日本カバ(株)は31日、都内で記者発表会を行ない、非接触型のICチップを用いた入退室システム『カバレジックスター(Kaba legicstar)』を一般住宅向けに発売すると発表した。
日本カバ代表取締役社長加藤海士郎氏 |
カバレジックスターは、ICチップを埋め込んだ鍵やカード、時計などの“メディア”を用いたセキュリティーシステム。従来の鍵穴に鍵を差し込んで、入退室を行なう“シリンダー錠”とは異なり、メディアを読み取り機である『カバエロレジックリーダー(Kaba elolegic reader)』にかざして認証を行ない、入室する。同社は、近年のピッキングの被害の増加に伴い、防犯機器を取り付けたり、警備会社のホームセキュリティーへの加入者も増加しているが、鍵そのものを重視した防犯対策がなされていないことから、一般住宅向けに販売するという。鍵に相当するメディアは2400種類まで登録できるため、マンションなどの共同住宅へも導入することができる。
左から、管理専用カード『プログラムAカード』、各個人がメディアを登録する『プログラムBカード』、各個人が鍵として利用する『スマートカード』、ICチップを埋め込んだ鍵(黒い部分にICが埋め込まれている) |
リーダーに鍵となるメディア『スマートカード』をかざしている様子 |
これはICチップ内蔵キーの場合 |
同システムでは、管理専用カードの『プログラムAカード』により、メディア登録カードの『プログラムBカード』を作成し、各個人が鍵として使いたいメディアを登録するという形式をとる。各個人が、メディアを作成できるため、万が一紛失しても、自分で登録を抹消し、紛失したメディアを無効にすることもできる。従来の暗証番号を入力するタイプのセキュリティーシステムと異なり、メディアをかざして(非接触で)認証を行なうため、高齢者にも操作しやすくなっているという。さらに、ドア自体にもセンサーを組み込み、車椅子利用者などが通過中にドアが閉まることないようにしている。
車椅子を利用したデモ |
またピッキング対策には、室内側に設置する制御装置『ホームコントローラー』に“ピッキングアラーム”機能を搭載している。ドアには従来のように鍵穴が設けられているが、鍵穴に何かが差し込まれると、ブザーと光で威嚇するという。そのほか、ホームコントローラーを遠隔操作するスイッチ『遠隔操作盤』により、室内の離れたところから入退室者を管理することも可能となっている。
左から4人目が日本カバ代表取締役社長加藤海士郎氏、加藤氏の左はスイスKaba Holding副社長のHeribelt Alleman氏、右はKaba工場所長のGerhard Wenger氏 |
代表取締役社長の加藤海士郎氏は、「以前はメカニカルロックが主流であったが、メカトロニクスが導入され、そして今後エレクトロニクスになることは言うに及ばないだろう。安全で、安心な社会作りに貢献することをモットーに、安全を主体とした高付加価値を提供したい」と述べた。また、「現在、カバの名で、ラッピングバスを全国で計16台走らせており、カバブランドの認知が高まっており、製品の売上に数として現れている。カバレジックスターは、これからの高齢化社会の入退室システムに即した商品である」と語った。
販売に関しては、新たに設立したサービス組織“カバACクラブ(カバアクセスコントロールクラブ)”が、出張・取り付けまでを行なう。製品は、メディアとリーダーの基本構成品のパッケージと、基本構成品にホームコントローラーをセットにしたパッケージと、基本構成品とホームコントローラーと遠隔操作盤をセットにしたパッケージの3タイプの構成となっている。価格はオープン。なお参考価格は、基本構成品と出張料、取り付け料で10万円。4月1日に販売を開始する。販売目標は、2002年に8100万円、2003年に1億8000万円としている。