●Mフレッツ、HOTSPOT。本格化する無線LANサービス
ビジネスシヨウというだけあって、通信環境であれ、ハードウェアであれ、ソフトウェアであれ、なんらかの形でビジネスユースを意識したさまざまな出展が目立った。大きな話題となったNTT東日本の無線LANインターネット接続サービス“Mフレッツ(仮称)”も、一見するとエンドユーザーのみのソリューションに見られがちだが、実際には無線アクセスポイントを設置し、通信する“場”を提供するホストユーザーへのビジネスも意識されている。
NTT東日本ブース。Mフレッツブースには多くの来場者が熱心にチェックしていたが、なぜか今回は参考出展とのことで撮影は拒否された |
Mフレッツは、エンドユーザーがIEEE802.11b準拠(最大通信速度11Mbps)の無線アクセスポイントを設置した場所にノートパソコンなどモバイル機器を持参し、無線LANカードを通じて、インターネットに接続するサービスだ。サービスの正式なスタートは未定だが、第2四半期に正式発表し、試験サービスをへて正式サービスを開始する予定だ。また、エンドユーザーの料金は月額1000円以下になるそうだ。
無線LAN接続サービスは、同社とはグループ企業であるNTTコミュニケーションズがブースにおいても紹介していた“HOTSPOT(ホットスポット)”のサービスをすでスタートさせるなど、先行サービスが存在する。MフレッツとHOTSPOTは、基本となるサービスは大きくは変わらないが、いくつかの相違点がある。HOTSPOTは使用しているプロバイダには関係なく利用できるが、Mフレッツは同社のフレッツシリーズであるBフレッツ、フレッツ・ADSL、フレッツ・ISDN(エンドユーザーのみ)を利用している必要がある。
また、使用機器についてだが、ノートパソコンと無線LANカードを使うことは共通しているが、MフレッツはノートパソコンにMフレッツユーザーであることを認証するUSBインターフェースのハードウェアキー“認証キー”を差して使用しなければならない。これにより、通常使用している接続設定を変えずに利用できる。しかし、無線LANカードをPCカードスロットにセットし、さらにその上に認証キーという“手間”がかかることになる。接続設定の再設定の面倒さを取るか、カードやキーの接続の手間と取るかだ。
IPv6サービスやHOTSPOTなどの提案していたNTTコミュニケーションズのブース |
●ブロードバンドはビジネスにも不可欠!
Mフレッツは、サービスを受ける側(=エンドユーザー)だけではなく、サービスを仲介する側(=ホストユーザー)に分けて考えることができる。無線LAN環境を提供することで、ホストユーザーのビジネスに付加価値を付けよう、というものだ。容易に考えつくのは、喫茶店などの飲食店において顧客へのサービスとして提供したり、通常のオフィスで会議室などのパブリックなエリアで打ち合わせなどに来た来客へ提供するといった方法が考えられる。導入費用もフレッツを使用していれば、無線アクセスポイント(定価13万8000円)を用意するだけだ。接続設定はホストユーザー側で制限をかけることができるので、顧客別にサービスを差別化することも可能だ。
HOTSPOTもビジネスユーザ向けのサービスを用意している。こちらはエンドユーザーとしてのビジネスユースを考慮したもので、イントラネットへのアクセスを可能にするICカード『SAFTYPASS』を使ってセキュリティーを確保する。
このほかにビジネス向けのサービスとしてブロードバンドネットワークを活用したいくつかのASPサービスがあった。NTT東日本の“Movie Marker”はブロードバンドネットワークを活用した会議や共同作業を可能したコラボレーションプラットフォームソリューションだ。遠隔地にいる利用者が映像・音声通信をしながら会議を行なったり、アプリケーションを共有しながら協調作業が行なえる。映像を送信するライブカメラは既存のもので対応できるので、VAIO C1のようなカメラを備えたモバイルノートパソコンでも利用できるということだ。アプリケーションが共有できるので、一方のパソコンにアプリケーションがインストールされていればOKだ。最大1000人まで参加が可能だ。なお、Movie Markerは法人向けサービスだが、同様の内容で5人、10人といった小規模会議室を開くことができる“MeetingPlaza電網会議室サービス”がある。こちらは5人参加で基本利用時間が5時間のライト5は1万円でテレビ会議が行なえる。
