KDDI(株)と(株)テレビ朝日は23日、モバイル向け地上デジタル放送(以下、ワンセグ)において共同で事業化に向けての検証を行なうと発表した。auのワンセグ対応携帯電話とテレビ朝日のワンセグデータ放送を連動させ、3つの事業に関して事業化の見込みがあるかを検証する。検証期間はワンセグが本放送に切り替わる4月から9月までとなり、収益が見込めるものについては事業化を行なう方針。
実証実験のイメージ。今回両社が力を注ぐのは、番組の下に表示されるデータ放送部分となる |
検証を行なう具体的な内容は,
- テレビ朝日で放映中の音楽番組“オンタマ -音魂-”のスポンサーであるKDDIのキャンペーン告知や“Ezweb”へのリンクを掲載し、テレビ広告との連携によるサービスモデルの実効性を検証する。
- ショッピング番組“セレクションX”および情報番組“いち散歩”で紹介する商品のプロモーションと注文受付を行ない、テレビショッピング連動のEコマースの可能性を検証する。支払いなどのシステムは“au Shopping Mall”を利用し、au携帯電話の利用料などとまとめて支払える。
- ドラマ“7人の女弁護士”など、番組連動のデータ放送にモバイル向けサイトのコンテンツ紹介やリンクを表示し、テレビの連動がオンラインコンテンツの集客にどのように影響を与えるかを検証する。
の3事業となる。
毎週月曜日から金曜日の24時10分から放送されている“オンタマ -音魂-” | 毎週月曜日から木曜日の25時59分から放送されている“セレクションX” | 毎週木曜日21時から放送される“7人の女弁護士”(4月13日より放送開始) |
今回の検証のいきさつについて、KDDIのコンテンツ・メディア事業本部部長の神山 隆氏は、テレビ視聴スタイルの変化を挙げ、「たとえばテレビ朝日の“ミュージックステーション”内で放送される“着うたランキング紹介”の後に、EZwebの検索件数が約3倍になる」などの例を説明。携帯電話を片手にテレビを見る、というスタイルが定着しつつあるという認識を語った。また、テレビ朝日の事業局デジタルコンテンツセンター長の小西裕之氏は、「プラットフォーム整備のフェーズは過ぎ、さまざまな試みを行なう環境が整った」と今回の検証に踏み切った理由を説明。さらにテレビ朝日プランニングプロデューサの西 勇哉氏は「通信と放送、どちらがどちらを喰うか、と言われた時期もあったが、両者が連携することでテレビとモバイルはもっと近くなる」と相乗効果の可能性について、展望が明るいという認識を示した。
KDDIのコンテンツ・メディア事業本部部長の神山 隆氏 | テレビ朝日の事業局デジタルコンテンツセンター長の小西裕之氏 | テレビ朝日プランニングプロデューサの西 勇哉氏 |
なお、KDDI、テレビ朝日ともに携帯キャリアーやテレビ局にはこだわらない考えで、今後はお互いに他社との共同事業化検証や事業提携も視野に入っているという。