【最新パーツ性能チェック Vol.37】CPU頂上対決はデュアルコアを舞台に! Pentium XE 955とAthlon 64 FX-60はYonahにデスクトップCPUの意地を見せられるか!?
2006年01月10日 14時00分更新
インテルは1月5日、最高性能を追求するユーザー(エンスー)向けの“Pentium XE”シリーズに、65nmプロセスによる“Presler”コアを用いた「Pentium XE 955」を追加した。秋葉原では一時店頭に並んだが、その後発売は16日に延期されている。一方AMDは本日、ハイエンド向けの“Athlon 64 FX”シリーズのラインナップにデュアルコアの「Athlon 64 FX-60」を追加した。これにより、シングルコアでの“Pentium 4 XE”vs.“Athlon 64 FX-5x”と並び、デュアルコアでも“Pentium XE”vs.“Athlon 64 FX-6x”の構図ができあがった。
左がPentium XE、右がAthlon 64 FX |
1月5日のインテルの発表では、コードネーム“Yonah”で知られるモバイル向けデュアルコアCPU“Intel Core Duo”シリーズとともに、デスクトップ用のコードネーム“Presler”コアを使った「Pentium D 920~950」、およびそのハイエンド版「Pentium XE 955」が登場した。955を除き、すでに秋葉原では製品が販売されている。
インテルはエンスー向けにシングルコアではPentium 4 XE 3.73GHz、デュアルコアではPentium XE 840(3.2GHz)というラインナップを持っている。そのデュアルコアのラインの上に955を載せてきたわけだ。955はXE 840同様ハイパースレッディング(HT)をサポートするだけでなく、動作周波数が3.2GHzから3.46GHzにアップ。FSBを800MHzから1066MHzに引き上げたうえ、Preslerコアになったことで、コア当たりの2次キャッシュが2MBに倍増した。Pentium Dの最上位と比べると、従来はHTの搭載だけがメリットだったが、今回は(Pentium D 950との比較で言うと)クロックが66MHz高く、FSBが33%速い、というメリットも付加されたことになる。いずれにしろ“Core Duo”のフィーバーを横目に性能強化を図り、デスクトップの意地を見せたいところだ。
一方AMDのAthlon 64 FX-60は、同社としては初めての“デュアルコアのエンスー向けCPU”だ。周波数は2.6GHz、キャッシュはコア当たり1MB。同社のモデルナンバーの付け方で言えば、実質上Athlon 64 X2-5200相当と言える。
従来FXシリーズは50番台で奇数だったが、これを60番台で偶数にしたことで、上位ではあるが別ラインナップ――という印象を与えようとしているようだ。実際、すでに販売されているFX-57は2.8GHz動作であり、シングルスレッドのアプリを使う場合にはFX-60より高速なのは計測するまでもない。Athlon 64 FX2-59などといったナンバリングをすると、すべてにおいてFX-57より速い印象を与えかねないのを回避したかったものと思われる。
ごちゃごちゃしてきたので、現在の両社のラインナップを表にまとめてみた。
●インテル
シングル | シングルXE | デュアル | デュアルXE | |
---|---|---|---|---|
3.8GHz | 670/570 | |||
3.73GHz | 3.73GHz* | |||
3.6GHz | 660/560 | |||
3.46GHz | 3.46GHz* | 955* | ||
3.4GHz | 650/550 | 950 | ||
3.2GHz | 640/540 | 940/840 | 840 | |
3GHz | 630/530 | 930/830 | ||
2.8GHz | 520 | 920/820 | ||
HT | ○ | ○ | × | ○ |
キャッシュ | 5xx:1MB、6xx:2MB | 2MB | 8xx:1MB×2、9xx:2MB×2 | 2MB×2 |
●AMD
シングル | シングルFX | デュアル | デュアルFX | |
---|---|---|---|---|
2.8GHz/1MB | FX-57 | |||
2.6GHz/1MB | FX-55 | FX-60 | ||
2.4GHz/1MB | 4000+ | FX-53 | X2-4800+ | |
2.4GHz/512KB | 3800+ | X2-4600+ | ||
2.2GHz/1MB | 3700+ | FX-51 | X2-4400+ | |
2.2GHz/512KB | 3500+ | X2-4200+ | ||
2GHz/512KB | 3200+ | X2-3800+ | ||
1.8GHz/512KB | 3000+ |
XE 955については、XE 840や950に対してすべての点で同等以上であり、インテルのデュアルコア製品のなかでは、常に2スレッドだけを実行する状況を除き(詳しくは後述)、最高の性能になるであろうことは予想がつく。注目は、AMDのデュアルコア陣との性能差、およびこれまでシングルスレッドアプリにおいて大きくリードされてきた自社のシングルコアCPUとの性能差がどこまで縮まったか、といった点だろう。
FX 60は、デュアルコアながら同社のシングルコアのAthlon 64のいずれよりも高クロックというすばらしいスペックだ。対Pentiumで圧勝の勢いだった同社の4800+をさらに強化したものであり、どこまで性能が伸びるか、また「TMPGEnc」のような、Pentiumが強いテストも逆転できるかどうかがポイントといえる。
XE 955はVT対応、FX-60はE6ステップ
まずはCPUの素性から。XE 955は“Yonah”同様、今回ついに65nmプロセスへの移行を果たした。「CPUID」はF62。90nmプロセスのPentium XE 840のF44から、モデル(中位)が一気に2つ上がった。「Processor Spec Finder」によれば、従来の90nmプロセスのPentium D/XEはF4x、65nmプロセスだとF62になるようで、F5は欠番になったようだ。1つのパッケージだが、デュアルコア&HTで、CPUとしては4つに見えるところはPentium XE 840と同じだ。キャッシュは確かにコア当たり2MB備えている。また、複数のPC環境を仮想的に実現するのを容易にする“VT”もサポートしている。
計測した限り、1次キャッシュのレイテンシ(4クロック)、2次キャッシュレイテンシ(28クロック)、分岐予測ミス時のペナルティ(30クロック)といった値も同じだったので、コアのアーキテクチャはPrescottのものをほとんどそのまま使っているようだ。つまり、ほぼ純粋なプロセス縮小バージョンといえる。
FX-60のほうは、「CPUID」がF32、拡張モデルナンバーが23で、これはAthlon 64 X2-4400/4800と同じだ。ステッピングもE6のままのようだ。スピードステップ動作時のクロックは1.2GHzとなっているようで(通常のAthlon 64では1GHz)、TDPは110Wで“Athlon 64 X2”シリーズと同等に抑えられている。