Computex Taipei 2003が延期になるなど、IT業界にも大きな影響を与えている重症急性呼吸器症候群(SARS)。21日に厚生労働省が発表したSARS可能性例の海外発生状況によると、新規報告数、死亡者数、回復者数などの累計報告数は7919件、このうち新規報告数は60件となっている。国別に見ると、新規報告数では台湾が39件と最も多く、次いで中国の17件、香港の4件と続く。先日もSARS
に感染した台湾人医師が国内をツアーしていた事件が報道されたばかりで、国内でもSARSに対する警戒心が強くなっている。
このような状況下、台湾に本社を置くところが多いマザーボードメーカー各社は、自社のSARS対策のPRに力を入れ、ホームページや報道関係者向けのニュースリリースでも万全の対策を伝えている。
大手ベンダーの台湾ASUSTeK Computer社は、社員約2万2000人のなかに感染者はいないとしてうえで、朝出社時と退社時に全社員が体温を測定し、手洗いを行なうことを徹底しているという。驚かされるのは会社にいる間は全社員にマスク着用を義務付けているという報告。受付嬢もマスクをして来客を迎える形となっている。また食堂でも会話するときはマスクを着用すべし、としている。
受付嬢もマスク着用 |
体温検査 |
一方、台湾MSI Computer社も感染者がいないと報告、感染拡大が懸念される地域の支社では、SARS対応マスクの配布・着用、エレベーターなど密閉された個所での私語の禁止、手洗い消毒の励行、ドア・窓の常時開放など現在取りうる対応を全て実施。台湾ギガバイト(Gigabyte)社でも社員全員、本社ビル入る前に体温測定を実施しているほか、毎日全社消毒を行なっているという。また、顧客とのミーティングや大勢での会議の時はマスク着用。海外に出張した場合には10日間自宅で在宅ワークをして様子をみてから出社するようにしているとのこと。
なお、外務省は21日、台湾について危険情報「渡航の是非を検討して下さい(不要不急の渡航については延期をおすすめします)」を発出、対象を台北のみから全域に拡大している。