節政暁生氏(左)と外木和洋氏(右) |
コンシューマゲームコンソール用としては世界初のネットワークRPGであるドリームキャスト(以下“DC”)版「PHANTASY STAR ONLINE」(以下“PSO”)。その成功の要因を探り、国産ネットワークRPGの可能性を探るインタビューの後編をお届けしよう。今回もお相手は、PSOのサーバを運営を担当する、ソニックチームの節政暁生氏と外木和洋氏。運営費やチートの問題など、永続的な課題を中心に話を伺った。
利用料金400円は高い?! 運営費問題
――“ケチケチ路線”の効果か、DC版の利用料金は、海外発のオンラインRPGと比較すると圧倒的に安い、ユーザーにうれしい金額になっています。
節政暁生氏(以下“節”):でも、当時は400円でも「こんなに取って、プレイしてくれるのか?」って感じでしたね。
外木和洋氏(以下“外”):ちょっと高いかな、くらいに思っていたくらいです。最初「500円」っていう話があって「いやそれは高すぎる」と(笑) 「あつまれ!ぐるぐる温泉」(以下“ぐるぐる温泉”)(※1)で“セガとしては300円”になったので「横並びで」なんていう話も出てきていました。
※1 「あつまれ!ぐるぐる温泉」 セガの開発子会社であるオーバーワークス製のオンラインテーブルゲーム集。麻雀や将棋、複数のトランプゲームを、オンラインで楽しむことができた。当時のサーバ利用料は月々300円。続編として、ブロードバンド回線に対応した「あつまれ!ぐるぐる温泉BB」が登場の後、コミュニケーション機能の拡張などネットワークの強化とゲームコンテンツの充実をはかった「ぐるぐる温泉2」が販売中。3月14日には最新作「ぐるぐる温泉3」も発売予定となっている。節:成功したから当たり前のように感じるかもしれませんが、この課金モデルも失敗する可能性があったわけです。だから、失敗してもいい、くらいのケチケチ路線があったと。
――それでも運営費はかかります。特に回線費はバカにならないのでは?
節:そうですね。現状、かなりパケット流れてますからね。ISAOがプロバイダとして、太い線と繋がっているからできたと言えますね。どこかのレンタルサーバ業者と組んで簡単に作っていたら、すぐ業者さんに怒られたと思います(笑) BBAの普及もデータ転送量の増加には寄与しています。なんで利用料金なんて取るんだ、という人がいるかとも思うんですが、この、回線の使用料というのが大きいんですよ。
――各クライアントごとのパケット量はかなりのものなんじゃないですか?
節:なんとかそれを抑えるようにしてます。実際、ただ立ってるだけだといっさいパケットは流れないようにしてますので。歩くとちょこちょこ流れるように。
――データの転送時に圧縮したり、といった処理は行っているんですか? ニュースサイトなどではhtmlの圧縮などを行ったりしますが。
節:特にはないですね。あくまで、サーバ側で処理するのか、Peer to Peerにするのかを分ける程度です。
――DC版はとにかくGD-ROMのロードが多いですが、そのあたりとパケット量は関係しているんですか?
節&外 ギクッ(笑)
節:データ転送とはほとんど関係ないですね。PSOって、キャラクターの容姿がみんな違うじゃないですか。あれって、実はスゴく大変なことで、キャラが違うってことは、それだけモデルやテクスチャ、体型のデータが違うということですよね。それを、新しいキャラが描画されるたびにGDから読みにいってるんです。メインメモリに入りきらないんですよ、キャラクターのデータが。だから、別の人が画面内に入ってくると、その人のモデリングデータをすべてGDから読んで描画しているので…。PC版はHDDがあるのでその点は快適です。