千葉県の日本コンベンションセンター(幕張メッセ)で開催中の“WORLD PC EXPO 2001”において19日、インテル(株)のジョン・アントン(John Antone)代表取締役社長による基調講演が行なわれた。「日本はデジタルワールドにおいてもっと重要な役割を果たすべき。いまこそ将来を見据えた積極的な投資を」と訴えた。
バレット氏はビデオで登場
この基調講演はもともと、米インテル社のクレイグ・バレット(Craig Barrett)社長兼CEOが行なう予定だったものだが、米国でのテロ事件の影響を受けて来日中止となり、アントン氏が代役を務めた。講演の冒頭ではバレット氏のビデオで登場し「来日できずPentium 4搭載の小型PCを見ることができないのが残念」「現在パソコンの売れ行きは厳しい状況にあるが、インテルは今後の需要の回復をにらんで、技術開発と生産増に向け115億ドル(約1760億円)を投資する」というメッセージが流れた。
米インテル社のクレイグ・バレット社長兼CEOはビデオで登場 |
アントン社長は講演の中で、いわゆる“IT不況”“ITバブルの崩壊”に至った原因について「インターネットは抜本的に物事を変えると考えられていた。そうした変化は確かに起きた。インターネットエコノミーの崩壊は、実現を急ぐあまりに健全なビジネスモデルを欠いていた」と述べた。そのうえで「現在のパソコンの売れ行き不振は底をついた。第4四半期には正常な成長に戻る」とパソコンの売れ行きについて楽観的な見通しを述べた。
インテル(株)のジョン・アントン社長。いつもネクタイに背広のアントン氏だが、今日は“バレット氏風に”クルーネックシャツとジャケットで登場 |
景気後退面でもインターネット利用は減っていない
そして「今やデジタル/インターネットのない生活は考えられない。1日に5億人が何らかの形で接続し、米小売業界のネット販売は1日あたり120万ドルの売り上げを上げている。AOLのインスタントメッセージでは毎日6億5000万のメッセージがやりとりされ、Eメールは1000億も送信されている。景気後退の中でもこれだけの数字になっている」「インテルはインターネットの将来を信じており、シームレスなIPネットワークを実現するというのがビジョンだ。これによって何10億台ものクライアントがユビキタスなサーバーによって接続されるようになるだろう」と語り、そのためにメモリーとマイクロプロセッサーの開発に集中投資しているとした。
Pentium 4に最適化したソフトとして紹介された、(株)デジタルステージのデジタルビデオイメージ作成ソフト『motion dive 3』 |
ここでPentium 4搭載パソコンやPentium 4に最適化されたソフトウェア、StrongARM搭載のPDA『iPAQ』を使ったデモンストレーションなどが続けて披露された。また、サーバー向けのプロセッサーについても触れ、現在のItanium(Merced)の後継である“McKinley(マッキンリー)”を2002年早々に量産開始すると明らかにした。
インテルが集中投資している4つのカテゴリー“IA-32/クライアント”“ハンドヘルドコンピューティング”“サーバ”“ネットワーキング/コミュニケーション” |
日本は今こそ積極的な投資を
アントン社長は講演の最後を「日本は多くのコンシューマー技術においてリーダーだが、デジタルインフラの構築において、世界に後れをとっている。この現状を大きく変えていくことが重要だ。日本はデジタルワールドにおいてこれまでも成功してきたが、もっと重要な役割を果たすべきだ。今こそ将来を見据えて新製品開発のために積極的な投資が必要。日本のみなさんにぜひこのことを考えていただきたい」と、日本への提言で締めくくった。
アントン社長が示した“日本の先駆者としての部分”それぞれの生産数や普及率を世界の国々のなかでの順位で表している |
こちらは日本が劣っているというデジタルインフラの世界の中の順位 |