カテナ(株)およびソフトウェア生産技術研究所(株)は17日、ソフトウェアを開発する方法論“Lyee”の評価・研究を行なうプロジェクト“Lyee 国際学術共同研究プロジェクト”を開始したと発表した。
“Lyee 国際学術共同研究プロジェクト”記者発表会 |
Lyeeは、ソフトウェア生産技術研究所の根来文生代表取締役社長が開発したもので、“Governmental Methodology for Software Providence(ソフトウェアの摂理に関する統一理論)”の語尾を並べた略称。ソフトウェアの開発を、開発要件を定義するだけで行なえるようにするという手法で、単語とその単語を規程する式、成立条件、画面のレイアウトを定義し、その後の処理は定義に基づいてコンピューターが行ない、自動的にプログラムを生成するという。
同プロジェクトは、岩手県立大学ソフトウェア情報学部の藤田ハミド教授をリーダーとして、6月1日に設立した。研究期間は3年間。12ヵ国から33名の研究者が参加する予定。
根来文生ソフトウェア生産技術研究所代表取締役社長 |
記者発表会で根来氏は「ソフトウェアの世界はさまざまな問題を抱えており、その問題をほとんどの人が直視しようとせず、改善しようとしない。このプロジェクトは、ソフトウェアの開発を、本当にきちんと議論する場」であると位置付けた。
岩手県立大学ソフトウェア情報学部の藤田ハミド教授 |
続いて、プロジェクトリーダーである藤田教授が、プロジェクトの目的などについての説明を行なった。藤田教授は、今回のプロジェクトについて「Lyeeをアカデミーの世界に持っていき、新しい、セキュリティー面の不安のないソフトウェアの開発の研究・開発を行なう」ためのものだと説明した。
プロジェクトの目的 |
藤田教授は、「ソフトウェアの世界はさまざまな分野に分かれており、統合的な手法がない。これでは効果的、統合的なソフトの開発は難しい」とし、「従来のやり方では労力や資金がかかるが、Lyeeを用いれば、それらの問題が解決する」と主張した。
トレント大学社会学部ロベルト・ポリ教授 |
また、プロジェクトのメンバーであるイタリアのトレント大学社会学部教授、ロベルト・ポリ(Roberto Poli)氏は「Lyeeはまだ若い技術だが、十分な威力を持っている。ソフトの開発・構築・メンテナンスといった、全風景を変える威力がある」と述べた。
ポリ教授によると「ソフトウェアの開発において、ターゲットとなるユーザーがはっきりしていて、目的も明確な“直接的な指向性を持った状況”での開発では、Lyeeは劇的な効果を発揮する」という。そして、その逆の場合、つまりユーザーがはっきりせず、またそのニーズが複雑に入り組んでいる場合でも「Lyeeは効力を発揮するだろう」とし、それについての開発も、まもなくなされるだろうと述べた。
同プロジェクトでは、2002年秋にパリでワークショップを、2003年秋に京都で国際会議を開催する予定。京都での国際会議は3年間の締めくくりとなるが、藤田教授は、それは「マイルストーン」であり、そこが出発点なのだと語った。