家庭向け液晶プロジェクターハイエンドモデル『LP-Z3』(左)と『LP-Z1X』 |
三洋電機(株)は10日、東京・後楽園の東京ドームホテルで記者説明会を開催し、家庭向け液晶プロジェクターの新製品として静音化と高画質映像出力を実現するというトータル映像ソリューション“トパーズリアル”を搭載したハイエンドモデル『LP-Z3』と、ホームシアター入門機で2002年10月に発売された『LP-Z1』の後継機種にあたる『LP-Z1X』を発表した。希望小売価格はLP-Z3が29万4000円、LP-Z1Xが23万1000円。発売予定日はLP-Z3が10月15日、LP-Z1Xが10月21日。
ホームシアターでNo.1の地位を堅持したい
将来はリアプロジェクター製品も投入!!
発表会の出席者。右から、プロジェクタービジネスユニットリーダーの佐藤信一氏、業務企画部マネージャーの平尾義周氏、業務推進部マネージャーの奥内章文氏、業務推進部主任の渡邊昌彦氏 |
発表会には、コンシューマ企業グループAVソリューションズカンパニー プロジェクタービジネスユニットリーダーの佐藤信一氏、業務企画部マネージャーの平尾義周(ひらおよしちか)氏、業務推進部マネージャーの奥内章文(おくうちあきふみ)氏、業務推進部主任の渡邊昌彦氏らが出席し、プロジェクター市場の動向や新製品の特徴などを説明した。
プロジェクタービジネスユニットリーダーの佐藤信一氏 |
最初に壇上に立った佐藤氏は、「プロジェクタービジネス全体の生産台数でトップシェア(16.2%、28万台弱)を誇る。この地位を確保しつつ、2004年度の売上高を700億円、2006年度には1000億円を目指してチャレンジを続けている」と同社プロジェクター事業の好調ぶりをアピールした。
家庭用液晶プロジェクターの市場動向 | 同社の液晶プロジェクターのラインナップ |
三洋電機のプロジェクターのラインアップは、
- システムソリューション
- バリュークリエイション
- ホームシアター・エンターテインメント
という用途別に3つのカテゴリーに分けられる。システムソリューションは、レンタルやコンファレンス/イベント会場への設置、ミニシネマ、監視用途など、システムとしての導入を伴うもので、スクリーンの大型化や高輝度、高解像度の製品が求められる。バリュークリエイションは、オフィス(会議/プレゼン向け)や教育、およびモバイル用途が主体で、他社との差別化が重要となる。
新製品2機種の位置づけ |
最後のホームシアター・エンターテインメントについては、「競争が激しくなりつつある市場で、国内では2003年度が3万6000台出荷し、2004年度は6万台(同社独自予測)を見込んでいるが、8万台に届くという話も出ている。さらに2006年には15万台と、年率40%以上の高成長を見せると大いに期待している。今後もこの市場でNo.1の地位を固めていくべく、今回の新商品開発・発表となった」と新製品にかける強い意気込みを示した。
『LP-Z3』(写真は“プレシャスシルバー”モデル) |
なお、海外ですでに展開している(今年4月に中国市場で販売開始した)液晶パネル方式のリアプロジェクションTVについても、「日本での事業展開を検討している。具体的な製品はスケジュールは言えないが、家庭市場ではなく企業などのモニター/宣伝広告用途などを中心に導入を検討中だ」、と将来の展望についても一端を語った。
『LP-Z3』の“ミラノブラック”モデル | LP-Z3の背面 | 背面の入出力端子部のアップ |
約1京6700兆通りの組み合わせの画質調整が可能!!
