UGS PLM ソリューションズ(株)は5日、米UGS社によるイスラエルのテクノマティックス・テクノロジーズ(Tecnomatix Technologies)社の買収および全株式取得の完了に伴う、グローバルおよび日本における今後の戦略に関する発表を行ない、記者説明会を開催した。
UGSによるテクノマティックス・テクノロジーズ買収の効果。デジタル・マニファクチュアリング製品の取り込みによりPLMの強化を図り、End-to-Endのソリューションを提供していくという | テクノマティックス・テクノロジーズ(画面左)とUGS(右)の持つ製品/サービス/技術 |
製造業向けの製品開発/設計用ソフトウェアや製品の開発から製造などを管理する“プロダクト・ライフサイクル・マネジメント”(PLM)ソフトウェアおよびサービスを提供するUGSと、自動車/航空・宇宙/エレクトロニクスなどの製造加工業向けのデジタル・マニファクチュアリング・ソフトウェアを提供するテクノマティックス・テクノロジーズの2社は、2002年8月に発表された製品開発における提携以来、製品の共同開発、連携の強化、販売の協力といった取り組みを行なってきた。
両社では、この3年間の提携関係に基づき、テクノロジーとビジネスの集約、PLMおよびデジタル・マニファクチュアリング分野での競争力のさらなる強化と成長、顧客や産業界に対する両社の技術や製品の融合によるより高い価値の提供などを狙い、今年1月にUGSによるテクノマティックス・テクノロジーズ株式の取得計画(吸収合併)を発表し、今月1日に全株式の取得が完了している。
PLMの流れと各行程を構成する製品/サービス。デジタル・マニファクチュアリングは中央部の“どのように製造/構築するか”を担うもので、今回の合併により強化されるポイントにあたる |
今回の買収によりUGSでは、テクノマティックス・テクノロジーズが得意としていた自動車/航空・宇宙/エレクトロニクスなどの分野におけるデジタル・マニファクチュアリング製品および技術を従来製品と融合し、製品のコンセプト提示、開発、製造、検証などの製造の全工程をカバーする“真のPLMの完成”を目指していくとしている。
UGSのビジネス戦略/マーケティング担当プログラム・マネージャ、ティム・エグロフ氏 | UGSのテクノマティックス・アジア太平洋地域担当副社長兼ジェネラル・マネージャのオリビエ・レトートル(Olivier Leteurtre)氏。この日の説明会では、テクノマティックス・テクノロジーズの取り組みなどについて説明を行なっている |
UGSの今後の展開を示したスライド。相互運用性の強化、統合的なPLMデータの管理と連動が目標になっていくという |
合併およびそれに伴う今後の戦略について解説したUGSのビジネス戦略/マーケティング担当プログラム・マネージャのティム・エグロフ(Tim Egloff)氏は、合併に伴う新たな価値の提供を、対顧客(両社製品のユーザー)、対株主の2点から説明。顧客に対しては、プロセス設計と生産情報を同社が提供する“PLMバックボーン”で組み合わせる製品設計により、今日の製造業において最も高い競争力を提供するとともに、オープン戦略の推進に伴う、他社ソリューションを含めた相互運用性の強化、投資の保護などを図り、「すべての顧客に、統合された最上のサポートを提供」していくという。また、株主に対しては、エンタープライズ向けソフトウェア市場の中で急速に成長しているPLM分野と、PLM分野の中でも特に成長セグメントとされているデジタル・マニュファクチャリング関連製品を強化することで成長力を高め、PLM業界全体の2倍の成長を目指していくという。
UGS PLM ソリューションズの代表取締役社長、飯田春祥氏 | 日本法人のコミットメント |
一方、合併に伴う日本での動きとしては、テクノマティックス・テクノロジーズの日本法人である日本テクノマティックス(株)が、今回の買収によりUGS PLM ソリューションズの事業部門として同社に組み込まれることとなるという。日本での動向について説明したUGS PLM ソリューションズの代表取締役社長の飯田春祥氏は、合併のメリットとして、
- テクノマティックス・テクノロジーズ製品の開発スピードの高速化
- より高度なサービスの提供
- 両ブランド製品の連携と統合の促進
- 製品ラインナップの拡充
- 単一プロバイダーからの包括的なソリューション提供
といったポイントを挙げるとともに、製品の拡充と日本テクノマティックスの営業力/構築経験/サポート力の取り込みによるPLM戦略の強化、両社が持っている顧客および合併により新たにアプローチしていく新規の顧客に対する包括的アプローチを行なっていくとしている。
また、UGS PLM ソリューションズが顧客へのコミットメントとして掲げる“お客様第一主義”と、テクノマティックス・テクノロジーズ/日本テクノマティックスの重視する“オープン戦略”を堅持し、従来のテクノマティックス・テクノロジーズ/日本テクノマティックス製品への投資の継続と顧客の投資の保護に最優先で取り組み、自動車/エレクトロニクス/重工業などの分野の顧客に、統合/拡充した製品やサービスを提供していくとしている。