【最新パーツ性能チェック(Vol.30)】究極のPentium 4キラー!? “i915GM”+Pentium M-770のパフォーマンスを探る
2005年02月03日 21時29分更新
1月19日、Pentium Mの最大の弱点であるメモリ性能を決定的に引き上げる“FSB533MHzの新Pentium M”と、“デュアルチャネルDDR2サポートのモバイル インテル915GM Expressチップセット”が正式に発表された。CPU自体は1月上旬から販売されていて、“i852GME”マザーを用意すれば使うことはできたが、フルに性能を引き出すにはやはり“i915GM”との組み合わせがベストだ。これまでも、エンコード以外はPentium 4中位モデルとそこそこいい勝負をしてきたPentium Mだが、新環境でどこまで性能は伸びるだろうか?
アスキープラス3月号は、久しぶりの「オーバークロック」が第1特集! Pentium 4、アスロン64に加え、今回は本記事でも注目のペンティアムMとビデオカードまでもサポート。基礎から達人の技まで満載の超豪華版だ。このほか、エンコードツール、ハイエンドサウンドカード選び、それにギガバイトの例のデュアルグラフィックマザーレポートレポートも。さあ今すぐ書店へGO! |
“Sonoma”プラットフォームとは
Pentium 4、Athlonに続く自作用CPUの第3の選択肢として存在感を増しつつあるPentium M。低消費電力にもかかわらず高性能で人気だが、自作用、デスクトップ用として考えた場合、シングルチャネルのPC2700(DDR333)DDR SDRAMしかサポートしないチップセットの非力さや、時代遅れのICH4の機能は物足りなさは否めなかった。Pentium Mデスクトップ自作派が半年以上待ちこがれてきたのが、“Sonoma”プラットフォームだ。
“Sonoma”はすでに昨年2月のIDF(“Intel Developer Folum”)でのプレスブリーフィングで、FSBが533MHz化するほか、デュアルチャネルDDR2、South Bridgeは“ICH6”、PCI Express GPUに対応等々、要するにこれはほぼモバイル版の“Grantsdale”(当時の名称)ということが明らかになっていた。その後6月に“Grantsdale”は“915 Express”という名前でデスクトップ用にリリースされたが、半年遅れでノートでも、つまりPentium Mでも“i915”が利用可能になったわけだ。
とはいえ、Pentium Mデスクトップはインテルが後押ししていないため、Micro ATXマザーがちらほら登場するようになったのは比較的最近のこと。“Sonoma”の自作用マザーが出るまではまた時間がかかるかと思いきや、AOpenがCPUとチップセットの発表当日に“i915GM”マザー「i915GMm-HFS」をアナウンスしている。発売は3月上旬とまだ少し先だが、サンプルを借用することができたので、さっそくパフォーマンスを検証していこうと思う。
世界初の“i915GM”マザーというふれこみのAOpen「i915GMm-HFS」。Micro ATX仕様で、CPUクーラーは専用タイプが付属。 |
HDTVコンポーネント端子にSerial ATA IIチップ
世界初の“i915GM”マザーをうたう本製品だが、単に従来の“i855GME”マザーのチップセットを載せ替えたというものではなく、いろいろと新趣向を盛り込んできている。自作用スペックとして重要なポイントは、
●チップセットは“i915GM”(4種類ある中の最上位モデル。デスクトップと同じ333MHzのグラフィックコアを搭載し、外部グラフィックもサポート。“i915GMS”や“i910GL”よりコアクロックが高く、対応メモリも多い)
●DDR1/2両対応(同時利用は不可)
●PCI Express x16とx1のスロットを装備
●モバイル向けSouth Bridge“ICH6-M”は、デスクトップ用と違い、Serial ATAが2ポートしかないし、RAID対応版もない。そこで、Silicon Image製“Sil3132”チップを搭載している。これは3.0Gbit/sにも対応するSerial ATA IIチップ。RAIDにも対応
●IEEE1394搭載
●デュアルギガビットイーサネット
と、ハイエンドマザーとして十分なスペックをそろえている。だが、ひときわ目を引くのはそのバックパネル。D-Sub15ピン、DVI-Iまでは珍しくないが、D端子とコンポーネント端子のHDTV出力まで装備している。
DVDはもちろん、ちらほらデータが登場しつつあるハイビジョン解像度の動画の再生には、PC用モニタではなく、大画面のハイビジョンテレビを接続したい。だが、ハイビジョンテレビの多くは、D端子かコンポーネント端子は持っているが、PC接続用のDVI-Iなどは持っていないことを配慮したのだろう。
マシンを組む上で1つ注意が必要なのは、DDRメモリはPC2700(DDR333)DDR SDRAMまでの対応となり、しかも、2枚差してもデュアルチャネルでは動作しないということだ(これはチップセット自体の仕様)。Pentium MのFSBは533MHzだから、PC2700(DDR333)でもデュアルチャネルにすれば十分まかなえる計算になるが、そうはいかない。Pentium Mのパフォーマンスをフルに引き出すには、必ずDDR2 SDRAMをのせなければならないわけだ。