“インテル・デベロッパ・フォーラム Japan Spring 2004”(以下IDF)会期中の7日、次世代バス技術“PCI Express”に関するプレスセミナーが開催された。このセミナーでは、PCI Expressのリリースに向けた現状の説明、PCI Expressの用途などが解説された。解説を行なったのは、米インテル社デスクトップ・アーキテクチャ・ラボ、PCI Expressテクノロジ・チーフ・アーキテクトのアジェイ・バット(Ajay Bhatt)氏と、インテル・コミュニケーションズ事業本部テクロノジ・イニシアティブ・ディレクターのティム・パーカー(Tim Parker)氏。
米インテル社、デスクトップ・アーキテクチャ・ラボ、PCI Expressテクノロジ・チーフ・アーキテクトのアジェイ・バット氏 | PCI Expressのメリットをまとめたスライド |
会場内の米エヌビディア社のブースでは、実際にパソコン内に接続されているグラフィックスカードを見ることができた。グラフィックスカードが接続されているスロットはPCI Express x16のスロット、その下のほうにある小さな空きスロットはPCI Express x1のスロット |
PCI Expressの技術的進捗。今後12ヵ月以内に市場に製品が登場するという | PCI Expressの導入例。太い実線で結ばれている部分がPCI Expressを利用したデバイス同士による接続 |
バット氏によると、同社および関連する業界によるシリコン技術やシステムは、2004年の量産出荷に向けた準備は完了したとのことで、今回のIDFのフロア展示でも、実際に動作している製品が登場してきている。PCI Expressは、サーバー/ワークステーション、デスクトップパソコン、ノートパソコンといった幅広い製品に搭載され、エンタープライズ、コンシューマーの各分野において活用されるという。具体的な用途としては、グラフィックス、通信、ストレージ、マルチメディアなどが挙げられており、機能に応じて、チップ、カード、モジュールなどさまざまな形で提供されるとされている。
コンシューマー/クライアント分野におけるPCI Expressの展開 |
コンシューマーおよびクライアント分野においては、グラフィックスカードのAGPからの移行(PCI Expressの登場後、AGP 8xはフェードアウトしていくとのこと)、現在のPCIでは帯域が不足してきている高品位なTVチューナーカードやGigabit Ethernetカードでの利用が考えられるほか、同社が提唱する“デジタルホーム”の実現に向け、ビデオレコーダーやゲームといったエンターテインメント用途のための専用のデバイスを接続するための帯域幅の確保も可能だとしている。また、PCI Expressではホットプラグやホットスワップが定義されており、現在のPCカードに近いスタイルのExpressCardにより、今よりも高速で高性能なカード型デバイスの提供も行なわれるという。
エンタープライズ分野でのPCI Expressの展開 | 特に通信分野に特化したケースでのPCI Expressの展開。この分野ではPCI ExpressをベースとしたAdvanced Switchingも用いられる |
インテル・コミュニケーションズ事業本部テクロノジ・イニシアティブ・ディレクターのティム・パーカー氏 |
質疑応答では、Gigabit Ethernetや高品位サウンド機能がマザーボードにオンボード搭載される現在の状況を踏まえたうえでのPCI Expressの実際の用途に関する質問が挙がった。バット氏は、コンシューマーについては、先にも述べたとおりグラフィックスがまずは中心になるとの見通しを述べるとともに、B.T.O./C.T.O.を採用しているメーカーの製品の場合、たとえばGigabit Ethernetについては注文に応じてPCI Expressカードで提供する、という方法を取ることが可能になるので、この点でコンシューマーのユーザーにもメリットになるとしている。また、PCI Expressではカードをスロットに挿入する接続方法のほか、ケーブルによる接続もサポートされており、これの用途に関する質問も出たが、氏によると、ケーブルによる接続は、サーバーのシステム部分のラックとストレージやI/Oのラック間の接続や、ノートパソコンとドッキングステーションの間の接続、マザーボードとライザカードの間の接続などでの利用が考えられるという。