国際電信電話(株)(KDD)の子会社である(株)KDD研究所は、23日、ウェブ上の有害なコンテンツのアクセスを制御するフィルタリングソフトを開発したと発表した。秋をめどに製品化する。
従来のフィルタリングソフトでは、事前に有害情報のURLをリストに登録し、このURLへのアクセス要求があった場合にそのアクセスを禁止する方法などがとられていた。だが、この方法は膨大なサイトの中から有害なURLを探し出すのが困難で、URLが変更した場合など対応しにくいとされていた。
今回開発されたコンテンツチェック機能では、まず、有害な単語に対して大きな数値を付与する“有害度合い”、無害な単語にそれよりも低い数値を付与する“無害度合い”を用いて、約8000語の重み付き単語リストを作成する。これら8000語は、同社が独自にインターネット上のコンテンツから統計処理を行なって選び出したもの。
単語には、“女子高生”→83.0、“アダルト”→79.8、“バス”→-101.9、“北海道”→-112.5といった具合にそれぞれ数値をふり、これらをコンテンツの中に出てくる単語と照らし合わせる。この場合、照らし合わせた単語の数値の和が0より大きい場合は有害、0より小さい場合は無害なサイトと判断される。なお、単語の頻出回数や他の単語との組み合わせについて統計的に算出が行なわれ、アクセスするごとに数値は変化する。これにより、より信頼性の高いフィルタリングが可能としている。
この方法では、有害度合いの高い単語が含まれていても、そのほかに含まれる単語の無害度合いと総合して、コンテンツの有害性を判定することができる。よって、有害なコンテンツへのアクセスを禁止するだけでなく、誤ったフィルタリングを抑えることができる。同社の統計によれば、約83パーセントの有害情報のブロックが可能で、従来の方法と比べて、約20パーセント改善されているという。
アクセスが禁止された場合は、別のウィンドウに上記の画面が表示される |
このチェック機能は、従来のURLチェックと組み合わせて使用することも可能。市販されているフィルタリングソフトと組み合わせて使用することで、約90パーセント以上の有害コンテンツのフィルタリングができるとしている。
導入先は学校や企業、プロバイダーを予定しており、当初はアダルト情報のみに限定する。今後は、アダルト情報以外にも、麻薬など有害な情報をチェックするデータや、各企業で要望のあったデータを集めてそれぞれ対応していきたいとしている。
現在、開発されている製品の対応OSは、Solaris、Linux、HP-UXの3種類。製品化される秋までにはWindows
NTにも対応する予定。KDDが行なうプロバイダーサービス事業にも導入されるという。
また、同社のホームページでは、『WebShield』という名称で体験版も公開されているが、製品版では名称は変更される予定。体験版は無料で試用できる。