「カナリア」や「銀色」のテーマソングなど、ゲームの主題歌ですっかりおなじみの佐藤裕美さん。そんな彼女が本日30日にアルバム「佐藤裕美ゲームテーマソングコレクション~Looking for sign~」(コナミレーベル/キングレコード)でメジャーデビューした。歌手として長いキャリアを持つ佐藤さんにとって、ゲーム音楽とは、そして今回のアルバムはどのような存在なのだろうか?「歌手・佐藤裕美」に迫るロングインタビューをお届けしよう。
――今回のアルバム「Looking for sign」がメジャーデビュー第1弾になりますが、そもそも何がきっかけでゲームの歌を歌うようになったのですか?
【佐藤裕美さん(以下佐藤)】ずーっと、ゲームとかアニメとかをまったく知らないまま「サティアグラハ」というバンドで活動してきたんですね。で、あるときバンドのCDをプロデュースしてもらっていた人が、'99年の冬コミ会場でそのCDの販売をすることになったんです。せっかく販売するのだからとブースにいたら、偶然その時「カナリア」を作ったフロントウイングの社長の山川さんが「カナリア」で歌を歌ってくれる歌手を探していて、これまた偶然、私たちのブースに来て聴いてくれて「これ誰が歌ってるの?」と。「私です」って手を挙げたのがすべての始まりです。
その時は挨拶しただけだったんですけど、1カ月後ぐらいに山川さんから連絡があって「カナリア」の歌を歌わせてもらうことになりました。それが最初の、ゲームのお仕事ですね。冬コミの会場でCDを販売していなかったら、こういうことには絶対なってなかったと思うんですよ。ゲームもあまりしないし、アニメとかの世界もよくわからないまま、音楽一辺倒でやってきたので…。
――「カナリア」の曲を歌ったあとは…
【佐藤】運良く、いろいろな会社さんからお仕事をいただけてますね。次はねこねこソフトさんの「銀色」の曲を歌わせていただくんですけど、その時はある人の紹介ですね。
――「カナリア」が1年半くらい前で、その後紹介があって、あれよあれよという間に人気が上がってきた印象です。
【佐藤】昨年受けたお仕事は「カナリア」「銀色」「すいすいSweet」の3作品だけなんです。昨年はちょっと体調を崩して半年ほど療養してたので、ってそんなに大したことはなくて、“療養”中に「すいすいSweet」のレコーディングをしたりもしてたんですけど(笑) それでお仕事は3つだけでした。今年に入ってからですね、多くのお仕事をいただくようになったのは。自分でもすぐには、何曲歌ったのか思い出せないくらい(笑)
――1カ月単位で見ても、佐藤さんの歌が入ったソフトが何本もリリースされたりしてますよね。
【佐藤】今月(10月)はスゴい状態かもしれない(笑)
――たくさん歌ってきた中で“仕事”として1番印象に残っているのは?
【佐藤】やっぱり最初の「カナリア」ですね。もうスゴく緊張して…。前の人のレコーディングが押していて1時間以上待ったんですけど、その間に余計緊張してしまいました。前の人が終わってレコーディングブースに入っても震えが止まりませんでした。そのときディレクションしてくれたのが、今回のアルバムをプロデュースしてくれているA川さん(編注:佐藤さんのインタビューに同席しています)なんですが、A川さんがいろいろ励ましてくれてなんとか録り終わったのを覚えています。
それで、終わったら当然レコーディングブースから出ますよね。すると山川社長が泣いてたんですよ(笑) 泣きながら無言で握手を求めてくれて。もう忘れられないですね。よかった、やってよかったと。仕事の楽しさをそこで味わえたので、続けていけたらいきたいと思ったのが、いまお仕事をいただいている出発点なのかもしれませんね。