記者説明会の出席者。左から取締役事業本部長の山口英利氏、ブロードバンドソリューション事業部 マーケティンググループリーダーの石丸正弥氏、ブロードバンドソリューション事業部 第一開発グループリーダーの田村佳照氏 |
(株)バッファローは28日、東京・大手町の大手町サンケイプラザで“無線LANホームネットワークソリューション”の記者説明会を開催し、簡単設定で自宅のパソコンへのリモートアクセス環境を実現するリモートアクセス&HighPowerモデル“AirStationシリーズ”新モデル、およびネットワーク対応メディアプレーヤーで無線LAN機能も搭載する“LinkTheater(リンクシアター)”新モデルという、同日発表の新製品の機能説明とデモンストレーションを行なった。今回発表された製品の発売時期と希望小売価格は以下のとおり。
リモートアクセス&HighPower対応無線LANアクセスポイント
“AirStation”『WZR-RS-G54HP』 | PCカードとセットの“AirStation”『WZR-RS-G54HP/P』 |
- “AirStation”『WZR-RS-G54HP』
- IEEE 802.11g準拠無線LANアクセスポイント単体
- 10月下旬発売予定/2万7000円
- “AirStation”『WZR-RS-G54HP/P』
- IEEE 802.11g準拠無線LANアクセスポイント+PCカード無線LANアダプターセット
- 10月下旬発売予定/2万9500円
PCast(ピーキャスト)ネットワークメディアプレーヤー
“LinkTheater”無線機能付モデル(型番:PC-P3LWG/DVD) | “LinkTheater”無線機能付モデルの内部 |
- “LinkTheater”無線機能付モデル(型番:PC-P3LWG/DVD)
- IEEE 802.11g準拠無線LAN機能内蔵、ほかの機能は従来モデル『PC-P3LAN/DVD』から変更なし
- 10月下旬発売予定/3万1700円
説明会には、取締役事業本部長兼ブロードバンドソリューション事業部長兼デジタルホームソリューション事業部長の山口英利氏、ブロードバンドソリューション事業部 マーケティンググループリーダーの石丸正弥氏、ブロードバンドソリューション事業部 第一開発グループリーダーの田村佳照氏らが出席。従来の新製品発表とは趣が異なり、無線LANの活用提案を主体にする啓蒙的な記者説明会が行なわれた。
取締役事業本部長兼ブロードバンドソリューション事業部長兼デジタルホームソリューション事業部長の山口英利氏 |
最初に山口氏が、バッファロー(旧メルコ時代から)の無線LANへの取り組みについて、「無線LAN製品を最初に発表してから、すでに5年と半年が経過する。その間にブロードバンドインターネット環境が広く普及したといわれるが、私自身はまだ1000万世帯では少ないと感じている。より多くの人にブロードバンドインターネット、ワイヤレスインターネットを使ってもらうには、これまでのように簡単に接続できる、使えるというだけではなく、使うことでこれができる、という活用提案が不可欠。“プチマニア”を自認しており、自社製品を使ってこういう製品がほしい、こういうことができたらいい、と企画提案している」と、より一層の無線LAN普及に向けて努力していく姿勢を見せた。
ブロードバンドソリューション事業部 マーケティンググループリーダーの石丸正弥氏 |
石丸氏はそれを受ける形で、まず日本のブロードバンド回線普及の伸び(数字は総務省資料によるもの)とAirStationシリーズの販売台数の履歴をグラフで示した。CATV/ADSL/FTTHを合わせたブロードバンドインターネットの家庭への普及は、今年6月に1600万件を超えて今も高い増加傾向にある。一方、AirStationシリーズは2002年11月に累計出荷200万台を突破した後、およそ半年ごとに100万台のペースで出荷を続けている。現在も月間で7~8万台を出荷しているが、有線LANアダプターはピークを過ぎたものの今でも月間10万台の出荷が続いている。これを石丸氏は「まだ(無線LAN製品の)伸びが期待できる」と分析し、一層の普及のために、ホームネットワークの活用提案や無料で利用可能な“FREESPOT”サービスの設置などを進めると説明した。ちなみに、現在FREESPOTは全国に2000ヵ所以上あり、2005年に開催される“愛知万博”にも導入が決定したとのこと。
ブロードバンドインターネット環境の普及とAirStationシリーズの出荷台数の経緯 |
