ベルギー・フランダース地区の半官半民のビジネスインキュベーター(ベンチャー企業支援施設)である「s.ai.l trust」(セイル・トラスト)社と同社関連のベンチャーキャピタルが、京都リサーチパーク(京都市下京区中堂寺南町、野村透社長)に対して提携申し入れをしてきたことが明らかになった。セイル側は言語やコミュニケーションに専門化したベンチャー育成と投資を行っており、京阪神や関西学研都市に立地する関連企業に対して関心を持っているという。KRPに対しては先に米ペンシルベニア州が提携を働きかけている。今後の進め方いかんでは、京都が国際的なベンチャー支援ネットワークの結節点に浮上する可能性が生まれてきたといえそうだ。
セイル・トラストのポール・ベヘッツ会長がこのほど来洛し、日本における拠点を京都に置く方向で検討したい旨をKRPに伝えた。来洛したのはベヘット氏のほか、同社のピーター・ドームンク副社長、関連VCであるフランダース・ランゲージ・バレー(FLV)ファンドのフィリップ・ファンダーム上級投資マネージャー。
セイル側の資料によると、「s.ai.l」は「会話」(speech)、「人工知能」(artificial intelligence)、「言語」(language)の頭文字を並べたもの。オランダ語とフランス語が同居するベルギーの言語環境を反映し、国家レベルで言語関連のベンチャービジネスを育成する体制をとっているという。またFLVファンドは米マイクロソフトとシスコシステムズが大株主で、欧州の店頭市場に当たるイースダック(EASDAQ)に株式を公開しているという。
セイルはこの5日、シンガポールの国家機関と提携してアジア拠点に当たる「セイル・ポート・アジア・パシフィック」を設立することを発表している。ベヘッツ会長によると北欧のノルウェーにも同様の「ポート」を開設予定。2001年までに全世界で10ヶ所のポートを開設する方針で、この一環でKRPとの提携により日本における拠点を確保したい方針だ。
セイル側が重点的に育成したいとしているのは、自動翻訳、音声処理、自然言語認識技術など。FLVは1億3500万ドルのファンドを持っており、現在40社に投資実績があるという。
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