11月20日~22日にわたって行なわれた「MST2001(Embedded Technology Conference & Exhibition)」の組み込みLinux関連のブースの模様をご紹介する。
Linux対応CPUボード「Armadillo」
(株)アットマークテクノと梅沢無線電機(株)が出品した「Armadillo」は、CPUにCirrusLogicのARM系プロセッサを使用したPC/104規格のCPUボード製品。PC/104規格は、3.5インチサイズのボード上に104ピンの拡張スロットを搭載するもので、主に工業用コンピュータなどで利用されている。梅沢無線電機(株)が販売しているPC/104規格の各種拡張ボードと接続することが可能だ。OSには(株)アットマークテクノが独自に開発した、カーネル2.4.6ベースのディストリビューションを組み込んでいる。
「Armadillo」ボード。 |
ブースでは、「Armadillo」にIBMのマイクロドライブを搭載したWebサーバと、A/Dコンバータに接続したボリュームで電圧を変えると、ネットワーク接続されたPCにリアルタイムに電圧が表示されるというデモを行なっていた。
デモを行なっていた「Armadillo」。 |
ブラウザ画面の下に表示されている電圧が、ボードに接続されたボリュームを操作すると変化する。 |
「Armadillo」は来年1月頃に発売する予定で、ボード単体での価格が4万円、gccなどを含むクロス開発環境をバンドルした製品が5万円程度になる予定。販売は梅沢無線電機が行なう。
SurperH搭載のATXマザーボード?
レッドハット(株)ブースでは、CPUにSuperHを利用した評価用マザーボードが展示されていた。このボードでは一般的なATXマザーボードと同様に、PCIカードやIDEハードディスク、PS/2マウスやキーボードなどが利用できる。
ケースの中にあるのが、SuperHを搭載した評価ボード。レッドハット(株)担当者によれば、「Dreamcastで満足できない方はどうぞ」とのこと。 |
レッドハット(株)ではほかに、組み込みLinux用の開発ツール「ELDS(Enbedded Linux Development Suite)」を展示。ELDSは、クロス開発環境「GNUPro」や、ブートストラップ「RedBoot」などを含む開発環境。SRPMパッケージから、マウスクリックのみでターゲットデバイス用のRPMパッケージを生成することもできるほか、ターゲットデバイスをシミュレーションし、テストやデバッグ作業を行なう機能もある。10月29日に発売され、価格は2500ドル。年間サポートは1万5000ドルで提供される。
ELDSの画面。ターゲットデバイスの選択、コンパイルなどの作業をマウスクリックのみで行なうことができる。パッケージの依存関係も自動的に調べ、インストールするパッケージのサイズを表示してくれるなどの機能もある。 |
Linuxプリンタ
モンタビスタソフトウェアジャパン(株)のブースでは、(株)テクニカル・マーケティング・リサーチが、プリンタをHard Hat Linuxを組み込んだボードで制御するデモを行なっていた。
制御用コントローラボード。Hard Hat Linuxが使用されているという。PCとの接続はパラレルではなく100BASE-Tのネットワーク。 |
このボードは、コンピュータからジョブを受け取り、プリントヘッドと給紙をコントロールするほか、プリンタの設定画面の表示なども行なう。同社では、業務用の多機能プリンタ向けに販売活動を行なうとしており、将来はファイル/プリントサーバ機能や、インターネットへの対応などを進めたいとしている。
(株)イーエルティーのブース
(株)イーエルティーは、メトロワークス(株)やフェニックス テクノロジーズ(株)などとの提携を11月15日に発表しており、今回はその成果である、Hard Hat Linuxに対応したメトロワークスの開発環境「CodeWarrior for Enbedded Linux」や、フェニックス テクノロジーズのブートローダー「QuickLoader」を展示していた。
「CodeWarrior for Embedded Linux」。Linux版とWindows版が用意されるという。こちらはLinux版。 |