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VAIO type BX VGN-BX90PS

VAIO type BX VGN-BX90PS

2005年12月13日 16時33分更新

文● 編集部・小西利明

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 それではいよいよ注目の、type BXのパワーについて迫ってみたい。今回は、特にCPU性能とグラフィックス性能の両方を要求される、3Dグラフィックスベンチマークソフトを実行して、そのパフォーマンスを検証してみた。「ビジネスノートでゲーム?」と首をかしげる人もいるかもしれないが、type BXはビジネス専用機ではなく、ハイスペックのノートを求める個人のパワーユーザーにも訴求することを狙った製品である。優れたグラフィックス性能があれば、オフィスでは仕事に駆使し、家に帰ればネットワークゲームを楽しむ、といった使い方もできるわけだ。実際に筆者も、type BXではないがパフォーマンスノートをそのように使っている。

テストの比較対象としたVAIO type S『VGN-S94PS』。type BXと同じパフォーマンス重視のノートである
テストの比較対象としたVAIO type S『VGN-S94PS』。type BXと同じパフォーマンス重視のノートである

 今回はtype BX単独ではなく、同じパフォーマンス&モバイル志向のノートパソコンVAIO type S『VGN-S94PS』(以下type S)でもテストを行ない、そのパフォーマンスを比較してみた。ちなみにtype Sの基本スペックは以下のとおり。

VGN-S94PS
Pentium M 740-1.73GHz/メモリー 512MB/Intel 915PM Expressチップセット/GeForce Go 6400/80GB HDD/DVD±R DL対応DVDスーパーマルチドライブ/13.3インチワイド液晶ディスプレー 1280×800ドット/Windows XP Professional

 CPUやチップセットは同等だが、type SはGPUに米エヌビディア社のノートパソコン向けGPU『GeForce Go 6400』を搭載している。これはGeForce Go 6xxxシリーズの中では、下~中位くらいの位置づけにある。対するX700は、Mobility Radeon Xx00シリーズでは中~上位の位置づけにある。また両GPUともメインメモリーをビデオメモリーとして割り当てる機能(X700ではHyperMemory、GeForce Go 6400ではTurboCache)を備えていて、トータルで256MB分のビデオメモリーを扱える。ではベンチマークテストの結果を見ていこう。

FFXIベンチマーク3

 まずは(株)スクウェア・エニックスの『Final Fantasy XI for Windows オフィシャルベンチマークソフト3』(以下FFXIベンチ3)による計測を行なった。パフォーマンスに影響を与える常駐型ソフトウェアは可能な限り停止した状態で実行し、設定は“HIGH”で計測している。GPUのビデオドライバ側は初期出荷状態から特に設定を変更していない。計測はいずれも3回行ない、平均値(小数点以下切り捨て)で比較している。

FFXIベンチ3(HIGH)の計測結果
FFXIベンチ3(HIGH)の計測結果

 見てのとおり、type BXはtype Sの1.25倍ものスコアを記録している。もともと“Radeonシリーズでよいスコアが出やすい”傾向にあるFFXIベンチ3だが、同じCPUやチップセットにも関わらずこの差は大きい。

大航海時代 Online ベンチマーク

『大航海時代 Online ベンチマークプログラム』
『大航海時代 Online ベンチマークプログラム』

 次に(株)コーエーのオンラインRPG『大航海時代 Online』の動作検証用に用意された、『大航海時代 Online ベンチマークプログラム』(以下GVOベンチ)を使用して測定を行なってみた。このゲームのグラフィックスエンジンは、低性能のチップセット内蔵グラフィックス機能でも動作するように作られているが、カスタム設定で表示品質を上げると、目に見えて負荷が高くなる。今回はノーマル設定(800×600ドット、32bit)と、カスタム設定で“最高品質”(1024×768ドット、32bit)を選択した状態、さらに最高品質にビデオドライバ側で強制的に全画面アンチエイリアシング(FSAA、4x)を加えて、より高負荷かつ高品位にした3状態で計測してみた。



GVOベンチの計測結果
GVOベンチの計測結果

 結果の大きな差には、正直驚かされた。ノーマル設定はどちらも高速だが、type BXは1.28倍も高いスコアを出した。最高品質ではその差はさらに広がり、type BXはtype Sの1.46倍もの差を付けた。驚いたのは最高品質+FSAAの結果だ。type Sは100を下回り、GVOベンチの基準で“動作不能”の域までパフォーマンスが低下したが、type BXはこの状態でも“非常に快適”の域となる415ものスコアを叩き出したのだ! ちなみに筆者が自宅で使用している自作パソコン(Pentium 4-3.06GHz、Intel 865P、GeForce 6600GT 128MB、DDR333 1GB)では、それぞれノーマルが639、最高品質+FSAAでは442という結果だった。つまりtype BXはゲームでも、1~2世代前のデスクトップパソコンと同等か、それ以上のパフォーマンスを発揮していることになる。

3DMark03&05

type BXで計測中の『3DMark03』のGame Test 2
type BXで計測中の『3DMark03』のGame Test 2

 続いてはメジャーな3Dグラフィックスベンチマークソフトである、米Futuremark社の『3DMark03』(Pro)と『3DMark05』(Business Edition、いずれも最新のパッチを適用)での計測を行なってみた。両ソフトとも多彩な設定が可能だが、今回はデフォルト設定(1024×768ドット)で計測している。

3DMark03および3DMark05のOverallスコア
3DMark03および3DMark05のOverallスコア

 3DMark&05では、ゲームを元にした2つのベンチマークテストよりもGPU性能が反映されやすく、計測結果もそれを裏付けるものとなった。type BXは1世代前の3DMark03で約2倍、3DMark05では約2.8倍もの差が付いた。数値的には、チップセット内蔵グラフィックスを使うデスクトップパソコンもしのぐレベルにある。

3DMark03のDirectX 9ベーステスト“Nature”。低価格のデスクトップでは実行も難しいテストだが、type BXは優れたパフォーマンスを示した
3DMark03のDirectX 9ベーステスト“Nature”。低価格のデスクトップでは実行も難しいテストだが、type BXは優れたパフォーマンスを示した

メインマシンとしての実力は十分

 これらのベンチマークテストの結果を見るに、type BXにX700を搭載した構成は、ビジネスユースからネットワークゲームまで、パソコンに求められる多くの用途に優れた性能を発揮するのが期待できる。パワーユーザーの方には、“あくまでメインマシンはデスクトップで、ノートは補助的に使う物”という意識を持つ人も少ないないだろう。しかしパワフルなX700を積んだtype BXならば、仕事も趣味も1台でこなせるパワーを、どこにでも持ち運ぶことができる。それでいて評価機構成でも価格は21万円弱と、スペックのわりには意外に低価格でもある。「自分の環境をどこでも使いたい。性能にも妥協したくない」というパワーユーザーの贅沢な希望にも応える製品と言えるだろう。

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