(株)エヌ・ティ・ティ・ドコモは28日、東京・大手町のアーバンネット大手町ビル内NTTコーポレートニューズルームにプレス関係者を集め、“2006年3月期”(2005年4月から2006年3月までの1年間を指す)の中間決算と、修正した通期予想を発表した。決算内容と通期予想の詳細は以下のとおり。
2006年3月期通期予想
- 営業収益
- 4兆7840億円(進捗率 49.6%)
- 内携帯電話収入
- 4兆1270億円(同 50.5%)
- 営業利益
- 8300億円(同 67.3%)
- 税引前利益
- 9420億円(同 67.2%)
- 中間純利益
- 6040億円(同 63.8%)
- EBITDA(金利・税金・償却前利益)
- 1兆6090億円(同 56.3%)
- フリーキャッシュフロー
- 6300億円(同 57.2%)
代表取締役社長の中村維夫氏 |
発表会には、代表取締役社長の中村維夫(なかむらまさお)氏、取締役常務執行役員の宇垣義昭(うがきよしあき)氏らが出席し、決算内容の詳細や内訳、関連するトピックなどを説明した。
取締役常務執行役員の宇垣義昭氏 |
増益を支えた要因としては、
- 0.8%台(第1四半期が0.80、第2四半期が0.81)で推移した低い解約率
- 前年の好調なペースを維持する加入者の純増シェアの推移
- movaとFOMAを合計してのMOU(1契約あたりの月間平均通話時間)/ARPU(1契約あたりの月間平均収入)の改善傾向
などを挙げた。解約率は、下半期が年度末に向けた機種変更/キャリアー変更などの時期を迎えるために上半期よりも若干上積みして、年平均0.85%程度を見込んでいるが、それでも前年までの1%台を大きく下回ると前向きに予想。
四半期ベースの解約率の推移 | 月間の純増シェアの推移 |
加入者の純増シェアは、(社)電気通信事業者協会(TCA)の集計で8月、9月ともにKDDI(株)のauグループに水をあけられているものの、4~7月は拮抗しており、上半期の平均は50.7%を記録。
MOU/ARPUの推移 | movaからFOMAへの移行比率 |
ARPUは、第1四半期が6940円(前年同期比は-6.2%)、第2四半期が7050円(同-4.0%)で、減少は続いているもののその傾向には改善が見られると説明。通期では6850円と予測している。
一方、端末売上につながるmovaからFOMAへの乗り換えについては、2005年9月末時点でFOMA契約件数が1677万件となり、FOMA比率は33.6%に上昇。期末(2006年3月)にはFOMA契約件数が2350万件に達して、比率は46.2%に達するだろうという楽観的な見通しを示した。
FOMAの屋内施設/屋外基地局の拡大 | “おサイフケータイ”の契約者数の伸び |
そのための取り組みや成果として、
- 今月3日にiモード定額制サービス“パケ・ホーダイ”が400万契約を突破
- 11月1日に“新料金プラン&新いちねん割引”を開始
- 12月1日に中学生以下と60歳以上を対象にした新たな低価格基本料金サービス“ファミ割ワイド”(月額基本使用料:1575円)を実施
- FOMA端末やサービスの拡充(“701i”シリーズを皮切りに“iチャネル”サービスを開始/W-CDMA&GSM&無線LAN対応端末『M1000』を発売など)
- 屋外/屋内のFOMA対応エリアの拡大
- 経年劣化したバッテリーを無償交換する“電池パック無料サービス”の実施/“ドコモプレミアムクラブ”会員向けの無料修理サービス期間の延長
などを挙げた。
解約率が低い水準で推移している理由について、中村氏は「番号ポータビリティーの影響(番号ポータビリティーの実施を待って、キャリアーの変更を控えるユーザーが出ている)とは思わない。かつてのカメラのような、(端末の機能に)大きな変動があまりない。“おサイフケータイ”にしても、リーダーライターがしっかり(普及)しないとならないし、今は顧客が具体的にどの事業者のどの端末を欲しい、という意向が出ていない状況だと思う」と分析した。
FOMA端末のラインナップの拡充 | HSDPAへの取り組みとロードマップ |
新たなサービスとしては、FOMAのW-CDMA方式よりも高速な通信方式“HSDPA(High Speed Downlink Packet Access)”を2006年前半のなるべく早いタイミングで導入すると説明。端末はカード型と端末型の双方を開発中で、当初の通信速度は最大3.6Mbps。将来的には最大14Mbpsまで通信速度を拡大し、サービスの充実やリッチコンテンツの配信、端末魅力の向上による競争力の強化を図るという。
決済システム“おサイフケータイ”では、2006年1月に“SuiCa”機能を追加するほか、今年度下半期におサイフケータイにクレジットカード機能を搭載、サービスを開始し、来年度上半期にはNTTドコモ自身がカードの発行も行なうとしている。