ロゴ教育システム(株)は、『キッズ・ロゴ Ver.1』の本格出荷を5月に開始する。これは、LOGO言語をベースにした教育ソフトで、アニメーションを作成しながらプログラミングの基礎を学ぶことができるという。
※LOGO:マサチューセッツ工科大学シーモア・パパート教授らによって開発された教育用コンピューター言語。人工知能型言語のLISPをベースにしている
アニメの元となるグラフィックを作成する際は、タートルグラフィックス(turtle
graphics)というカメの形をしたカーソルを用い、そのカーソルに対して“前へ”“ペンをおろせ”といった命令を与えていくことで、グラフィックスを描く。命令の組み合わせは再構成が可能で、プログラミング作業につながる構造化言語の初歩を学べるという。
画面は、命令を割り当てられたアイコンを表示する“ツール”、プログラムを作成する“プロシージャー”、カーソルの動きを確認する“シーン”、動画の作成を行なう“アクセサリー”、ファイルの編集を行なう“キッズアイコン”の5つのウインドーから構成されている。
用意されている命令の数は約40で、アイコンをドラッグ&ドロップし、数値を入力することで命令を実行する。作成したグラフィックを、アニメーションフレームに貼りつけることで、動画を作成することも可能。動画の保存・圧縮形式は独自のもので、圧縮率は最大91パーセントになるという。静止画に関してはBMP/JPG/ICO形式のグラフィックファイルを読み込むことができる。対応OSはWindows
95/98/NT4.0で、価格は9800円。
なお、同製品はすでに2月22日から一部で発売されていたが、量産体制の整備により、5月からの本格出荷開始となった。
ロゴなら挫折しない
ロゴ教育システムは、ロゴを用いた教育ソフトのほか、教材ソフト、中学校技術家庭科の情報基礎に対応した教材書籍などを手がけている。なぜ今ロゴなのか、同社の岡本泉代表取締役に話を聞いた。ロゴ教育システム代表取締役の岡本泉氏 |
「『キッズ・ロゴ Ver.1』は、小学校の総合科、中学校の技術家庭科、ビジネスマンの自己啓発などを対象に考えています。学習ソフトというとドリル形式のものが多いのですが、ロゴを使うことで思考錯誤をしながら、創造力と構造化言語の基本を身につけてほしいと思います。入力は極力マウスだけで行なえるようになっているので、ユーザーはエネルギーをプログラミングの行為そのものに集中できます」
命令アイコンの形は、同社の開発陣によって研究されたものだという。
「一般的なBASIC言語などを使用するプログラミングの授業では、ソースプログラムを作成する過程でミスをしても一通り作業が終わらないとミスに気が付きません。そのため完成形を見ずに挫折してしまう子供も多いのですが、ロゴなら命令ごとに何かしらのアクションが視覚的に現われます」
「製品の開発で苦労したところは、静止画しか扱えなかった従来版に、アニメーション作成機能を追加し、表現力を向上させた点です。タートルがどう動くかを定義し、そのタートルの替わりに別の静止画や動画を貼りつけて移動させることができます」
販売目標は年間5万本。なお、『キッズ・ロゴ Ver.1』は5月18日に開催される“ビジネスシヨウ'99TOKYO”に出品を予定している。