米ネットスケープ・コミュニケーションズ社は8日(現地時間)、統合型ウェブブラウザー/メーラーの新バージョン『Netscape 6.1』を発表した。
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『Netscape 6.1』。テーマは下の『Netscape 6.0』と同じ“Modern”だが、かなり印象の異なるデザインになっている |
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『Netscape 6.01』Netscape 6は2000年11月にリリース。バグフィックス版の6.01が4月にリリースとなった |
Netscape 6.1では、2000年11月に発表した『Netscape 6』の安定性、パフォーマンスを高めるとともに、ユーザーインターフェースの見直しによる作業効率の向上、管理機能の強化による安全性の向上を目指したとしている。
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Netscape 6.1の起動時に表示されるタイトル |
Netscape 6.1に新しく追加された主な機能を以下に示す。
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“URLバー”からのワンクリック検索
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ウインドー上部のURLバーに入力した単語を、マウス操作により直接検索エンジンで検索可能
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簡易起動機能
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一旦起動したNetscapeを終了しても、プログラムが常駐し、タスクバーの小アイコンをクリックすることで高速に起動する
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Sidebarに“履歴”タブを追加
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Netscapeを使ってブラウズしたウェブサイトを記憶してサイドバーに表示する。検索も可能
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ブックマークの管理機能
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メニューの“ブックマークの管理”により、ブックマークの一覧表示しながら整理が可能
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フォームマネージャ
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Eコマースサイトでのユーザー登録のような、名前や住所など定型のフォーム入力項目をあらかじめ入力し、管理が可能
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Mailに起動ページを用意
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Mailウインドーに各メールアカウントの起動ページを用意しし、そのページからメッセージを読んだり、メッセージを検索するなど、よく使う機能にアクセスしやすくした
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パスワード品質メーター
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ウェブサイトで必要なパスワードを管理する“パスワードマネージャ”のマスターパスワードを入力する際に、パスワードの品質を評価する機能
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“ランゲージパック”のサポート
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各国の言語を表示するだけでなく、その言語版のNetscapeに用意しているサイドバーの利用もできる
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URLバーからの検索機能。検索エンジンによる検索だけでなく、過去のURLのなかから一致したURLも表示する |
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簡易起動機能をオンにした場合、ウインドーを閉じようとするとこのダイアログを表示し、タスクバーに小さなアイコンを表示する |
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Sidebarに追加した“履歴”ウインドー。URLバーの検索機能もそうだが、Internet Explorerが採用している機能と同様のものだ |
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“マスターパスワードの設定”ダイアログの“パスワード品質メーター”。大文字小文字を混在させ、数字や記号を利用すると、評価が高まる。ただし、それほど厳密なものではない |
ユーザーインターフェースの改善として、メインウインドーのボタンやツールバーの数を減らしてウェブ表示エリアを拡大した。ブラウザーのサイドバーやURLバーで利用可能な検索エンジンでは、各国の代表的な検索エンジンを網羅したという(ユーザーが任意に追加可能)。Netscape 6で導入した、ブラウザーのデザインを変更できる“テーマ”機能は継続してサポートするが、6用に制作したテーマは6.1では基本的には使えないとしている。
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Mailに追加した起動ページ。Outlookが採用しているものとほぼ同じ機能 |
またメール関連機能では、Mailウインドーにユーザーがよく利用する機能をまとめた起動ページを用意し、ユーザビリティーの向上を図っている。アドレス帳では、AOLのメールアドレス帳や、“Netscape WebMail”(現在は英語版のみ)アカウントにおけるアドレス帳との同期機能も備えた。
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新規メール作成ウインドー。添付ファイルがフルアドレスによるファイル名でなく、小さなアイコンとファイル名の表示に変更となった。またツールバーのデザインもユーザーが今何をしているかわかりやすいように変更したとしている |
今回リリースされたのは、英語版(アメリカ版、イギリス版)、日本語版、ドイツ語版の4ヵ国語版。英語版(アメリカ版)はWindows版、Linux版、Mac OS版が同時リリースだが、日本語版を含むほかの言語はWindows版のみがリリースされた。30日ほどでLinux版とMac OS版がリリースの予定。今後フランス語版、スペイン語版、韓国語版、中国語版(簡体字、繁体字)もリリース予定。
Netscape 6が昨年秋に登場したとき、前バージョンである『Communicator 4.7』から長期に渡ってメジャーバージョンのリリースがなかったことが災いして、Internet Explorerが保持していたシェアを取り返すには至らなかった。また、Netscapeの牙城とも言えるLinuxプラットフォームにおいても、Netscape 6の不具合や動作の重さなどにより、Communicatorからの乗り換えは進まなかった。今回の6.1は、6の正式リリースから9ヵ月という、比較的短期間でのリリースになる。バージョン番号ではわずか0.1のアップデートではあるが、新機能だけでなく、インターフェースやパフォーマンスにおける細かな改良点も多い。
ネットスケープ・コミュニケーションズはNetscape 6.1こそが本命として、前バージョンで取り込めなかったユーザーを今度こそ取り込みたい考えだ。ただ、米マイクロソフトがWindows XPへの搭載を目指して開発してきた、Internet Explorer 6.0のリリースが近いと思われ、MacintoshにおいてもInternet Explorerがかなり浸透し、Mac OS XにもMac OS 9.xにひきつづき標準搭載される。唯一Internet Explorerと競合しないLinuxにおいても、Netscape 4.7だけでなく、Netscape 6/6.1のオープンソース版である“Mozilla(モジラ)”の利用者が多く、兄弟対決とも言える状況となっている。Netscape 6.1の前途はかなり厳しいと言わざるを得ない。