『ホームページ・ビルダー V9』の広告用ポップ(巨大パッケージ)を持つ日本IBMのソフトウェア事業 WebSphere事業部長の山下晶夫氏(右)とソースネクストの代表取締役社長の松田憲幸氏(左) |
日本アイ・ビー・エム(株)とソースネクスト(株)は18日、東京・南青山のイベントスペース“MODAPOLITICA(モーダポリティカ)”にプレス関係者を集め、ウェブページ作成ソフトの最新版『ホームページ・ビルダー V9』を11月19日に発売すると発表した。ホームページ・ビルダーは日本IBMの大和研究所が、同社のウェブベースアプリケーション&サービス“WebSphere(ウェブスフィア)”シリーズの中核製品として開発した日本発のウェブページ作成ソフト。ソースネクストは2年前の『同 V7』からの協業パートナーの一社として一般ユーザー向けに販売を行なっており、今回ソースネクストの他製品と同じDVD-Videoソフトサイズの小型パッケージを新規開発・販売することになったという(従来同様、日本IBMからも一般ユーザー向けに販売される)。ホームページ・ビルダー V9のパッケージ種別と価格は以下のとおり。
- ホームページ・ビルダー V9(通常パッケージ)
- 1万3800円
- ホームページ・ビルダー V9 バージョンアップ版
- 7300円
- ホームページ・ビルダー V9 学割パック
- 9400円
- ホームページ・ビルダー V9 グループパック(10ライセンス)
- 9万500円
日本IBMのソフトウェア事業 WebSphere事業部長の山下晶夫氏 | ソフトウェア事業 WebSphere事業部パーベイシブ営業推進部主任の加藤泰子氏 |
会場には日本IBMのソフトウェア事業 WebSphere事業部長の山下晶夫(やましたあきお)氏、ソフトウェア事業 WebSphere事業部パーベイシブ営業推進部主任の加藤泰子氏、ソースネクストの代表取締役社長の松田憲幸(まつだのりゆき)氏らが出席し、新製品の概要や特徴、およびソースネクストの販売戦略などを説明した。
V9ではユーザーセグメントを広げ、ホームページ・ビルダーの役割を拡大するという | 日本IBMの東京基礎研究所が開発したバリアフリー診断ツール“aDesigner”との連携により、ユニバーサルデザインのウェブページを作成できるという | すでにホームページ・ビルダーで作成済みのページをスタイリッシュに変更するという“TAKUMI”ツールを新たに搭載 |
最初に山下氏が壇上に立ち、「ホームページ・ビルダーは子どもからお年寄りまで、特に初めてホームページを作成する人にご愛顧いただいている。日本IBMはご存じのように外資系企業なのでUS(アメリカ)に端を発している製品が多いが、これは日本の大和研究所で開発された純日本製の製品で、それがユーザーの声を反映して好評を博している理由と捉えている。このように軸足はホビーユーザー向けに置いているが、バージョン管理やサイト管理機能、外部コンポーネントへの対応や外国語(Unicode)対応など、プロユースのページ管理ツールとしての改良も重ねている。また、パソコン向けのホームページだけでなく携帯電話向けサイトやウェブカメラによるライブ中継に対応してきた。V9では、“スタイリッシュ&ユニバーサル”を実現し、誰でも“Webの匠(たくみ)”を目指せるようになっている。ご高齢の方や弱視の方、色覚異常の方などが使われるページ読み上げソフトと連携して、ホームページを読み上げた際に“トップページが最初に読まれない”など、ホームページを作っていて気付きにくい欠点を指摘するガイド機能“aDesigner(エーデザイナー)”との連携によって、バリアフリーなサイト作成が可能になったので、そこにも注目してほしい」と、概要を説明した。
続いて加藤氏が、V9の開発コンセプトである“スタイリッシュ&ユニバーサルデザインを実現”を具体的なデモンストレーションを交えて新機能の特徴を解説した。
スタイリッシュなページを作成するために、新たに“TAKUMI”ボタンを追加し、CSS(Cascading Style Sheets)を用いた配色(64種類)とレイアウト(34種類)のテンプレートから選択することで、新規作成のページもしくはすでにホームページビルダーで作成したページを、手軽にスタイリッシュなデザインに変更できるという。色やレイアウトのほか、コラム型のテキストボックスやリストマーク(箇条書きの表示スタイル)、ロゴの作成素材(フォントと配色の組み合わせ)などを多数用意しており、既存のページのパーツを置き換える形でデザインのリファインが行なえる。
TAKUMIツールの利用例。最初にサンプルとして、手作りケーキを紹介するシンプルなウェブページを開く | TAKUMIボタンをクリックして、配色とレイアウトを選択 | レイアウトを変更した結果。背景、ロゴ、文字などの配色や、レシピの枠などのレイアウトが改良されて見栄えがよくなった |
ユニバーサルデザインの実現は、読み上げソフトを使った場合にどのような不都合/不具合があるか、色覚異常や高齢者/弱視の方にどのように見える(見えにくい)かをチェックして改善方法を提案する、日本IBMの東京基礎研究所が開発したバリアフリー診断ツール“aDesigner”との連携で行なっている。ツールボタンからaDesignerを起動すると、作成中のページが自動的に読み込まれ、シミュレーションボタンを押すとウェブページの中で読み上げる時間がかかる場所ほど暗く表示される。これはページ構成に起因する読み上げソフトでの不都合を視覚的に示すもので、レイアウトを変更を促すほか、写真/イラストなどにALTタグ(イメージの内容を説明するタグ)の不足なども指摘する。“ロービジョン”モードでは、色覚異常や弱視の方に見えにくい個所(配色やレイアウトなど)を指摘し、スタイル変更ツール“takumi”を使ってページデザインの変更を促すメッセージが表示される。
このほか、新たにUnicodeをサポートし、英語/ドイツ語/フランス語/中国語(簡体字、繁体字)/韓国語/ベトナム語に対応。日本語を含む7ヵ国語を1つのページに同時表示できるほか、各国語版のページの作成も容易に行なえるようになった。
最後にソースネクストの松田氏が販売戦略について、「“コモディティ戦略”に従って多くのソフトを1980円で販売したところ、販売本数だけでなく金額ベースでもシェアを伸ばしている。これには自分自身も驚いている。また、(DVD-Videoソフトと同サイズの)スリムパッケージ化を進めたところ、これも92%の売り上げ増をつながった。従来のパッケージでは1本買うのが精一杯だったが、スリムパッケージではついでにもう1本、2本と買って帰れるようになったからではないか、と分析している。今年1月からイメージキャラクターに女優の藤原紀香さんを起用したことも、ユーザーが親しみを覚えてもらったのではないかと思う」「ホームページ・ビルダー V9についても、これまではなかったスモールパッケージを、IBMと協議の上で新たに用意し、大小2つのパッケージを展開する。価格が1万円を超えるためコンビニエンスストアではまだ展開を予定していないが、それ以外の家電量販店/スーパーマーケット/ドラッグストアーなど、スモールパッケージによって広がった販売チャンネルに広く拡販していきたい。販売目標本数としては30万本を目標にしており、達成できる自信がある」と意気込みを見せた。
なお、この発表会に引き続いて同じ会場で行なわれた、ソースネクスト主催(藤原紀香さんがゲスト出演)の“藤原紀香が選ぶデジカメ写真コンテスト”表彰式の模様は、別途レポートする。