パソコンでの液晶ディスプレーは今やごくごく一般的なものになったが、ノートパソコンやモバイル端末では、高解像度化や大画面化に加えて、薄型化や軽量化といった面でもパネル技術の進歩が求められる。FPD International 2005(FPDI 2005)でも多くのモバイル向け液晶パネルが出展されていた。
ノートパソコン向けの液晶パネルでは、輝度/コントラスト/応答速度/視野角といったスペックの向上、ガラスの薄型化やLEDバックライト採用による軽量/薄型化といったサイズ面での進化は見られていたが、それよりもずっとインパクトが大きいのが“ノートパソコン向けワイド液晶パネル”の展示量の多さだ。
このところのノートパソコンでは、TV/ビデオなどのマルチメディア機能を強調した製品を中心に、ワイド液晶ディスプレー搭載モデルが増加傾向にある。パネルベンダー各社の展示を見ると、今後はサブノートから大型オールインワンノートまで、幅広いサイズ/用途のノートパソコンでワイド化が進んでいくことを予感させる。現時点では一般的なアスペクト比4:3のノートパソコン向け液晶パネルの展示は非常に少なかったが、FPDI 2005のような先端技術系の展示会ではなかなか登場しにくい“枯れたスペック”のパネルとして技術/製造面ともに落ち着いた、といったところだろうか。
あまり数が多くなかった非ワイドのノート向け液晶パネルとしては、東芝松下ディスプレイテクノロジーが12.1インチ/SWGX+表示の製品を参考出品。ただしこれもタブレットPC向けのパネルで、ごく汎用的なノート用パネルというわけではない。来年はいよいよサブノートもワイドが中心か? |
SOG技術を用いた多機能パネルのひとつ、東芝松下ディスプレイテクノロジーの携帯電話用タッチパネル内蔵液晶パネルの説明スライド。SOG技術によりタッチパネル機能を液晶パネルのガラス上に作りこんでいるため、モジュールサイズは従来のものよりコンパクト |
各社によるモバイル端末向け液晶パネルの展示は、携帯電話向けの小型のもの(2インチ台)が中心で、世界的な携帯電話市場の伸びを反映して、多数出品されている。技術的なスポットは、モジュールの薄型化と軽量化、高画質化(解像度はパネルサイズと見易さのバランスから現在の市場製品と同じQVGA(320×240ドット)が主流)などで、ガラス基板上に半導体や回路を形成するSOG(System On Glass)技術の活用による薄型/軽量化、携帯電話内蔵カメラの高性能化や動画コンテンツの普及をにらんだ応答速度やコントラスト比向上といった一般的な液晶パネルの進化と同様な高画質化などが各社ブースで見られた。
日立ディスプレイズの“Mobile-IPS”TFT液晶パネル。左はQVGA、右はVGA表示。2.3インチ/VGAの高精細画質は目を見張るものがある |
TV用液晶パネル技術を転用した高画質モバイル液晶パネルとしては、シャープ(株)の“モバイルASV液晶”パネルが知られているが、(株)日立ディスプレイズは、液晶テレビ“Wooo”シリーズのパネルをはじめとする高視野角/高画質パネルに用いられる“IPS(In Plane Switching)”方式TFT液晶パネルをモバイル用液晶パネル向けに改良した“Mobile-IPS”TFT液晶パネルの開発中製品を展示。製品は2.3~2.5インチで、携帯電話では一般的なQVGA表示のもののほか、2.4インチ/VGA(640×480ドット)の高解像度モデルも展示。いずれの製品も、量産に向けた開発が進行している段階に達しており、「引き合いがあれば半年程度で実際の製品(携帯電話)に搭載して市場に出せる」(説明員)という。
日立ディスプレイズはそのほか、メイン/サブディスプレーを1モジュールに収めたデュアルディスプレーモジュールも出展。インターフェースも1系統で済むため、液晶ディスプレー関連部品の点数とスペースの大幅な削減が可能になるという |