業務企画部マネージャーの平尾義周氏 |
続いて平尾氏が新製品の詳細を説明した。ホームプロジェクターの最上位モデルとなるLP-Z3は、1280×720ドット(16:9)表示の0.7インチポリシリコンTFT液晶パネル3枚を搭載したD4のHD映像(720P)対応液晶プロジェクター。新開発のトータル映像ソリューション“トパーズリアル”を搭載し、高画質化と静音性を両立したという。トパーズリアルは、
- アナログ/デジタルの全入力信号を10bit A/Dコンバーターで変換し、10bit(RGB各色1024階調、約10億7000万色)の色空間で映像処理して出力する“リアル10bitデジタル映像処理回路”を搭載
- ステップ数が業界最高(63ステップ)の“電動レンズアイリス(絞り)”を搭載し、約0.6%刻みでのコントラスト調整が可能
- 画面の平均輝度を解析してランプ出力を自動コントロールする“リアクトイメージモード”を搭載、静粛性と画質向上を両立
新開発のトータル映像ソリューション“トパーズリアル”を搭載 |
リアル10bitデジタル映像処理回路と従来の8bit処理の比較 | リアル10bitデジタル映像処理回路の構造 |
画質調整機能は、入力する映像に合わせて7種類(以下の一覧を参照)のプリセットイメージモードを備え、加えてRGBゲインやガンマ、レンズアイリス、輪郭補正、黒伸張などをユーザーが好みに応じて変更できる。プリセットイメージをベースに調整機能を利用するだけで、約1京6700兆通りもの画質設定から選択できる計算になるという。
- クリエイティブシネマ
- コントラスト感や立体感を重視
- ピュアシネマ
- 誇張を抑えて階調感を重視した落ち着いた画質
- ナチュラルモード
- 入力信号に忠実な画質
- ビデオモード
- ハイビジョン/地上放送などのスポーツやドラマの視聴に適した設定
- ダイナミックモード
- 明るい場所での投影に適した画質
- パワフルモード
- 輪郭を強調してメリハリの画質
- グラフィックモード
- ゲームやパソコン画面などグラフィックス表示に適した設定
電動レンズアイリスの効果 | 映像に合わせてランプ出力を自動調整する“リアクトイメージモード” |
また、レンズアイリスとランプ制御機能の改良により、グラフィックモード時には従来モデル(1300:1)を大きく凌ぐ2000:1の高コントラスト表現が可能になった。動作音についても、新開発の静音ファンの搭載により輝度モード“シアターブラック”で最小約23dB(最大約29dB)を達成。
画像位置の調整を行なう“上下左右レンズシフト”機能 |
入力端子はデジタル映像入力用に“HDMI(High-Difinition Multimedia Interface)”、アナログ映像入力用にはパソコンの映像を表示するためのアナログRGB(ミニD-Sub15ピン)、コンポジット/S-Video入力、コンポーネント入力×2(Y/Cr/Cbの3RCAピン、D4)を搭載。対応走査周波数は水平15~80kHz、垂直50~100Hz、ドットクロック100MHz以下。表示位置調整用に、上下1画面(最大3画面分)、左右1/2画面(最大2画面分)の移動が可能なレンズシフト機能を搭載する。
7種類のプリセットイメージ | アドバンストモードとの組み合わせで、画質調整は約1京6700兆通りにものぼる |
光源には135WのUHP(Ultra High Performance)ランプを採用し、輝度を示す有効光束は800lm(ルーメン)。周辺部と中央の輝度の差を示す周辺照度比は85%。投影可能な距離と画面サイズは、最短1.2m/31インチ相当から最長約6.1m/200インチ相当まで。本体サイズと重量は、幅359×奥行き273.5×高さ116.7mm/4.1kg。ACアダプターを内蔵し、消費電力は210W(待機時2.8W)。本体カラーは、黒を基調にした“ミラノブラック”と銀色を基調にした“プレシャスシルバー”の2色が用意される。
7種類のプリセットイメージを実機で呼び出したところ |
『LP-Z1X』が採用するクォーターHD液晶パネル |
ホームシアター入門機という位置づけのLP-Z1Xは、液晶パネルが964×544ドット(16:9、クォーターHDサイズ)3枚のD2映像(480P)対応プロジェクター(720Pや1080iはリサイズしての表示となる)。映像処理エンジンが8bit(約1677万色表示)、光源の輝度が700lm、コントラスト比は1000:1。入力端子はHDMI端子とD4端子が省略され、RCAピン×3のY/Cr/Cbのコンポーネント入力、コンポジット/S-Video、およびアナログRGB(ミニD-Sub15ピン)を備える。そのほか、プリセットのイメージモードがシネマ/ナチュラル/ビデオ/ダイナミック/グラフィックの5タイプに制限される。
本体サイズと重量、ノイズレベルはLP-Z3と同一。消費電力は最大210W(待機時4.5W)。本体カラーは、銀色を基調に白味がかった“シルキーシルバー”1色が用意される。