一度使ったらアナログ放送には戻れない
テレビ番組を見る際にはディスプレーを外側に向けると便利だ |
ワンセグの放送は2006年春の放送開始予定で、1月10日現在は、NHK/日本テレビ/TBS/フジテレビなどがアナログ放送と同じ番組を試験的に放送している。しばらく前までは、試験用のBGV(Back Ground Video)や、ワンセグのPRビデオが流れていたが、ごく最近になって通常のテレビ番組がデジタルで受信できるようになった。W33SAは、ワンセグのチューナーのほかにアナログ放送のチューナーも搭載しているが、ほとんどの放送局で試験放送として通常番組を放映している現在では、もはやアナログ放送で視聴する意味はないと言ってよいだろう。
アンテナはテレビ用。携帯電話機としての通信通話のアンテナは本体に内蔵されている | 既存のアナログ放送とワンセグの両方が見られる | |
ワンセグを選ぶと受信機能が立ち上がる | チャンネルを合わせ、実際に画像が出るまで数秒待たされる |
ワンセグとアナログ放送との違いはいくつかあるが、最も分かりやすいのが画質だ。ワンセグでの受信は、電波状況がある程度良ければ、移動中でも画面が乱れることなく視聴できる。一方アナログでの受信は、ポータブルテレビやカーテレビなどの画像を想像していただければわかりとおり、移動中は絶えず電波の受信状況が変わり、画面にノイズが入ったり、時折見られなくなる。また、東京タワー周辺のような強い電波が受信できる場所であっても、条件によってはビルなどの反射波を受けてゴーストが出る。
これがワンセグになると、アナログのような画像の乱れはなく、ゴーストもなく、家庭のテレビのような安定した画像が楽しめる。電波の受信状況が悪くなった場合には、画像が止まったりブロックノイズが出てしまうが、同じ条件のアナログはすでに映像が確認できないほどになるので、ワンセグのほうが圧倒的に有利だ。
データ放送も、電池の持ちもワンセグが有利
また、データ放送も見逃せない。テレビ機能を搭載するauの携帯電話機では、アナログ放送でもEZweb網を使い電子番組表を受信できるが、ワンセグでは番組表などのデータも同時に放送される。つまりパケット通信料を使わずに、見ている番組の情報を表示させることができるのだ。乱れの少ない映像、周辺情報が同時に届くメリットを考えると、ワンセグはまさに携帯電話機に適しているメディアではなかろうか。
気になるのがバッテリーの駆動時間である。説明書によれば、アナログ放送では約1時間ほどしか持たないが、ワンセグの場合は内蔵スピーカーを使って音を出した場合で2時間30分ほど持つという。実際に試してみたところ、満充電の状態から待受けの状態で2時間39分にわたって連続してワンセグ放送を受信できた。もっともバッテリー残量の目盛りが“1”になるとテレビ受信は強制終了するので、2時間39分の間テレビを見て、なお待受けができるということになる。このことから、携帯電話機で通信/通話とテレビ受像の共存は十分実用的になったといえる。
ただし、ワンセグにも弱点がある。デジタル放送特有の映像遅れがあるのだ。通常の地上デジタル放送を含め、地上デジタル放送はアナログ放送に比べて、データのエンコード/デコードのために遅延がある。わかりやすく言えばネット上のストリーミング画像のような方式だからだ。気にするほどのことでもないが、W33SAで表示するワンセグでもアナログ放送に比べて4秒ほど遅れる。生放送のスポーツなどでは遅れた分を損をした気分になるかもしれない。最も気になるのが、受信する放送局を切り替えた時に表示が始まるまでに数秒かかり、チャンネルを頻繁に切り替えて各放送局をななめ見したいという場合には、少しやっかいな仕様だ。