MP3ファイルは、いまやPCや携帯型メモリプレーヤだけでなく、CD/DVDプレーヤやカーオーディオの最新モデルでも再生可能となるなど、その守備範囲を広げている。このMP3の規格を拡張し、さらに利用範囲を広げようというのが、米MP3.comと米InterVideoから2001年3月に発表された「Enhanced MP3」である。この規格に対応するMP3エンコーダ/デコーダとして、InterVideoは音楽ソフト「WinRip」を用意している。8月上旬にインフォマジックから発売される「WinRip ARENA」は、WinRipを日本語化し、同社が販売しているWinCinema ARENAシリーズ共通のユーザーインターフェイスのほかに6種類のスキンを用意、さらにCDライティング機能、WMA形式のサポートなどを機能拡張を行ったパッケージ版ということになる。
MP3で簡単カラオケ
Enhanced MP3形式のファイルを再生したところ。自動的に画面中央に、MP3ファイルに埋め込まれたURLのWebサイトが表示される。入っているのは単純なURLで、毎回インターネット経由でダウンロードするのは難点だが、常に最新の情報が表示されるという利点もある。 |
- MP3ファイル自体に情報を埋め込んでいる
- 歌詞以外にも多くの情報を持たせられる
――という2点が挙げられる。こうした利点を利用して、レーベル(レコード会社)等から配布するMP3ファイルにも付加情報を埋め込んで一種の“広告ツール”として利用するなど、さまざまな用途が考えられている。
このEnhanced MP3は、MP3.comのWebサイトにアップロードされているいくつかのMP3ファイルですでに採用されている。Enhanced MP3形式のファイルを再生すると、画面中央の領域にMP3ファイル内に埋め込まれたURLにあるWebサイトと、その下にアーティスト名や歌詞が表示される。常時接続での視聴が前提になるが、MP3ファイルを再生するたびにアーティストやレーベルの最新情報が載っているWebサイトが自動的に閲覧できるというのは、配信側にも、リスナーにも、双方にメリットがあるだろう。
MP3ファイルに歌詞を付けているところ。音楽を聴きながら、クリック1つで歌詞を表示するタイミングを指定できるのが便利。 |
MP3エンコードエンジンはInterVideoオリジナルのもので、筆者のテスト環境(自作PC、CPU:Celeron-900MHz、メモリ:256Mbytes、OS:Windows 2000、32倍速CD-ROM)で音楽CDから直接リッピング→MP3エンコードを行ったところ、4分23秒の曲が約43秒で変換できた。
また、MP3デコーダ/プレーヤとして一番の特徴的なのは、
- 劇場のような音響効果を生み出す「HALL」
- 高音と低音を強調する「ROCK」
- 低音を特に強調する「BASS」
- 軽い音質になる「SOFT」
- 中~高音域の厚みが増す「VOCAL」
- 音声部分の音域のみをカットする「KARAOKE」
という6パターンのサラウンドやエコーを効果的に使った音質変更機能の搭載だ。さらに音の高さを変える「キーシフト」機能もあるので、歌詞を埋め込んだMP3ファイルを用意して、さらにKARAOKEでボーカルを消せば簡単に“PCでカラオケ”が楽しめる。
WinRipは、エンコードなどを行う「ジュークボックスモード」と、音楽の再生に特化した「プレーヤーモード」と、2つのインターフェイスを持っている。こちらはプレーヤーモードで、スペクトラムアナライザの部分にKARAOKEなどのサウンド効果ボタンやキーシフトボタンが並んでいる。 |
エンコードを行うときは、ジュークボックスモードのこの画面から行う。エンコードしたファイルを保存するフォルダやファイル形式(WAVE/MP3/WMA)、ビットレートを選択などはあらかじめ設定しておき、録音ボタンを押せば自動でエンコードが始まるのは手軽で嬉しい。 |
簡単にカラオケを楽しむための機能が充実しているのがWinRip ARENAの最大のウリだろう。特に歌詞を埋め込むことができる点に魅力を感じるなら、価格も手ごろなのでぜひ一度使ってみてほしい1本だ。
MP3プレーヤは毎日使うものなので、本物(AV機器)志向のソリッドなデザインもいいけど、たまには楽しげな“顔”に変えてみたい気分にもなる。WinRip ARENAにはこのようなポップでカラフルなスキンデータが収録されている。 |