“ファイルバンク”をウェブブラウザーで開いたところ |
(株)グレテックジャパンは16日、オンラインストレージサービス“ファイルバンク”において無料で利用できる最大ディスクスペースを1GBから100GBに増やすと発表した。同時に100GBまでのファイルを無料で送信できる転送サービス“ビッグメール”も始める。サービスの開始はともに22日。
従来の100倍にあたる100GBの容量を提供する |
“ファイルバンク”は、ウェブブラウザーや専用ソフトを使ってファイルをやり取りするオンラインストレージサービスで、100GBのサービスには無料プランと有料プランが用意される。
無料プランを利用するには会員登録が必要。最大100GBのディスクスペース、アドレス帳機能、送信履歴機能などが提供される。ウェブブラウザー上でファイルをやり取りする際には、両者が会員登録している必要があるが、専用ソフトを使う場合は“ゲストフォルダ”を作って、非会員にデータを渡すことも可能だ。ただし、3日に1度ログインしないと、アップロードしたデータが消去されてしまう。
データ転送速度は、ダウンロード容量の合計が1日500MBまでの場合は10Mbps~30Mbps程度の“特急”、501MB以上は0.3Mbps~1Mbps程度の“各駅”となる。つまり、高速ダウンロードの権利が毎日500MBぶん提供されるということだ。
1日に501MB以上のデータを“特急”でダウンロードしたい場合は、“特急パス”を追加購入する必要がある(2000MB/600円から)。なお、特急パスは定額料金ではなく使いきりで、規定の容量を使い切った後は随時購入することになる。
有料プランには、ディスクスペースが2GB/10GB/100GBと異なる3種類のプランが用意される。利用期間が1ヶ月の場合の料金は、2GBが800円、10GB版が4000円、100GB版が2万円(2000MBぶんの特急パス付き)。こちらは3日に1度ログインしなくても、データは消去されない。
ファイルバンク有料プランの料金 | 特急パスの料金 |
“ビッグメール”は、オンラインストレージを介して最大100GBのファイルを送信できるファイル転送サービス。その仕組みは、まずビッグメールのページで送信者名とそのメールアドレス、相手のメールアドレスを入力して送信するファイルを指定。送信を指示すると、ファイルがオンラインストレージ上に保存されて、同時にファイルのダウンロード先URLがメールで相手に届く。このURLをクリックすることで相手がファイルを入手できるというものだ。
ビッグメールは非会員でも利用可能だが、最大容量/ファイル数が1GB/10ファイルに限られるうえ、ダウンロード速度が“各駅”となる。会員登録すれば、自分のパソコン内にあるファイルは1GB/10ファイルまで、ファイルバンク上にアップロードしたファイルは100GB/100ファイルまで送信できる。加えて、500MBぶんの“特急パス”が1日ごとに提供される。この特急パスは、ファイルを送った相手に提供することも可能だ。
“ビッグメール”のサービス詳細 |
「約20万のユーザー数を2006年末に100万に」
韓国GRETECH社の代表取締役、ベ・インシク氏 |
都内で開催されたプレス向け発表会では、まずグレテックジャパンの親会社である韓国GRETECH(グレテック)社の代表取締役、ベ・インシク氏が挨拶を行なった。
ベ氏は「ファイルバンクは、グレテック成長の原動力となった“ポップサービス”の技術を中核にして、2005年6月に開始された。現在では印刷会社やデザイナー、建築設計に携わるユーザーを中心に支持されており、CD-ROM、MO、外付けHDDなどによるファイル伝達から、オンライン上でのファイルの受け渡しにビジネスパターンが変化していると言われている」とファイルバンクの現状について紹介した。
ベ氏によれば、グレテックは自社の技術やサービスを本社以外の国/地域で展開するときは、「まずその土地の文化/国民性/ビジネスモデルを知り、最もふさわしいサービスを提供して、独自のユーザーニーズに応えていくこと」を重視しているという。ファイルバンクについても、「韓国グレテックのサービスではなく、日本法人であるグレテックジャパンが手がけるサービスということを強調したい」と語った。
次いで、グレテックジャパンの代表取締役社長、ロバート・キム氏が日本市場における戦略を解説した。キム氏によれば、ファイルバンクは「2006年3月末に累計会員数が20万人を超える勢いで成長している」とのこと。100GBのファイルバンクとビッグメールを開始することで、「2006年末には100万人の会員登録数と1億円の売り上げを実現し、2006年12月単月での黒字化を目指す」という。なお、キム氏によれば、現在、会員登録者のうち有料会員の割合は1%程度とのこと。
さらにグレテックジャパンのマーケティング事業部・藤田孝広氏によって新サービスの詳細が解説された。藤田氏は「ファイル転送サービスは通常、50~250MBほどのものが多いが、ビッグメールは100GBという大きな差別化をした」と、その優位性を語った。
最後の質疑応答では、ビジネスモデルに関して質問され、今年の後半からファイルバンクのウェブサイトに広告を掲載する予定があることが明らかにされた。ファイルバンクのファイルバング事業部 マーケティング戦略部長の三苫茂(みとましげる)氏は、「サイトの広告は、それで収益を成り立たせようというのが目的ではない。われわれは第一にユーザーの利便性を考えたいので、広告による収益はあくまでもプラスアルファとしてとらえている」と同社の姿勢を語った。