3.5インチHDDの1プラッタ容量として1年以上もの間標準であり続けた40GB。それを大きく超え、2倍、あるいは1.5倍となる1プラッタあたり80GB/60GBの容量を実現したHDDがついに姿を現した。Seagateの「Barracuda ATA V」、そしてIBMのコードネーム“Vancouver II”など、大容量プラッタ搭載モデルのウワサは今年初頭から事欠かなかったが、第1弾となったのはMaxtor製の4モデルだ。
「Fireball 3」 |
17.5mm厚 |
今回店頭に並んだのはエントリー市場やデジタル家電向けと位置づけられる「Fireball 3」。Fireballといえば、同社が買収したQuantumのHDDブランドとして知られているが、Fireball 3は厚さが17.5mmで、一般的な3.5インチHDDの25.4mm(1インチ)よりも薄く、Maxtorの従来製品「DiamondMax 541DX」に近い。
DiamondMax 541DXは“シングルプラッタ&シングルヘッド”を採用するなど、部品点数を減らすことによってコストダウン、そして不具合の発生率を下げたとされる製品シリーズ。MaxtorのウェブサイトではFireball 3とDiamondMax 541DXとの関連性、また、Fireball 3シリーズのプラッタ容量についても現在のところ言及はされていないものの、17.5mm厚で、エントリーレベルやデジタル家電用という位置づけなどはDiamondMax 541DXのそれを踏襲しており、今回もシングルプラッタ&シングルヘッド構成である可能性は極めて高いと言えるだろう。となると容量40GB/30GBを実現するFireball 3がそれぞれ80GB/60GBプラッタを採用すると考えるのが自然で、しかも実際に複数の代理店が各ショップに対して今回のFireball 3を80GBプラッタ、あるいは60GBプラッタ採用品としているのを考えると、史上初の大容量プラッタ採用モデルなのはまず疑いようがない。
ディスクのカタチにあわせて窪んでいるデザインのFireball 3。底面もかなり窪んでおり、2ヘッド構成を取るためのデザインだとは思えない |
ここで製品を見てみると、ボールベアリングモータ採用の“2F040J0”“2F030J0”、そして流体軸受(FDB)モータ採用の“2F040L1”“2F030L1”、以上4モデルの外観はすべて同一。流体軸受けモデルについてMaxtorのウェブサイトではそれぞれ“2F040L0”“2F030L0”とされているが、なぜこのような違いがあるのかは現在のところ不明。これまでであれば、型番末尾の数字はヘッド数を示していたのだが、“0”になってしまってはお手上げである。
Maxtorのウェブサイトにあるデータシートでは、流体軸受けモデルの型番末尾は“0”になっている |
袋に貼られた型番シール |
HDD表面に貼られたシールからはUltra ATA/133対応の旨と容量を読みとれる程度で、DiamondMax 541DXと同じく回転数は5400rpm、平均シークタイム12msとなっている。プラッタ密度向上による内部転送速度への影響などについてはMaxtorによる今後の発表を待つ必要があるが、以上のスペックから判断しても、パフォーマンスを重視する人にとって選択肢とはなりえないだろう。Fireball 3には最低10GBモデルもラインアップされており、完全にエントリー市場やデジタル家電向けといった位置づけだ。
しかし、これまでウワサの域を出なかった、40GBより大きなプラッタ容量を持つHDDがこうして実際に店頭へ並んだ意義は決して小さくない。8月中旬にも発表されると言われるBarracuda ATA Vはもちろん、Maxtorによる上位モデルも現実的な期待を持てるようになってきたわけで、IDE HDD周辺が俄然おもしろくなってきたと言えるだろう。
価格 | ショップ |
---|---|
Fireball 3“2F040J0” | |
\7,580 | USER'S SIDE本店 |
\7,980 | OVERTOP |
Fireball 3“2F030J0” | |
\8,480 | USER'S SIDE本店 |
\8,980 | OVERTOP |
Fireball 3“2F040L1” | |
\7,980 | パソコン工房秋葉原店 |
Fireball 3“2F040L2” | |
\8,980 | パソコン工房秋葉原店 |