シスコシステムズ(株)は11日、既存の電話線を用いた“長距離イーサネット”製品『Catalyst 2900LRE』、スイッチングHub『Catalyst 2950シリーズ』、L3スイッチ『Catalyst 3550シリーズ』、ブロードバンドルーター『Cisco 1710』などの4製品群を発表した。
新製品のデモ。ストリーミング放送の展示が行なわれていた |
『Catalyst 2900LRE』は、既存の電話回線を利用して、EthernetによるLANの距離を最長5000フィート(約1500m)まで延長する製品群。シスコが“Cisco LRE(Long-Reach Ethernet)ソリューション”と名付けるこの製品群は、ADSLと互換性のあるモードもサポートしており、すでにADSLで使用している回線でも利用できるという。
『Catalyst 2900LRE』は、『Catalyst 2900LRE XLスイッチ』、『Cisco 575 LRE CPE(Customer Premise Equipment)デバイス』、『Cisco LRE 48 POTSスプリッタ』によって構成される。
『Catalyst 2900LRE XLスイッチ』はLREポート×24および10BASE-T/100BASE-TXポート×4を搭載している。このLREポートにカテゴリー1/2/3のツイストペアケーブルを接続すれば5Mbpsで5000フィート(約1500m)、10Mbpsで4000フィート(約1200m)、15Mbpsで(約1000m)の距離までネットワークを延長できる。
『Catalyst 2900LRE』製品群。上が『Catalyst 2900LRE XLスイッチ』で、下が『Cisco LRE 48 POTSスプリッタ』 |
『Catalyst 2900LRE XLスイッチ』のLREポートから伸びるケーブルは、『Cisco 575 LRE CPEデバイス』に接続する。『Cisco 575 LRE CPEデバイス』は、LREとEthernet間のブリッジとして機能し、RJ-45コネクターによってEthernetと、2つ装備するRJ-11コネクターによって、LREと電話機とに接続する。
『Cisco 575 LRE CPEデバイス』 |
また、『Cisco LRE 48 POTSスプリッタ』によって、PBX(構内交換機)環境での従来のアナログ電話と、同じ回線を共有できるようになる。価格は、『Catalyst 2900LRE XLスイッチ』が109万2000円、『Cisco 575 LRE CPEデバイス』が4万7000円から、『Cisco 1710』は23万5000円となっている。
『Catalyst 2950シリーズ』および『Catalyst 3550シリーズ』は、複数のノードに対して同じパケットを送信する“マルチキャスト機能”を強化したスイッチングHubとレイヤー3スイッチ。それぞれの一部モデルは、1000BASE-T(Gigabit Ethernet)にも対応している。
『Catalyst 2950シリーズ』 |
同日行なった発表会で、シスコは『Catalyst 2950シリーズ』および『Catalyst 3550シリーズ』ではチャンネルを切り替えても映像はまったく変化しないが、他社製のスイッチでは極端に画像が乱れるというデモを行なった。同社によると、マルチキャストへの対応が適切でなければ、チャンネルを切り替える際にパケットの送受信が停滞するという。製品の価格は、『Catalyst 2950シリーズ』が21万8000円から、『Catalyst 3550シリーズ』が168万1000円となっている。
『Cisco 1710』はVPNに対応し、ファイアーウォール機能などを搭載したブロードバンドルーター。帯域幅の最適化とトラフィックの優先付けによるQoS(Quality of Service)機能や、リモート管理機能なども実装する価格は35万4000円。
執行役員マーケティング統括の高市良治氏 |
同社執行役員マーケティング統括の高市良治氏は、ネットワークは1970年代まではコストであってプロフィットではない“Cost Center”だった。それが1980年代から1990年代にかけて、生産性を向上するツール“Productivity Tool”となり、2000年以降は、ビジネスに必須のインフラとして競争に欠かせない“Competitive Advantage”になったとしている。
高市氏は“速きが遅きを制する”時代になったとし、同社の製品はその中でも、競争力を発揮し続けることを強調した。