その上で、無線LANアクセスポイントを自宅に導入していて困った例として
- 無線が届かない、速度が出ない
- 子供がアダルトサイトを見ていないか心配
- 自宅にファイルを忘れた、TV録画予約を忘れた
という3つを挙げ、それに対応する機能を備えた新製品の特徴を説明した。無線LANの到達距離や速度低下については、今年7月に発表(8月出荷開始)した“AirStation Booster”シリーズと同様に電波の出力を約30mW⇒約100mWに引き上げ、到達距離を約1.7倍(同社調べ)に延長した“HighPower”機能を搭載。一戸建てで1階と2階の間など、従来は無線LANの利用が難しかった環境に対応するという。
有害サイトへのアクセスを制限する“BUFFALO コンテンツフィルタ”機能 |
学校や家庭へのパソコン/インターネット接続環境の普及で、子供たちの利用状況に不安を覚える方には、ブロードバンドルーター自体に有害サイトへのアクセスを禁じる“BUFFALO コンテンツフィルタ”機能で対応するという。これは年間契約の有料サービスで、53のカテゴリーの中から見せたくないものを選択すると、OSやウェブブラウザーなどに関わらずブロードバンドルーター(AirStation)から指定サイトを表示不可能にするもの。URLフィルタリングのデータベースは米ブルーコートシステムズ社の“CERBERIAN(サーベリアン)”を採用。アクセス履歴のログを表示するレポート機能を持ち、両親など管理者権限のあるユーザーは制限なくアクセスできるという。価格は、アクセス先の履歴レポート機能を持つ“BCF-001”が1年間4800円(2年目以降の継続は3800円)、レポート機能を省略した“BCF-002”は1年間3000円(同2000円、1ヵ月目は無料で試用可能)で、利用可能なユーザー制限はない。なお、本サービスは今月9日に発表済みで、今日発表の新製品のほか、AirStation『WZR-G54』『WZR-G54/P』『WZR-HP-G54』『WZR-HP-G54/P』の各機種で利用可能。
リモートアクセスをより簡単に実現する“ネットワークサービスメニュー” | 現在開発中というバッファローのウェブカメラを使って、名古屋にいるマスコットキャラクター“バッフィー”くんを映したところ |
最後の、外出先から自宅のパソコンへのリモートアクセスは、従来のモデルでも固定したIPアドレスを取得し、使用するポートを設定/開放するなどすれば利用可能だったが、初心者にはこれらの操作が複雑で機能を使いこなせずにあきらめる人が少なくなかったという。WZR-RS-G54HPでは、バッファローが提供するDynamic DNS(ダイナミックディーエヌエス)サービスを利用し、ウェブブラウザーでアクセスする“ネットワークサービスメニュー”を利用することで、IPアドレスをメモしなくてもパソコン名で自宅のマシンを検索・接続できるほか、PPTP(Point to Point Tunneling Protocol、データの暗号化や認証などを行なう仮想プライベートネットワークを構築する手順のひとつ)を使って安全にデータの送受信やリモートデスクトップ環境が利用できるという。提供されるサービスは、“ファイル共有”“FTPサーバー”“WEBサーバー”“リモートアクセス”“WakeOnLAN”の5つで、WEBサーバーではウェブカメラの操作や遠隔視聴が可能。WakeOnLANでは、普段電源を落としているパソコンを外出先から起動させることができる(WakeOnLAN対応の有線LANポートが必要)。なお、DynamicDNSサービスの利用料金は1年間3000円で、最初の2ヵ月は無料で試用可能。
リモートデスクトップで、名古屋のデスクトップパソコンから録画予約を行なっているところ。東海テレビ、CBCテレビ、メ~テレなど、名古屋の放送局名が並ぶ | リモートアクセス対応モデル『WZR-RS-G54HP』 |
同社では、今後も同様の簡便なリモートアクセス機能に対応する無線LANアクセスポイントとして、IEEE 802.11g対応でHighPower非対応の普及モデル『WZR-RS-G54』を10月末~11月初旬に、IEEE 802.11a/g対応モデル『WZR-RS-A54G54(仮)』を12月以降に、リモートアクセス機能で利用されるパン/チルト対応のウェブカメラ『WLE-CAM(仮)』を12月以降にそれぞれ発売予定とロードマップを発表した。
今後のロードマップ |