インターネットバックボーンで利用される高速ルーターメーカーのジュニパーネットワークス(株)は16日、キャリアーや大規模インターネットサービスプロバイダーに向けた、同社のコアルーター用OS“JUNOS(ジュノス)”の新機能として、“MPLS-VPN”(※1)をサポートする“スマートIPサービス”を発表した。発表会では、米ジュニパーネットワークス社プロダクトマーケティングディレクターのケビン・ディロン(Kevin Dillon)氏が、スマートIPサービスの概要や顧客のメリットについて説明した。
※1 MPLS(Multi Protocol Level Swiching):MPLSはIETFで標準化が進められているレイヤー3(ネットワーク層)スイッチングの技術で、パケットに“ラベル”と呼ぶデータを付加してルーターにかかる負担を減らし、高速な通信を可能にする。VPN(Virtual Private Network):インターネット上に仮想的な専用線を作り、拠点間で安全な通信が行なえるようにするセキュリティー技術。
MPLS-VPNは、MPLS技術を使ってVPNを実現するもの。
加鹿秀人代表取締役社長 |
最初に挨拶した加鹿秀人代表取締役社長は、米本社が4月に発表した2001年度第1四半期(1~3月期)の決算に触れ「当社はIPバックボーンに使用されるコアルーターの専業メーカーだが、第1四半期には1704台のルーターを出荷、売上金額ベースでも3億3200万ドル(約410億円)で、いずれも前年同期比で5倍にも伸びた。ギガビットクラスのルーターのマーケットシェアも、シスコとの差は着実に縮まっており2000年第4四半期には34%になった。今後もこの市場は大幅な伸びが期待できる」と好調さをアピールした。
ジュニパーネットワークスの世界市場における、ルーター売り上げの伸び |
ギガビットクラスの高速ルーター市場における米シスコシステムズ社とジュニパーネットワークスのシェアグラフ |
ディロン氏は「現在サービスプロバイダーは、顧客を奪い合っており、顧客の要求に応えることができなければ、別のプロバイダーに乗り換えられてしまうという厳しい状況だ。このスマートIPサービスによって、当社のコアルーターを利用しているサービスプロバイダーが求める、高速性、信頼性、拡張性、管理機能を維持したまま、VPNが利用可能になる。サービスプロバイダーはこれまでのネットワークインフラ投資を最大活用しつつ、TCOの削減も図れる」などと述べた。
米ジュニパーネットワークス社プロダクトマーケティングディレクターのケビン・ディロン氏 |
地域別に見たVPN市場の予測グラフ。青が北米、黄色が西欧、緑がアジア太平洋地域 |
スマートIPサービスは、JUNOSのバージョンアップ(バージョン4.4。現在は4.3)によってサポートする。JUNOSのバージョン4.4はすでに開発済みで、日本では同社の販売代理店を通じて提供するとしている。