米マイクロソフト社から15日(米国時間)に突如発表になった、ビル・ゲイツ(Bill Gates)氏引退の報道。ゲイツ氏の後継者として、開発責任者(CSA:Chief Software Architect)に就任する、レイ・オジー(Ray Ozzie)氏とは、一体どんな人物なのだろうか?
Lotus Notesの父にして、ネット戦略の鍵を握る重要人物
レイ・オジー氏 |
マイクロソフトのサイトに掲載されているオジー氏の略歴には、“ロータス・ノーツ”の創始者、P2P型コラボレーションソフト『Groove』を開発し、2005年4月にマイクロソフトが買収した米Groove Network社の創業者、米Data General社における初期の分散オペレーティング・システムの開発を担当、といったフレーズが並んでいる。
オジー氏はGrooveが買収された後で、マイクロソフトの最高技術責任者(CTO:Chief Technical Officer)に就任した。昨年11月に米国の複数メディアが報じたニュースでは、「インターネットサービスの分野で多くのライバルを持つマイクロソフトが今後“オンライン広告と各種サービスの開拓”に失敗すれば、同社のビジネスが大きな危険に直面する」と、ゲイツ氏に提言したとされている。
マイクロソフトは創業以来、ソフトウェア専業メーカーとしての立ち位置を貫き、その成功はWindowsを始めとしたパソコン用プラットフォームの開発によってもたらされた。しかし、今やソフトウェア開発の主戦場はWindowsのようなOS/プラットフォームの上ではなく、インターネット上のASP(アプリケーション・サービス・プロバイダー)へと移り変わりつつある。
米グーグル(Google)社は、5月に『Google Web Toolkit』というAjaxアプリケーション開発ツールのβ版を公開したが、これは現在ローカルのマシンで動いている“さまざまなアプリケーションをインターネット上で利用する”時代が到来するという意味で、実に象徴的な出来事だと言える。
オジー氏は、「マイクロソフトが、ウェブアプリケーションの分野でイニシアチブを取れるいくつかのチャンスを逃してきた」と指摘するとともに、「ウェブベース開発プラットフォームの重要性」に関しても、ゲイツ氏に説いたとされる。ゲイツ氏からオジー氏へのバトンタッチが、「インターネット企業としてのマイクロソフトの再生を意図したものである」と想像するのは容易だ。
オジー氏は昨年11月16日、3度目の再開となる自身のブログで、以下のように綴っている。
技術面でマイクロソフトの舵取りを行なうことになったオジー氏の人生が、今まで以上に多忙なものになるのは確かだろう。