(社)電子情報技術産業協会(JEITA)は、東京/多摩ニュータウンを借用し、ホームネットワークシステムと情報家電機器を組み込んだ“情報家電モデルハウス”(JEITAハウス)を建設、28日に報道関係者に公開した。
この情報家電モデルハウスは、平成11年度(1999年度)からの3ヵ年事業である経済産業省国家プロジェクト“住宅分野の情報システム共通基盤整備推進事業”の総括として、過去3年間の開発、実証、調査等の事業成果を踏まえつつ、メーカー各社の最新開発製品を組み合わせ、情報家電のモデルケースとして実際の一戸建て住宅に実現したもの。テーマは“今すぐ手に入る未来!”。
玄関ドアを開けて中に入ると、ソニーのエンターテインメントロボット『AIBO』がドアでの個人認証信号を受け、帰宅した人ごとに異なるウェルカムダンスを踊ってくれる |
宅内のホームネットワークは、プラスチック光ファイバー、電灯線利用のECHONET、IEEE 802.11b、Bluetooth、赤外線などを組み合わせて利用している。各部屋の情報家電はTVリモコンまたは音声認識によりコントロールできるほか、携帯電話やモバイル端末を利用して宅外からでも一部の操作が可能。
リビングルームのTVがハウス全体のコントロールセンターとなっており、照明やカーテン、エアコン、窓鍵、室内温度等についてTV画面をみながらリモコンで制御できる。さらに、窓や雨戸、勝手口、バルコニーからの侵入および火災/ガス漏れ等が発生するとセンサーが検知し、異常を指定先の携帯電話に通知する。
ホームコントロールセンターとなるリビングのTV。各部屋の家電の電源ON/OFFやカーテンの開け閉め、照明の点灯/消灯などをリモコンで操作できる |
また、各部屋にはファミリーコミュニケーションシステム端末が設置されており、音声認識による家電や住宅設備の制御が可能。例えば、端末に「お休みチェック」と呼びかけ、ドアや窓鍵の閉め忘れ、換気扇の止め忘れ、ホットプレートの消し忘れなどを音声で指摘すると、それらをチェックし問題があれば電源を消すなどの処理を行なう。また、カメラも内蔵しており、付属のワイヤレスマイクを利用すれば、各部屋間で動画と音声によるTV電話のようなビジュアルコミュニケーションが可能。
キッチンに備え付けられているファミリーコミュニケーションシステム端末。同様の端末が各部屋にも取り付けられており、各部屋の人たちとビジュアルコミュニケーションも可能。これでママもキッチンに居ながら子供部屋の様子をチェックできる? |
冷蔵庫に設置された『ビール自動発注システム』。冷蔵庫内にある容器の中のビールがなくなると接点センサーが検知し、冷蔵庫上のデータ発信機を経由して宅内のサーバーに伝達、サーバーから酒屋宛てにビールがなくなったことを通知するメールを自動発信する。同様の仕組みで、米びつの米がなくなると米屋にメールを自動送信する『お米自動発注システム』もある |
庭には、『リモートコントロール散水/給餌システム』が備えられており、携帯電話から、植木への水やりやペットへの餌やりが可能。写真は携帯電話から制御命令を送信し、自動で水やりをしている様子。植木台に散水口が装備されている |
こちらはパパ向けの書斎。戸棚に接点センサーが実装されており、許可なく開けられると指定先にメールで通知するという。家族に見られるとまずいものを隠せるかも? |
さらに書斎の反対側の壁にはTVとスピーカーがあり、書斎がパーソナルホームシアターに変身、サーバーにダウンロードした映画データをいつでも楽しめる。ちなみに、この書斎のコンセプトは“男のロマン” |
情報家電モデルハウスに組み込まれているホームネットワークシステムおよび情報家電にかかるコストは、開発段階のものが多数含まれているため明確な金額には換算できないとのことだが、例えばホームシアターにもなる書斎の場合、備え付けの機器や特注の家具を含めて数百万円程度になるという。
JEITAは、この情報家電モデルハウスを2月1日より一般公開する。一般見学受付期間は2月1日~3月20日(土日祝日を除く)までで、事前に電話予約(Tel.03-5282-1234)が必要。1組5~6名での見学となり、1回の見学時間は30分、1日18組まで受け付ける。期間中で5000名の見学者数を予定しているという。