プリモ販売(株)から4月1日に分離独立した新会社“ウェルトーン株式会社”は11日、都内で同社の設立と今後の事業計画に関する記者発表会を開催した。
Welltoneのロゴ。名前の由来は「Well」(価値ある、満足させる)+「Tone」(音)。マイク開発で培ったプリモのノウハウを生かし、音質にこだわったパソコン用マイク/ヘッドセット製品を提供していくという |
プリモ(株)は、小型コンデンサーマイクの製造で知られるメーカーで、携帯電話用マイクでは全世界で約25%のシェアを誇る4強の一角。プリモ販売はその販売会社だが、1999年からは携帯電話用のヘッドセットなど、携帯電話用周辺機器の開発/販売も行なってきた。ウェルトーンは、このプリモ販売の製品開発部門が独立したもので、今後は“Welltone”のブランド名で、独自の製品開発を行なっていく。
IP関連製品を主軸に年間8億3000万円の売り上げを目指す
ウェルトーン代表取締役社長の小河守氏 |
会見に出席した、同社代表取締役社長の小河守(おがわまもる)氏は、これまで好調だったマイク業界がここ5年ほどで厳しい状況に追い込まれつつあることを指摘。生き残りをかけて「小さいながらも先を見据えた製品開発をしていきたい」と述べた。
ウェルトーンは、IP電話向けハンディーホンなどパソコン周辺機器の開発と、ASPを始めとした新規事業で年間8億3000万円(周辺機器:5億2000万円、新規事業:3億1200万円)の売り上げを目指すという。
Skype対応製品などを続々と投入
パソコン周辺機器事業は、SOHO(Small Office/Home Office)/ROBO(Remote Office/Branch Office)をターゲットにした、IP電話/電話会議用周辺機器/IPカメラの開発を主軸とする。“安価に導入できる”“設定が容易”“無線対応”などをキーワードに、2005年6月までに7製品を投入する予定(表)で、製品の販売はブロードバンドルーターで有名な(株)パーソルが行なう。
表 ウェルトーンが6月までに投入する予定の製品
IP電話・電話会議用周辺機器 | 価格(想定価格) | 発売時期 |
---|---|---|
Welltone Handy Phone(WB-1001) | オープン(4980円) | 4月中旬 |
Welltone Speaker Switch(WB-1501) | オープン(3980円) | 5月中旬★ |
Welltone Phone for Skype(WB-2001) | オープン(7980円) | 5月中旬★ |
Welltone Phone for Skype(64MBフラッシュ内蔵,WB-2501) | オープン(未定) | 6月中旬★ |
Welltone USB Phone Wireless for Skype(WB-3001) | オープン(未定) | 6月末★ |
Welltone USBSpeaker Phone(WB-4001) | オープン(未定) | 6月上旬★ |
Welltone Phone Converter(WB5001) | オープン(9800円) | 5月上旬★ |
テレビ電話・遠隔モニタリング製品 | ||
ウェブカメラ PC-1000 | オープン(1万2800円) | 発売済み |
また、ソフトや通信、ISP、ASP分野の有力企業とも、OEM提供などで積極的に提携していく予定で、28日には、(株)ライブドアからP2P電話ソフトの『Skype』(スカイプ)に同社のハンディーホンをセットにしたパッケージ『livedoor スカイプ ハンディホンセット』(価格5229円)が発売される。
Welltone Handy Phone。パソコンのイヤホン/マイク端子に接続して使用するタイプのハンディーホンで、プリモ製のマイク(EM-100)とスピーカー(DH-80)を採用している。SkypeなどのIP電話ソフトとの使用を想定したもの |
Welltone Speaker Switch。Handy PhoneとパソコンのUSBポートの間に置くことで、音声の出力先を本機とHandy Phoneの間で切り替えられる。Handy Phoneを置くための台としても使用でき、電話の受話器のようにマウス操作なしに電話の着信/終了のスイッチにすることができる。 |
Welltone USB Phone for Skype。Skype対応のハンディーホンで、本体のテンキー操作でSkypeの電話をかけることができる。64MBのフラッシュメモリーを搭載したWB-2501では、ハンディーホンそのものにSkypeのソフトやアドレスデータを記録することができるので、Skypeをインストールしていないパソコンでも簡単にSkypeを利用した通話ができる |
携帯電話用ドングルを利用したASP関連事業にも注力
新規事業部は、
- 車載用ハンズフリーホンやモバイルスティック(ウェブサイトへのアクセスやメールの送受信を自動的に行なえる携帯電話用ドングル)の開発
- コンテンツ提供社に対する検証用携帯電話の提供
- 中国・台湾における部品調達と仕入れのルート貿易事業
- ASPサービス
の4種類を柱にしており、今後は特にASP事業に力を入れていきたいという。同社は酒販のノウハウを持つ(株)もりもと、携帯コンテンツの企画制作会社の(株)マースと共同で、酒販売店向けのASP事業“お酒ネット.com”(11日の時点では未開設)を提供する予定。携帯電話を利用した酒類の通販のほか、店舗にウェルトーンのモバイルスティックを顧客の携帯電話に装着することで、ポイントバックなどのサービスが行なえるようにするという。