日本オラクル(株)は5日、今月1日に発表したRDBMS(Relational DataBase Management System)『Oracle Database 10g』の最新バージョン『Oracle Database 10g Release 2』に関する記者説明会を開催した。『Oracle Database 10g Release 2』は、2004年4月に出荷された従来バージョン『Oracle Database 10g Release 1』の機能強化版にあたり、パフォーマンス/可用性/運用管理/セキュリティーなどの機能の強化や、開発生産性の向上、ビジネス・インテリジェンスやエンタープライズ・コンテンツ管理機能の拡充が図られているという。出荷予定日、対応プラットフォーム、価格は以下のとおり。
- 9月7日
- Linux(x86)
- 10月18日
- Solaris(SPARC)、HP-UX(PA-RISC 64-bit)、AIX5L
- 11月1日
- Windows(32bit)
- 12月6日
- Linux(x86 64bit、Itanium、IBM Power)
- 12月下旬
- Windows(x86 64bit)
- 2006年1月
- HP-UX(Itanium)、Windows(Itanium)
- 2006年第1四半期
- Solaris(x86 64bit)、Solaris(x86)
- 2006年上半期
- Linux(IBM zSeries)、Mac OS X、HP Tru64 UNIX、HP OpenVMS Alpha、HP OpenVMS Itanium
- Oracle Database Enterprise Edition
- 10万5000円(Named User Plus(※1)あたり。1プロセッサーあたり最少25ユーザー)
- 525万円(プロセッサーあたり)
- Oracle Database Standard Edition
- 3万9375円(Named User Plusあたり、最少5ユーザー)
- 196万8750円(プロセッサーあたり)
- Oracle Standard Edition One
- 1万9530円(Named User Plus、最少5ユーザー)
- 65万5620円(プロセッサーあたり)
※1 任意の一時点で使用する特定の個人の総数に対して使用を許諾するライセンス
新機能の紹介を行なったシステム事業推進本部 営業推進部 部長の杉崎正之氏 | オラクル製品の64bit環境対応の歴史。『Oracle Database 10g Release 2』では、“x64”版Windows、64bit版Solaris、Itanium版HP OpenVMSが新たに対応プラットフォームに加わった |
『Oracle Database 10g Release 2』で強化/拡充された機能は以下のとおり。
- パフォーマンス/可用性の向上
- 新しいソート技術を搭載によりパフォーマンスを大幅に改善し、さらにソート作業の事前ロードにかかっていた負荷を削減
- クラスター機能“Oracle Real Applications Clusters”のロード・バランシング機能の改善
- 障害対策機能“Oracle Data Guard”にスタンバイ・サイトへの自動フェイルオーバー機能、システムの運用を止めずにアップデートを行なうローリング・アップデートを追加。また同期パフォーマンスの向上も図る
- セキュリティーの強化
- 暗号鍵の管理を統合し、アプリケーションに変更を加えることなく透過的にデータの暗号化を行なう“Transparent Data Encryption”を搭載。格納データの暗号化(表単位、列単位での暗号化が可能)やバックアップファイルのデータの暗号化をシームレスに実現。また、暗号化されている列の高速な検索、REDOログやアーカイブログ内のデータ、メモリー上のデータの暗号化も可能
- 運用管理機能の強化
- 自己診断機能のパフォーマンス向上と機能強化を実施
- 同時期に出荷予定の統合管理環境『Oracle Enterprise Manager 10g Release2』との連携により、プロビジョニング機能やソフトウェア管理を強化
- ITシステムを構成するソフトウェアやアプリケーション、それらの関係を視覚的に表示し、分析するサービス・レベル管理機能を提供
- ビジネス・インテリジェンス機能の強化
- データ分析により因果関係や法則性を発見するデータ・マイニング機能を提供する“Oracle Data Mining”を新たに搭載
- 多次元分析(OLAP)機能“Oracle OLAP”のアドイン機能として“Oracle Spreadsheet Add-In”を追加し、Excelをフロントエンドとする環境を私用した“Oracle OLAP”上でのデータ分析を実現
- 開発生産性の向上
- XMLベースの問い合わせ言語“XML Query”を標準サポート
- マイクロソフトのVisual Studioとの統合化を図る“Oracle Daveloper Tools for Visual Studio .NET”、ストアード・プロシージャーを.NETで開発できる“Oracle Database Extensions for .NET”など、.NET環境でのアプリケーション開発生産性の強化
新機能“ローリング・アップグレード”の実施手順 | モバイル環境からの管理環境へのアクセス例として紹介されたPocket PCから見た管理コンソール | セキュリティー診断の画面 | “Oracle Data Mining”を利用した売り上げ予測のグラフ表示 |
なお、新機能の“Oracle Data Mining”は、Oracle Database Enterprise Editionのオプション製品として提供される。ライセンス価格は、Named User Plusあたり5万2500円(年間サポート料金1万1550円)またはプロセッサーあたり262万5000円(年間サポート料金57万7500円)。販売およびサポート開始は10月3日。
同社執行役員でシステム事業推進本部長の三澤智光氏 |
説明会の冒頭に登壇した同社執行役員でシステム事業推進本部長の三澤智光氏は、同社の製品展開の中核となるプラットフォーム“Oracle 10g”(データベース『Oracle Database 10g』、アプリケーションサーバー『Oracle Application Server 10g』、統合管理ツール『Oracle Enterprise Manager 10g』、コラボレーションアプリケーション『Oracle Collaboration Suite 10g』などで構成)を、「すべてのアプリケーションのための“統合データ基盤”」と表現、この基盤技術により、企業システムの課題である“コストの削減(イニシャルおよびランニングコスト、インテグレーションコスト、運用管理コスト)”“企業コンプライアンス”“標準化の推進”を実現できると述べた。また、製品発表が続いていることについて、「オラクルが“プラットフォーム”として製品群を展開していることから、単なるデータベース、アプリケーションサーバー(を提供する企業)という域を超えつつある」として、プラットフォーム提供企業としての展開をより強めていくとの姿勢を示した。
NECのインターネットサービス“BIGLOBE”による『Oracle Database 10g Release 2』の導入構成図 |
このほか三澤氏は、5日付けで発表されたユーザー事例として、日本電気(株)のインターネットサービス“BIGLOBE”での『Oracle Database 10g Release 2』の採用について紹介。“BIGLOBE”での採用のポイントとなった点については、スケーラビリティー/可用性/信頼性の高さと、新機能“ローリング・アップグレード”の2点を挙げている。“BIGLOBE”での『Oracle Database 10g Release 2』運用開始は10月を予定。