NTT東日本のMovie Marker。クライアント端末はモバイルノートでもOKなので出張先からも会議にアクセスできる |
Movie Markerはライブで情報を共有するものだが、NTTコミュニケーションズの“ShareStage”は社内外でデータを共有できるサービスで、法人向けのインターネットディスクと言える。ただし、その容量はハンパではなく、5GBのShareStage ASP5、10GBのShareStage ASP10をはじめ、5GB、10GB刻みでユーザーの必要とするディスクスペースを用意できるということだ。
●カシオが薄型、ヘヴィデューティのデジカメ2種
このほかにもビジネスに活用できるさまざなデジタル技術が紹介されていた。
カシオ計算機は2点のデジタルカメラをはじめとするデジタルグッズを紹介していた。デジタルカメラ『カシオ・エクシリム』はなんと1.13センチという世界最薄の筐体を持つ。これならジャケットのポケットどころか、ワイシャツのポケットにも入ってしまう。基本性能も200万画素、20秒のムービー撮影、さらにプリントもPRINT Image Matching II、Exif Printに対応しているのでプリント仕上がりもいい。
薄いだけではない。サイズもカードレベルのカシオ・エクシリウム |
もう1点のデジタルカメラ『G.BROS.』は水洗いや多少の雨でも撮影できる高い防水性能(水中撮影は不可)、G-SHOCKの技術を応用したという耐衝撃性能、砂、土、埃にも耐える防塵性能といったヘビュデューティ仕様だ。スポーツシーンなどでの使用が容易に想像できるが、ビジネスでも建設現場、災害現場、事故現場といったさまざまな自然環境での撮影にも活用できるだろう。同様にさまざまな使用環境に対応できる防滴性能、耐衝撃性を持ったWindows 2000 Professional搭載のペンPC『カシオペア・ファイバ MPC-701』が参考出品されていた。
防滴・防水仕様のデジタルカメラはこれまでほかにもあったが、G.BROS.はデザイン、カラーともスポーティなイメージだ |
ビジネス業務に優れたカシオペア・ファイバは今回、初公開となった |
このほかにもビジネスをサポートするさまざまなユニークな製品があった。理想化学工業(株)はネットワークスキャナーとオプションパネル(参考出展)に、半導体レーザーによる乾式電子写真方式プリンターの『Prioa LP1800』を組み合わせたSOHO向けのコピーシステム『RISO DESK-SIDE PRINT SYSTEM』を紹介していた。手持ちのスキャナーに11万8000円と低価格なPrioa LP1800とオプションパネルを組み合わせて20万円以内のコストで導入でき、Prioaが1枚1円で出力できるのでランニングコストも抑えることが可能だ。
ユニークで低価格のノンPCプリンタシステムとして使えるRISO DESK-SIDE PRINT SYSTEM |
事務用品の(株)キングジムはラベルライター“テプラ”シリーズにUSB対応機『テプラPRO SR710』を投入した。パソコン用ラベルソフトが同梱されており、USB接続するパソコンにインストールして使うことができる。ExcelやCSVなどの取り込みができるので、既存ソフトかのデータ利用が可能だ。画像の貼り付けも可能なので、パソコン上で作成したロゴなども活用可能だ。ラベルソフトはWindows 98/98 SE/2000 Professionalに対応しており、Windows XPについては今後、ダウンロードでアップデータを用意するとのことだ。
キングジムではパソコンとUSB接続して使う新発想のテプラが紹介された |
(株)アイプランニングはソニー(株)のエンターテインメントロボット“AIBO”の遠隔操作を可能にする『WATSON』を出品していた。無線LANを使って操作するもので、無線LANカードが搭載できる『AIBO ERS-210/220』の2機種が対応する。サウンドチャンネルやムービーチャンネルのタイムスケジュールを作って、複数のAIBOの動きの24時間管理ができるので、さまざまな使用が考えられる。企業などでは受付においてAIBOに来客対応させることもできる。人件費もバカにならない受付嬢を置かずに、愛嬌のある対応ができるAIBOなら一挙両得と言えるだろう。
AIBOの新しい活用法を提案したアイプランニングのブース |