パッドとキーボード側に磁石が入っており、キーボードをパッドに近づけると、すっと定位置に吸い付いて充電が始まる。マウスや携帯電話をクレードルや充電器に設置するとき、無造作に置いたために、実は接触不良で充電されていなかったということは多くの人が経験しているのではないだろうか。
マウスとキーボードで兼用する充電パッド。キーボードとは磁石で吸い付く |
充電パッドは3つのUSBポートを備える |