(株)富士通研究所は28日、将来の超高速、超高密度情報処理デバイスに必要な有機分子と遷移金属(鉄やコバルトなど特殊な電子軌道を持つ金属元素)を組み合わせた有機-無機ハイブリッド物質を利用して、分子エレクトロニクス材料の合成に成功したと発表した。
今回開発した材料は、分子スケールで3次元的に回路を集積化する3次元マトリクス回路を構築でき、従来のシリコン半導体デバイスに比べ3桁速い動作速度を持つ高速スイッチングデバイスや、3桁大きい集積度をもつメモリーデバイスなどの実現に応用できると期待されているもの。
超分子マトリクスの概念図 |
同社は、有機分子の自己構造制御特性と、遷移金属原子による高い電子機能(導電性、磁性、非線型光学機能など)を兼ね備えた全く新しいコンセプトの分子集合体“超分子マトリクス”の概念を考案し、それを実現するための有機-無機ハイブリッド物質の分子設計を行ない、従来は困難だった分子への信号アクセスが容易で、分子の安定性が高い新規物質の合成に成功したという。
集積化有機-無機ハイブリッド物質 |
今後、開発した材料を用いて、スイッチングデバイスなどの原理素子を実現するためち、3次元回路集積化の検討を進めるとしており、超高密度のメモリーデバイスや、超高速の光スイッチングデバイスへの応用が可能という。