米ゼネラルモーターズ(General Motors:GM)社は10月1日に、ウェブ上で車の見積もりが行なえるサービス“GM BuyPower”の日本版、“BuyPower Japan”のサービスを本格的に開始する。
“BuyPower Japan” |
BuyPower Japanは、米GMおよびスズキ(株)、富士重工業(株)の3社が出資して9月14日に設立した合弁会社、日本オートウェブサービス(株)が運営する。ユーザーはBuyPower Japanで、3社および(株)いすゞの、GMグループ4社の販売するあわせて65車種179モデルの見積もりを、希望する販売会社に依頼することができる。
また、日本オートウェブサービスは9月27日に、インターネット上での広告配信・管理をおこなうバリューコマース(株)と提携し、BuyPower Japanのプロモーションをバリューコマースが行なうと発表している。
ASCII24編集部およびオートアスキー編集部では9月27日、BuyPower Japanの本格サービス開始に合わせて、General Motors Asia Pacific社の“e-GM”(※1)ディレクター テリー・B・ジョンソン(Terence B. Johnsson)氏、日本オートウェブサービスの松井隆代表取締役社長兼CEO、バリューコマースのブライアン・ネルソン(Brian Nelson)代表取締役社長兼CEOに、BuyPower Japanの戦略について、都内の日本ゼネラルモーターズ(株)本社内でインタビューを行なった。
※1 GMのインターネット関連事業を扱うビジネスグループ左から、日本オートウェブサービスの松井隆代表取締役社長兼CEO、“e-GM”ディレクター テリー・B・ジョンソン氏、バリューコマースのブライアン・ネルソン代表取締役社長兼CEO |
3氏の説明によると、まずバリューコマースと日本オートウェブサービスの提携によって、バリューコマースの5万のパートナーサイト、合わせて1日9000万のページビューをBuyPower Japanに誘導する。ジョンソン氏の「BuyPower JapanはE-CRMだ」との言葉どおり、バリューコマースのシステムによって、ウェブ上でのユーザーの行動を把握し、また顧客情報を蓄積する。
BuyPower Japanは、当面はパソコンとコールセンターからのアクセスのみだが、将来的には携帯電話からアクセスできるようにするという。これによって「ディーラーとユーザーをウェブでつなぐ(ジョンソン氏)」ことを目指す。
以下、1問1答
“e-GM”ディレクター テリー・B・ジョンソン氏 |
BuyPower Japanで扱う車種 |
日本オートウェブサービスの松井隆代表取締役社長兼CEO |
バリューコマースのブライアン・ネルソン代表取締役社長兼CEO |
1999年にカーポイント(現カービュー)、オートバイテルがアメリカで定着したeコマースの輸入という形で日本市場に導入されて2年が経つが、新車購入時にウェブで見積もりをとることが広く定着し、コストに見合う収益が見積もり事業だけであがるまでにはまだ時間がかかるとの見方が強い。
しかし、メーカーサイトに当然のように見積もり機能を期待するまでにユーザーは成長している。そのような状況でGMがアメリカで開発し時間をかけて育てたシステムを共通に提供することができ、サイト運用を共同で行なえるメリットは、参加ブランドにとってはGMアライアンスのひとつの結実と言える。
BuyPower Japanの構造。いすゞは経営再建中のため、出資していない |
今後、BuyPower Japanが独自のブランドとして積極的に新車購入希望者の掘り起こしに力を発揮する“積極的な成果”か、または、メーカーサイトの見積もり機能の共同運営“消極的な成果”という意味合いで日本市場の成熟を待つかは、現時点では判断できない。
ただ、サイトオープニングで各ブランドサイトトップページから祝福(リンク)を受けられない現状は、スタートとして非常に苦しい。もっとも困難だと思われる現場ディーラーの対応を得てユーザーにとって“気が効く”サービスの展開こそが積極的な成功に近いと考えられる。